#16 向こうの世界のみんな
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#16 向こうの世界のみんな
6月も中盤に差し掛かったある日。
いつものように1日を終え、布団に入って眠ろうとする私。
横になってウトウトしていると、突然頭の中に神様の声が聞こえてきた。
[優衣奈...優衣奈よ...]
「あ...アンタは...」
[これっ!神に向かってアンタとか言うでない!!]
やっぱり例の神様だ。
[...それはそうと、転生後の生活は順調かね?]
そういえば神様とは最初に会って以来全然お話ししていない。
「ふふふ...順調も何も、今までの妖精暮らしからは考えられないことばかりで
ほんと、驚きの連続だわ。」
[素直に楽しいと言わんかね...]
やっぱり神様はお見通しだ。
[...と、まあ久々の挨拶はこの辺にして、実は昔のお主の仲間たちから
メッセージを預かっておってな。]
「昔の私の仲間たち...?」
[そうじゃ。もっと言うと、お主が昔いた向こう側の世界...
妖精時代の仲間たちじゃ。]
「へえ...」
妖精時代の仲間、か...
懐かしいわね。
過去(向こうの世界)の記憶が保持されているおかげで
今もハッキリと思い出せる。
魔法使いフィアラ。
彼女は勇者よりも勇者で、しっかり者のお姉さんキャラだったわ。
戦士バーランド。
彼女は私と同じく活発で勢いのある戦士だったはず。
...というのもあの時はほとんど気絶していてあまり関われなかったからね。
それからそれから.....
[もうそろそろええかの。]
神様に強制終了させられ、私の頭の中には向こうの世界の様子が写し出された。
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...もわもわした空間。
最初に現れたのはコール村の村長さんだった。
ええ、私の母と彼女たちが煙事件から救った村の村長さんよ。
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「ライトニー殿。この度はありがとうございました。
ライトニー殿の協力のおかげで無事、世界は救われましたぞ。
どうか安らかにお眠りください...。」
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よかった。あっちの世界は救われたのね。
私はこっちの世界で楽しくやってるわ。
...続いて現れたのはコール村の村長の孫、イント。
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「ライトニーさん...まさかもういないだなんて信じられません...。
あなたは懸命にこの村や勇者さま御一行様を守りぬいた影の英雄です。
本当にありがとう。」
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影の英雄、だなんて大げさよ...
でも、私があの時守っていなければみんなは全滅していたかもしれない...
...その後、
私の知らないフィアラたちの仲間が軽く自己紹介してくれたあと
いよいよ私との関わりがより深いみんなが映る。
最初はリアンね。
優しくて大人しい感じの武闘家だったわ。
「ライトニーさん...あなたはきっと、
私たちを助けるために犠牲になられたのでしょう...
あのときあなたの勇気がなければ、
私たちは世界を救うことはできなかったと思います...
感謝の気持ちでいっぱいです、本当にありがとう...!」
...続いてバーランドも挨拶する。
「ライトニー...私はあんたとの関わりは少なかったほうだと思うけど、
最終的にあんたに助けられた命であることは変わらないの...
本当、ありがとう...。」
そしてフィアラも挨拶する。
「私は、あなたに2度も救われた...
あなたと出会えていなければ私も世界も救われていない...
イントの言う通り影の英雄ってやつね...
これからもあなたの命だと思って懸命に生きていくわ、本当にありがとう...」
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3人の言葉を聞いて、泣きそうになる私。
よかった...やっぱり妖精時代の決断は間違ってなどいなかった...
そう思ってみんなからのメッセージを丁寧に受け取る。
...するとふと、何か違和感を思い出す。
「...あれっ...アイツはいないの?勇者。そう、ヘンテコ勇者!!」
名前が出てこない。けれど名前を思い出そうとするほど嫌な思い出が蘇る。
[彼は、向こうの世界で...
おっと、これ以上はネタバレになるからやめておこう。]
っていうかもう既にかなりのネタバレしているのでは...(?)
...じゃなくてネタバレって何よ!!
[まあお主の想像通り、彼はこのときここにいなかった。
つまりはメッセージを送ってすらいないのであるぞ。]
ああやっぱりヘンテコ勇者だったわ。
そうして名前を思い出すのをやめる。
[うむ。他に気になることはあるかの?
そろそろ寝ないと明日起きれなくなるぞい。]
「いや、これ夢の世界とかじゃなかったんかい!!」
[ふぉっふぉっふぉ、いいツッコみじゃのう。
今日のところは以上じゃ。引き続きこっちでの世界を楽しんでのー。]
「ああっ、ちょっとー...!」
---...思わず目を開けると、父と母と瑠夷斗が心配そうに私を見つめていた。
「大丈夫...?優衣奈?
さっきからひとりで喋ったり泣いたりしていたのよ?変な夢でも見た...?」
「おい、大丈夫か...明日は無理せず学校休むか?」
「なんていうか...姉ちゃんのひとり言が気になって眠れなかった。。。」
ちょっとー!
神様とのおしゃべりしているときくらい周りに聞こえないようにしてーっ!!
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翌日。
なんとか学校に行くことができたが頭はぼーっとしていた。
「おはようございます、優衣奈ちゃ...」
藍に声をかけられた私の髪は、ボサボサだった。
「ういっす...って、どうしたんっすか、その髪は...」
「いやー...なんか朝起きれなくてぼーっとして...
とりあえず急いでやってきたら...ふわぁぁぁ...」
「だ、大丈夫っすか...?」
すると藍が私の髪を触って綺麗にする。
わ、わあっ...?!
「す、すみません...あまりにも気になったので...」
けれどこうやって友達に髪を整えてもらうのも悪くないわね...
「...にしても昨日何かあったんっすか?」
美歩が気になっていたようで私に質問をする。
「き、昨日は...」
ええーっと、なんて説明すれば...
[正直に言うのじゃ。昨日は神様と会話していたら眠れなかった、と]
「そう、それっ!!」
突然そのように叫ぶと、驚いて動きが止まる2人。
そして神様から笑い声が聞こえてきた。
...結論。
神様は私をいじるのも好きだった。
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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