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【第一部完結】転生ママはメイドになって、今度こそ愛する家族を幸せにします、全力で!   作者: まえばる蒔乃@受賞感謝
第五章・リリーベルの新しい家族

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50・シブレット男爵家の召喚 中

「……え、ええと……何かの間違いでしょう、私は、その、偽証なんて……そうだ、妻が間違えて出したのです! 私は妻から死亡の話を聞いて、それで」

「あなた、そんな……!」

「うるさい、お前が間違えたんだ。恥をかかせてくれて」


 シュヴァルツがとん、と机を叩く。

 魔力の圧が、ぶわっと二人を襲う。


「……()()()()()()()()()? そうか。貴殿は娘が生きていた喜びよりも、自分が恥をかかされることが問題というわけだな」

「そ、それは揚げ足取りというものです魔術伯。娘が生きていたことは何よりも嬉しいです」


 上滑りするような言葉に、場の空気は微動だにしない。

 ここからはギルバートが話の舵を取った。


「第五地方支部総務管理官。死亡届の偽造は重罪に値する行為ではあるが、本日はその件を追及する場ではない。本題の方に移らせてもらう」

「ほ、本題とは……」


 魔力検査のため、部屋の明かりが消され、中央に魔力検査用の水晶玉が置かれる。

 どれだけ水晶玉を輝かせられるか、それが魔力の判断基準となるのだ。


「簡単な話だ。ここで、我々の前で魔力検査を受けてもらう」


 ――なんだそういうことか。


 ジョアン・シブレットの顔に、へらりとした安堵が浮かぶのが見えた。

 水晶玉に向かって両手をかざし、ぼおっと四色の光を出した。

 炎の赤、水の青、風の白、土の黒。

 光に刻まれた目盛が表す数値はごく平均値の場所で上下している。

 持続時間もごく平均値だ。


「よろしい」


 部屋の明かりが灯される。

 ギルバートは眉一つ動かさず続けた。


「ではカトリネ、そしてエリファも同様に受けてもらう」


 ジョアンは慌てた。


「あっ、あの、エリファはお待ちください。娘はまだ幼く魔力が不安定で、人前では」

「構わん。上手くいかずとも『才なし』判定を下すにはまだ早計だ」

「そ、そういうことでしたら……」


 ギルバートの言葉にジョアンはほっと大げさに力を抜く。

 私にはわかる。ギルバートは敢えて『才なし』の単語を使ったと。


(ジョアンは既に魔力の証明をして緩みきっている。『才なし』を他人事として聞けるわ。でも――カトリネは違う)


 現に、『才なし』の言葉を聞いた瞬間からカトリネの表情が青ざめている。

 カトリネは既に夫が『才なし』だと気付いている。魔力が使えるのはポーションのお陰であることも。そして、こちら側がポーションの件について把握済と察しているはずだ。

 この二人の様子から察するに、露見についてカトリネはジョアンに伝えていない。

 何も知らないのは子供のエリファと、ジョアンだけ。


 まずはカトリネが魔力検査を行った。

 彼女はオストマヌ侯爵家の令嬢なので、ジョアンよりもかなり強い魔力を出した。


「お母さま、すごい……!」


 思わず口に出した娘をジョアンが睨む。青ざめ、エリファは口を押さえてうつむく。

 続いてエリファも検査を行う。正規の魔力検査用水晶はやはりびくともしない。


(私の『大自在の魔女』の力が、多少結果に影響を出していたのでは? と言われたわよね……)


 私はギルバートに目配せをする。

 頷かれたので、私は水晶玉に『大自在の魔女』の力をごく僅かかける。

 その途端に僅かに光が生じて、彼女は『才なし』を免れた。


「エリファ……! あなた、やっぱりできるのよ! すごいわ!」


 検査が終わるやいなや、たまらずカトリネが駆け寄って娘を抱きしめる。

 エリファは涙ぐんでいた。

 私がいなくなってから、どれだけ辛い思いをしていたのだろうかと胸が痛む。

 抱き合う妻と娘を見下ろすジョアンは、ぞっとするほど憎々しげな眼差しをしていた。


(なんて眼差しなの)


 本能的な寒気に震える。

 リリーベルは、あの男のあの眼差しを常に浴び続けていた。酷い暴力を受けていた。


(だめね。私は平気だけど、肉体がまだ怖さを覚えてる……)


 ――その時。

 シュヴァルツがそっと私の肩に手を乗せた。

 温かな手に、思わず顔を見る。シュヴァルツは強く頷いてくれた。


 温かな手のひらの熱に、すうっと体が楽になっていくのを感じる。

 体に染みついたつらい記憶が、守られる優しい、温かな思い出に上書きされるのを感じた。


「ありがとうございます。大丈夫です」


 家族全員の魔力検査を終えたジョアンが、挑むようにギルバートを見る。


「魔力詐称の疑い、これで晴らせましたかな宮廷魔術局長殿」


 無言のギルバート。余裕が出たジョアンはぺらぺらとあおり立てる。


「まあ貴殿もまだ若い。アンドヴァリ公爵家の跡取りともあろう方が、たかが一地方官僚の粗探しとは。お体の具合もお悪いと伺っておりますのに、ご苦労なことで。……ああ、そういえば、十年前の魔物騒乱の折も、前線でご活躍だったのは亡き令妹様と、とそちらのリヒトフェルト魔術伯。貴殿は後方で指揮を、とか。やはり指揮官というものは、玉座に座って粗探しをするものなのですかな?」

「あ、あなた……」


 沈黙を貫く場に、ますます顔色を悪くするカトリネ。

 ギルバートは一言尋ねた。


「貴様は娘の健全な生育を望むか?」

「は? 突然何を?」

「いいから黙って答えろ。健全に育ってほしいか、はいかいいえで答えろ」

「それは当然『はい』です。エリファは可愛いですからね」


 無自覚に、娘と言われてエリファだけを挙げるジョアン。

 隣のシュヴァルツの静かな怒気がますます強まったのに、かえって私が気まずくなってしまう。


 ギルバートは「そうか」と答えると、扉の前に立っていた魔術騎士に顎で示す。

 

「娘を部屋から出してやれ」

「む、娘をどうなさるのですか!?」

「わめくな、カトリネ・シブレット。俺は罪のない子供に危害を与えるほど落ちぶれちゃいない。俺はな」

「っ……!」

「もちろんこの宮廷魔術局長の連中もだ。……どうした? 顔色が悪いぞ?」


 カトリネはすっかり黙り込んでしまった。

 不安そうに母を何度も振り返っていたエリファだが、魔術騎士が子供向けのスライムのおもちゃ(ミントローズがよくユーグカに渡していた、あれだ)を見せるとはしゃいだ声を上げる。


「宮廷魔術局長。ミントローズ・パルスレー参上いたしました」

「ああ、入れ」


 入れ替わりに入ってきたのはミントローズだった。いつもと同じ制服と白衣の姿だ。

 やっぱりあのおもちゃを作ったのは彼女なのか。

 ミントローズの入室に、ジョアンはますますギルバートを小馬鹿にした言い方をする。


「おやおや、今度は学生ですか?」


 明らかにムッとした顔をするミントローズ。

10000ポイント超えました……!(涙)ありがとうございます~!

2月中に第一部完の予定です。何卒よろしくお願いします。

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   \愚か者の婚約破棄/
  短編コミカライズです
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杠葉こゆき先生のコミカライズ作品
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