#15 夏を妄想しました
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#15 夏を妄想しました
6月前半。山村の誘いでお笑いを見に行くことになった私。
その翌日、私はまた藍と美歩に誘われて公園を歩いているのであった。
「昨日は楽しかったっすね。特にミックスフライ定食がよかったっす。」
「ちょっと...楽しいと美味しいを混合してない...?」
私のツッコミにくすっと笑う藍。
そんな感じで楽しく3人で歩いていると...
「うおっと...?!」
突然、美歩が驚いたように立ち止まる。
「何...してんっすか...?」
美歩の視線の先にいたのは、なんと4足歩行をしていたあの少年の姉。
しかもその奥には泰三とかいう昨日のお笑いを披露した人がいる。
「あっ。昨日の公演会の人じゃん。こんなところで何してるの?」
「いやっ、師匠もみんなもちょっと自由すぎやーっ!!」
...へえっ?
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一緒にいた少年から話を聞いた私たち。
どうやら昨日師弟関係になった2人は修行のためこの公園に来ていたらしい。
「ああ、昨日のあれ冗談だと思ってたっすよ。」
「うん、私も。」
なんとなく流れでそう言ってしまう私。
正直どっちでもよかった。
「...で、でもどうしてお姉さんは
4足歩行をするという流れになるんですか?!」
姉さんを心配して、少年に聞いている藍。
すると泰三が突然こんなことを呟く。
「いや、それは自分に、「素の自分」というものを伝えようとしたからや...」
...?、とみんなと一緒に視線が泰三へ移る。
「実はな、今まで、自分の楽しいっていう気持ちよりも.......」
ここからしばらく長い話が始まった気がするが、私はあまり覚えていなかった...
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「...優衣奈ちゃん、大丈夫?ねえ...?」
気がつくと、私はベンチの上で横になっていた。
「よかった。もうびっくりしたよ...
立ったまま寝る人なんてはじめて見た...」
そう言って藍は私に優しく話しかける。
「...寝て、たの?私...」
うん、と頷きバッグを渡す藍。
そういえば美歩の姿が見当たらない。
「あれ...美歩は...?」
「美歩なら優衣奈ちゃんのために飲み物買ってくるって
コンビニに行ったわ。もうすぐ戻ってくると思うけど...」
そう言っていた矢先、美歩がコンビニ袋を持って戻ってきた。
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カシャッ。
美歩が買ってきてくれた飲み物を片手に話を続ける。
「びっくりしたっすね。まさか、立って寝る人がマジでいたなんて...」
「それ、藍にも驚かれた!」
この世界ではそんなに珍しいのかしら。
「っていうかなんかごめんね...
今日は一緒に遊ぶはずだったのに私ってば途中で寝ちゃって...」
「いや、元々公園でゆっくりするつもりだったから全然問題ないっすよ。」
ジュースを飲みながらうんうん、と頷く藍。
なんだ、ただの寂しがり屋なの?この2人.....
青空に浮かぶ白の雲が、太陽を包み込むように流れる。
「そういえば、もうすぐ夏っすねぇ...」
空を見上げながら呟く美歩。
「夏になったらどうなるの?」
私にとってはこっちの世界に来てからはじめての夏。
そもそも妖精だった頃私がいた森には
四季なんてなかったから体験するのもはじめてなんだけどね。
...すると藍がこんなことを言い出す。
「...夏になったら、しばらくこの公園には来られなくなると思います。」
...えええっ?!なんでー?!
「そうっすね。暑すぎて無理っす。」
暑すぎて公園には来られない?!
その言葉に夏がちょっとだけ怖くなった私。
「夏が暑いのは知ってるけど、
公園に来れなくなるくらい暑いってどういうことー?!」
「急にどうしたんっすか優衣奈。まるで夏がはじめてみたいな...」
「いやっ、夏ははじめ...」
っとそうだったそうだった。
私ははじめてでもこの世界のみんなははじめてじゃないんだった。
「あ、夏ははじめ、慣れるのに苦労しますよね?」
藍...?ちょっと何言ってるかわかんない。
「なるほどっす。確かに梅雨が明けたらすぐ
30度越えの日々が続くっすからね。」
「あ、ああ...そ、そういうことね...」
なんか2人が納得してくれたのでそういうことにしておいた...。
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夕方。
家に帰ってきた。
「ただいまー...」
すると今日は休みだった母が何やら段ボールを抱えて部屋へ戻る様子が見えた。
「あっ、優衣奈お帰り。」
私は靴を片付けるやいなや母に問いかける。
「ねえ、何してるの?」
「何って...そろそろ衣替えの準備しなきゃなーと思って。」
「衣替え??何それ。揚げ物でもするの?」
「違うよ姉ちゃん。冬服から夏服に移行するんだよ。」
へ、へえ...と弟の瑠夷斗に衣替えを教えてもらう私。
ってことはその箱の中には夏服が...?!
「まあ今はまだ長袖でも過ごしやすいかしらね。
だからといって急に暑くなったりしたら困るでしょ?」
なるほど...夏に向けてそんな準備が必要なのか...
私は夏について益々興味が湧いてきた。
すぐさま自分の部屋に向かってパソコンを開く。
「...?姉ちゃんどうしたんだ?」
「夏について調べようと思って!!」
「それならスマホでもできる...」
瑠夷斗の声は聞こえておらず、パソコンの検索画面に夏、と入力する。
するとひまわりやスイカの画像が出てきたり、旅行のサイトが見えたりした。
「へえ...夏ってただ暑いだけかと思っていたけどなんだか楽しそうね!」
ひとりで夏の妄想が止まらない私。
しばらく妄想していると、父が帰ってきた。
ガチャ...
「あ、お帰りなさい。」
そしてパソコンの画面を覗いた父は
早速私に話しかけてくる。
「おっ?夏が楽しみなのか?
そうだなあ、今年の夏休みには海にでも行くのはどうだ?」
「海?!こっちの世界にもあるのね、行く行くーっ!!」
「ハハハ、こっちの世界というのはわからんが、まあとにかく
夏は海に行ったり山に行ったり...」
「いや、父さんも姉ちゃんも気が早すぎ...!」
瑠夷斗にツッコまれてようやく我に返る父と私。
それもそのはず、まだ梅雨時期にもなっていないのであった...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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