#19 夏だ、梅雨だ、めんつゆだ!
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#19 夏だ、梅雨だ、めんつゆだ!
7月になった。
あれから美歩も元気になってみんなで仲良く学校生活を送っている。
しかし例年より遅い、雨が続く毎日(梅雨時期)は気分まで落ち込んでしまう。
そんな7月も中盤になり、そろそろ梅雨明けという予報も見えてきた頃の金曜日。
---学校にて。
「おはよう、優衣奈ちゃん。」「おはようっす。」
いつものように藍と美歩が話しかけてくる。
「おはよー...」
しかし私の元気はあまりなかった。
「どうしたんっすか、優衣奈。元気ないっすね。」
もちろん美歩にもすぐに、私の元気がないことがばれてしまう。
「ええーっ、だってもう半月くらい雨と曇りばっかりでさあ...
お日様が恋しいのよ...」
「それが梅雨時期だから仕方ないですね...。」
藍がやんわりとツッコむ。
すると美歩はスマホを取り出して何やら検索する。
「ほら、明日から晴れ予報っすよ。そろそろ梅雨明けするかもっすね。」
へえ...ようやく明日は...晴れ...晴れるってホント?!!
久しぶりの晴れ予報にテンションが上がる私。
「そうだ、それなら一足早い夏を楽しみません?
明日、私のお家で流しそうめんをしようと思うのですが...」
「いいっすね、楽しそうっす!」
「な、流し、そうめん...?」
私は滝の上からそうめんが大量に降ってくるのを想像した。
「もももももったいない!!
第一そんな大量にそうめんを流してどうするっていうの?!」
2人には何言っているの?...という目で見られてしまう私。
あ...しまった...
と、とにかく...!かかって来なさいよ、流しそうめん!!
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翌日、土曜日。
予報通り天気は晴れだった。
すると昨日まであんなに肌寒かったのに、
今日はいきなり30度近くまで気温が上がった。
...そんな夏本番も間近になったこの日、私は瑠夷斗を連れて藍の家に向かう。
「...なんで俺を連れてきたんだよ...」
「いいじゃん、別に!!
流しそうめんと戦うためには私たちだけでは心細かったの!!」
は...?と睨まれたあと、やれやれと手を動かす瑠夷斗。
そうしているうちに、藍の家に着いた。
玄関の前、庭に向かう藍と出会う。
「あ、優衣奈ちゃん。弟くんも連れてきたんだね...!」
「あ、ども...」
いつもになく緊張気味の瑠夷斗。すると...
「ちょっと瑠夷斗!!そんなんじゃ流しそうめんと戦えないじゃないのよ!!」
夏の日差し以上に熱く燃える私。
藍と瑠夷斗は変なものを見る目でどうしたらいか困っていた。
すると...
「藍。ちょっと手伝ってくれないか。」
家にいた知らない男の人が藍を連れて行こうとする。
待った待った、藍は誰にも渡さない!!
そうして私は全力で藍を引っ張る。
「ちょっ、何するんですか?!こ、この人は私の父ですよお...!」
「ええっ...」
しまった、私ってば久しぶりの晴れにテンションが上がって余計なことを...
...するとこのタイミングで美歩が家にやってくる。
「どういう状況っすか、これ.....」
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藍の家は一軒家で、広々とした庭がある。
庭と家の間は軒下になっていて、
外での作業に疲れたらすぐに休むことができそうである。
藍と美歩、それに藍の父は、流しそうめんの準備をする。
「...なあなあ...俺と姉ちゃんは休んでていいのか...?手伝いに行か...」
すると今度は、家の中から優しそうな女の人が来て
手伝いに行こうとする瑠夷斗を止める。
「大丈夫ですよ、弟くん。あなたたちははじめましてのお客さんなんだから。」
笑顔でそう声をかける女の人。もしかして、、藍のお母さん?
そう思っていると、今度は私にも声をかける。
「あなたが転校生の優衣奈ちゃん?はじめまして、藍の母です...
いつも藍と仲良くしてくれてありがとね...!」
「あ、やっぱりお母さんだったわね。よろしく!」
最初の反応がこうだったので若干戸惑う藍の母。
しかしすぐに笑顔になって、麦茶を持ってきてくれた。
「今日は暑いのに来てくれてありがとね...!」
優しい...藍と同じくらい優しい...!
そうこうしているうちに、向こうでは流しそうめんの準備が整った。
「おーい、準備できたぞー。」
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ででん。
竹でできた細長い棒が緩やかな坂道を描いている。
...ってあれ...。
ここにそうめんを流すっていうの?
「さあて、早速流すぞー!」
藍の父が一番上からそうめんを流す。
それを拾って自分のつゆにつけて食べる美歩。
「ああっ、取れなかった...」
一方、藍はそうめんをあまり取れていない模様。
藍が取れなかったそうめんを瑠夷斗が受け取る。
すすすすす....
「ん、どうした?姉ちゃん食べないのか?」
何これ...イメージしていた流しそうめんと全然違う...
こんな、こんなの...
「一番上の人が勝つにきまってるじゃーん!!」
「...は?」
そうして美歩よりも先の位置から
流れてくるそうめんをすべて拾いあげてしまう私。
すすすすす....
すすすすす....
こんなの、こんなの....!
楽しくないわけない、楽しくないわけなーいっ!!!
ビタッ...
しばらくするとそうめんが流れて来なくてなってしまう。
「あはは...ごめん、ごめん、驚きすぎて流すのを忘れてた...」
そうして再びそうめんを流そうとする藍の父だったが、
「私がやるっ!!」
えいっ、と無理やりに場所を交代してそうめんを流し続ける私。
「はーっはっは!さあ、戦いなさーい?めんつゆをかけて頂きなさーい?!」
テンションが上がりすぎて自分でも制御できなくなる。
しばらくすると私は頭がクラクラしてきて.......
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「だ、大丈夫ですか?!」
目を覚ますと、夕方になった家の中で私は横になっていた。
「あれ...流しそうめんは...?」
「もう終わったっすよ。」
ああ...はじめての夏で気温だけでなくテンションまで上がっていた私は
どうやら突然倒れてしまったようだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい...私がもっとちゃんと流しそうめんについて
説明するべきでしたね...戦う道具ではない、と...」
「いや、普通はそうは思わないから気にしなくて大丈夫。」
瑠夷斗もいたのか。
「みんなごめん、心配かけちゃって...」
いやいや、優衣奈が無事でよかった、と安心してくれる藍たち。みんな優しい。
流しそうめん...
次は、ちゃんとみんなで仲良く楽しもうと...
そう思う私なのであった。
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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