#9 グルメ旅行、グンマの親友編
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#9 グルメ旅行、グンマの親友編
5月前半、ゴールデンウィークで学校がお休みの私と仕事がお休みの父。
私の「美味しいものが食べたい!」という要望に応えて
トウキョウでとんかつやパンケーキを食べに行った。
それでもう大満足だった私だが、
父は続けて母や弟のお土産を買いに行くと言い出したのである。
クルマに乗り込むと父が聞いてくる。
「お腹の調子は大丈夫か?せっかくだからドライブついでに
遠くまで行こうと思うのだが。」
と、遠く...?
一体何処へ行くつもりなのかしら...
「平気よ!ドライブ、ってのはよくわからないけど...」
「あはは、まあとりあえず適当に遠いところに行くってことだ。その間優衣奈は外の景色でも楽しんでいるといいぞ。」
外の景色...
こうしてクルマは原宿の街を後にしたのであった。
---
ひたすらにクルマは走る。
高いビルに、電車、道行く人並み...
いつのまにか流れていた音楽と共に、
今自分はトウキョウにいるということを改めて実感した。
---しばらく進むと近くのビルは見えなくなり、
どこまでも続く横長の壁に沿う道路に出た。
「何これ、壁しか見えないんですけど?!」
「高速だから仕方ないだろ...」
進めば進むほど壁を越えて見えた大きなビルはなくなり、
道路の上を次第に淡い水色が空を覆うようになっていく。
果たして私は何処に向かっているのだろうか...
------
それからさらに1時間。
本当に遠いところまで来たみたい。
「さて、そろそろ着くぞ。」
その言葉の通り、クルマはスピードを緩め、駐車場に入るのであった。
...着いたのは街に馴染んだ料理屋さん。
さっそく店の中に入る。
「いらっしゃいま...っておお?!健樹じゃないか!!!」
店に入る途端、父に向かってそう言って驚く店員さんがいた。
健樹...?もしかしてお父さんの名前...?
「久しぶりだなぁ裕也。もう14、5年くらい会ってなかったか?」
「もうそんなになるか。
...じゃなくてこっち来るなら連絡くらいしろよぉ、まったく...!
それと俺がここにいることよく覚えてたなぁ!」
「忘れるわけないだろ。何せ俺とお前は親友なんだから。」
親友...
なるほど、親友って大人になっても会いに行けるほどずっと仲がいいんだ...
そして裕也さんの目線は私に移る。
「あれまあ、ずいぶん美人になってぇ。覚えてるか?
確か1回だけ会ったことあるよな?!」
そう言って私のほうに寄ってくる。
覚えてるわけないじゃない!!何なら今がはじめまして、よ!!
「あはは...優衣奈はまだ小さかったから覚えてるわけない、な...?」
すぐに父がフォローしてくれる。
え、ええ...と頷く私。
「...それでこんな急に、前橋まで何しに来たの?」
すると父はメニュー表を見て言う。
「せっかくだからこの店で一番美味いものを食べさせてやってくれ。
あと、水沢うどんの持ち帰りを3つと焼きまんじゅうを4つ。」
「なるほどな。じゃあ好きなところ座って待ってて。」
---
結局ここは何処なんだろう。うどんとか焼きまんじゅうとか
聞いたことのないワードばかり。
気になって父に聞こうとしたら、父のほうから話してくれた。
「どうだ驚いたか?
そう、ここは俺の小学校からの親友、裕也があとをついだ店だ。」
「...何言ってるかさっぱりわかりませんけど。」
「あはは、すまんすまん。実はこの辺りな、父さんの地元なんだ。
母さ...おばあちゃんは今病院にいて会えないけど、
美味いものが食べたいって聞いて急に地元の味を思い出したものでな...」
「地元地元ってさあ、ここはトウキョウじゃないってこと?」
そうすると父は携帯を地図にして私に見せる。
「群馬県、前橋市。東京からおよそ100km離れているぞ。」
「ひゃ、100km?!」
冗談じゃない。
昔いた世界のホープヒルズ王都からフィレマミア王都までが
ちょうど100kmくらい、人間の徒歩+休み含めて3~4日程度の道のりを
たったの1、2時間で走ってこれたわけ?
信じられない...
そんなことを考えているとすぐに料理が運ばれてきた。
「こ、こちら、当店一番人気の餃子定食になります...」
運んできたのは先ほどの裕也さんとは違う人。
すると父は何か思い出したかのようにこう言うのであった。
「もしかして君、淳斗くん?」
するとそれは正解のようで、
「は、はい、いつも父がお世話になっております。」
淳斗くんは礼儀正しく頭を下げた。
なるほど、裕也さんの子どもなんだろう。
「そうかそうか。確かに昔のアイツと顔が似ているような。
...呼び止めて悪かったな、仕事頑張れよ。」
ペコリとお辞儀をし、すぐに他のお客さんを案内しにいった。
「...っと、すまない。冷めないうちに食べたらどうだな。」
なるほど、餃子定食か。
餃子なら家で食べたことがある。
確か冷凍...?ってやつだったけど。
さっそく一口食べてみる。
「はぅわぁっ?!」
待って、家で食べた餃子とは全然違う!
肉の旨味、皮の食感、絶妙な焼き加減...
餃子というのはこの国各地で食べられているらしいのだが、
餡の量や皮の厚さ、焼き方などで全然違うみたい。
ここの餃子は肉がいっぱいで食べ応えがあり、
皮がジュワッと肉の旨味を包んでいてとても美味しかった。
「うっ、うっ、うっ...」
美味しすぎて泣くっ。
こんな、こんな美味しいものを、こっちの世界では
誰もが食べられるというの?!
...すると裕也さんが持ち帰り用のうどんと焼きまんじゅうを持って
嬉しそうに驚いていた。
「うちの餃子はみんな旨い旨い、って言ってくれるが
泣いて喜んでくれるのはさすがにはじめてだなぁ、ううっ...!」
いつのまにか父も一緒に泣いている。
そして裕也さんまで嬉し泣きするのであった。
「お父さんたち...なんで泣いてるの...?」
---
食事を終え、レジカウンターの前で話しながらお金を払う。
「いやあ、久しぶりに会えて嬉しかったよ。また俺もサプライズで
東京行かなきゃだな、ハハハ!」
そういえば少しだけ、割引価格にしてくれたらしい。
「それじゃあな!またいつでも来てくれ!
けど次は連絡くらいしろよ?」
そう言って軽く手を振って次のお客さんに移る裕也さん。
なるほど、親友っていいな...そう思う私なのであった。
---外に出ると、僅かに残るオレンジ色の空が
優しく世界を包んでいた。
「さて、すっかり暗くなってきたな。
他に行きたい場所はないか?夜景とか、ちょうど帰る頃には綺麗に見え...」
「夜景っ?!見たい見たい見たい!!」
あっちの世界の夜景は、山の上から見える
各国の王都がやっぱり綺麗だったわね。
けれどこっちの世界の夜景も気になる...!
というわけで、帰る前にトウキョウの夜景を見て回ることになった。
グルメ旅行、夜景とお土産編まで続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、
どうかよろしくお願いいたします!