#25 海に入りました
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#25 海に入りました
8月。そう、夏真っ盛りである。
転生&転校してからおよそ4か月。
しばらくの間カレー屋のバイトで忙しかった私のところに
ついに夏を楽しめるイベントがやってくる。
「よーし、海に行こうかー!!」
今日は以前約束していた通り父が海に連れていってくれるとのこと。
父と母はもちろん、私も瑠夷斗もお休みで家族総ぐるみのお出かけだ。
「やったー、やったー!海!海!海!」
「うるさいなぁ、姉ちゃん....」
「あら、別にいいじゃない。久しぶりに家族4人でのお出かけなんだから。」
母は準備をしながら笑顔で瑠夷斗に言う。
「みんな、準備はできたかー?それじゃ、そろそろ出発するぞ!」
「おーっ!」「はいよ。」「はいっ。」
私と父のテンションは爆上がりであった。
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今回も父のクルマで海へと向かっていく。
トウキョウからおよそ1時間。
トンネルを抜けたその先に、突如海は現れた。
「わー!!海だー!!」
クルマの窓を開け、外の風を感じてみる。
「ちょ、ちょっとちょっと。暑いから窓閉めてくれ....」
後ろの席で瑠夷斗が叫ぶ。
「ふふ、いいじゃない、瑠夷斗。」
母は私に甘々みたいだわ。
そして母も窓を開け、外を見て呟く。
「にしても晴れてよかったわねー。
これなら母さんも久しぶりに泳いでみましょうかしら...?」
「いや、もう若くないんだからやめとけやめとけ!」
瑠夷斗のツッコミに、んまあ、と頬を膨らます母。
それを聞いていた父はハハハと笑っていた。
「...さて、そろそろ着くぞ。」
クルマをパーキングに停め、ワクワクとその足を地面に置く。
そうして私は、砂浜へと足を運ぶのであった!
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「うわー!!海ーー!!」
ザザー....
ワイワイガヤガヤ....
遠くの波の音は人混みによって半分ほどかき消される。
これが....この世界の海....
「どうした?泳ぎに行かないのか?」
ボーっと海を眺めていると瑠夷斗に声をかけられる。
「あっ、行く行く行くー!!」
着ていた羽織を母に預け、私は瑠夷斗と共に砂浜を駆けた。
「2人ともー。あんまり沖に行かないようにねー!」
母は優しく注意を促す。
そして父は母と一緒にパラソルの中で私たちのことを見守っているのであった...
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バシャーッ...
波打ち際までやってきた。
足にかかる波がとても気持ちいい。
「うわぁ!冷たい!」
浅瀬で波に戯れている私。
そしてそのまま沖に出てみることにした。
「おいおい、あんまり沖に出るなよ。」
瑠夷斗も心配して声をかける。
しかしこのときの私は、
どうしてそんなに沖に出ることを心配するのかよくわかっていなかった。
瑠夷斗の注意も聞かず、ひとりで沖のほうへと進んでいく。
するとあっという間に水深が自分の身長とほぼ同じくらいになった。
「わああー!!こんな深いところまで来たのはじめて!!」
妖精の頃は上から眺めるだけの存在だった海。
はじめて入る海になんだかとてもわくわくしていた。
足を地面から外すと、身体が浮いているような感覚になり
そのまま波と一緒にゆったり流れていく。
身体を浮かせながら手と足をバタバタさせてみた。
バシャバシャバシャ...
「...あれっ。どうやって泳ぐんだっけ.....」
泳いだことどころか身体を水の中に入れることすらはじめてだった私。
地面にもう一度足をつけようとするが、
いつの間にか波に流されていて完全に足がつかなくなっていた...
「ちょっ、あれ...?うまく...泳げ...」
そのときだった。
誰かが私の手を引っ張り陸のほうへと一緒に泳いでくれたのである。
そしてそのまま無事に砂浜に戻ることができた。
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陸に上がり、一緒に泳いでくれた人を今一度確認する。
たくましい筋肉ですらっとした顔立ちの男性。
思わず私は見とれてしまった。
...そして瑠夷斗や父、母が駆けつけてくる。
「ああ、ありがとうございます、ありがとうございます....」
母は何度も何度も私を助けた男性に礼を言う。
「ほんとに助かりました...あまり沖に行くなと
注意したばかりだったんですがね...」
父も申し訳なさそうに礼をする。
「いえいえ。素早い判断でこちらも助かりましたよ。」
男性は謙虚になって言う。
私はどうしてこの人が助けてくれたのかがわからなかった。
すると男性が私に向かって言う。
「いいかい、君。泳げないのにひとりで行動したらダメ。
今回はお父さんが見つけてすぐに連絡してくれたからよかったけど...」
そこまで言って一息つく彼。
そしてまた続ける。
「海は、楽しいだけじゃない。
だから絶対に軽はずみな行動はしないこと。いいね?」
その眼はとても真剣で、言葉に重みがあった。
なるほど...沖に行って泳げなくなると
そのまま流されて二度と帰ってこれなくなってしまう可能性がある、と....
ここにきてようやく自分がどれだけ危険な目にあっていたのかがわかり、
身震いするほど恐ろしくなる私なのであった。
「...姉ちゃんはもうシャワー浴びてきなよ...」
瑠夷斗は下を向いたまま私にそう呟く。
ええ...そうね...
何も言い返すことのできない私は、
おとなしくシャワーを浴びて着替えることにした...
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夕方になった。
昼間はあんなにたくさんの人がいたのに
今はほとんどいなくなっている。
夕陽が沈んでいく海を眺め、ひとり佇んでいた。
「...やっぱり海は、眺めるだけで、いいわよね....」
...そんなことを呟いていると、母が私の右肩に手を置く。
「ごめん...ごめんね....」
そして私の左肩のほうには母の涙がこぼれ落ちていった。
「もう二度と、手放さないって決めたのに,,,,」
その言葉に、私も涙ぐんでしまいそうになった。
泣いている母に、私はこう返す。
「...でも、こうしてほら...生きているじゃない...!」
私は振り向きながら立ち上がってみせる。
すると母は私に抱きついてくるのであった。
「母さん...」
瑠夷斗や父もつられて泣きそうになる。
そっか...今の私は家族にとって
大切な存在....
こうして転生できたことに感謝して、
今一度命の重さについてを考えなおす私なのであった。
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、
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