表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】転生ママはメイドになって、今度こそ愛する家族を幸せにします、全力で!   作者: まえばる蒔乃@受賞感謝
第二章・少女魔術師はレイラ推し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/55

15・未来の再婚相手?

――気がつけば朝。


「はっ!!!」


 目の前にはシュヴァルツの寝顔。そして間にはユーグカの頭。

 私はいつの間にか、ユーグカを腕に抱いて眠っていたらしい。


「あわわわわ」


 私は狼狽を声に出しながらベッドから出て、ユーグカをシュヴァルツの腕の中に押し込む。


「ふみゅ……」


 まだ明け方なので、むにゃむにゃとユーグカはシュヴァルツの腕の中に収まる。


「ふう……」


 ひや汗をぬぐって寝室から出て、私は身支度をし直す。


「いけないいけない、私は今レイラじゃなくてリリーベルなんだから、だめよ」


 鏡の中に映るのは金茶色のおさげの少女。

 他のメイドがいるような環境だったら、シュヴァルツによからぬ噂が立つところだった。

 廊下を歩いていると、


「おはようございます」

「ひっ!?」


 イスカリエさんが後ろに立っていた。


「お、おはようございます」

「寝落ちていましたね、昨日」

「ああ、あの……ミントローズ様には内緒に……」

「あの人が聞けば大変でしょうからね、分かってますよ」


 その後、私は朝の仕事を終わらせる。

 ユーグカは玄関先で石や草を並べて遊んでいる。 

 私はその様子を見守りながら窓を拭いていた。


「そういえば、リリーベルさん」


 隣で庭先の灯籠をみがきながら、イスカリエさんが言う。


「仕事がしやすいように共有しましょうか。ミントローズ様の事情を」

「お願いします」

「兄のセージ・パルスレー副部隊長が、旦那様の同期なのはご存じですよね」

「はい」


 兄のセージはシュヴァルツの同級生で10年前も同じ部隊に居たので知っている。

 学生時代、シュヴァルツは当初孤立していた。

 貴族が多い魔術学園では「美しい妾の子」なだけで目立つのに、更にレイラ――アンドヴァリ公爵令嬢に目をかけられているのだ。嫉妬羨望、様々なもので遠巻きにされていたシュヴァルツと真っ先に仲良くなったのが、地方領主の息子だったセージだ。

 

「魔術騒乱でパルスレー辺境伯領が焼け野原になり、領地もご両親も亡くなりました。そんなとき、レイラ様が追悼の意を込めて援助と手紙を送ったそうです」


 それは覚えている。

 私は当時すでに宮廷魔術師として働いていて、実家とは別の財産もあった。レイラは自分の財産と様々なつてを使ってまとまった義援金を作り、数々の領地領民へと送った。

 貴族の財産も魔力の才能も、いざとなったとき困った人のために使う。

 それがアンドヴァリ公爵家の家訓だったのだ。


「もしかしてミントローズ様は、顔も見たことのない奥様へのご恩を、今もずっと覚えていらっしゃるのですか?」

「彼女が最年少で学園へ入学したのも、学園の特別許可を得て湖の魔力調査に携わっているのも、すべてはレイラ様への強い憧れあってのものです。そしてユーグカ様の為に力になりたいと強く思っている。……その思いが強すぎるときもありますが、ユーグカ様が今日まで健やかに育ったことに、彼女の働きを無視はできません」

「そうなのですね……」


 私は窓を磨きながら、感謝の温かな気持ちを感じていた。

 父シュヴァルツはぼろぼろで、母レイラ(私)はすでに故人だ。出自が特別な上に『大自在の魔女』の力もあるものだから、おそらくアンドヴァリ公爵家もユーグカを安易に引き取れなかったのだろう。

 ユーグカは、父を皆から守るために、ハリネズミのようになっていた。

 ミントローズはそんな彼女の力になってくれていたのだ。


「……」

「どうしました?」


 窓を拭く手が止まった私に、イスカリエさんが首をかしげる。


「彼女、旦那様の未来の再婚相手にぴったりなのでは?」


 ぽろ、とイスカリエさんの持つぞうきんが落ちる。


「いえ、だって、奥様にいつまでもご執心の旦那様と、奥様に多大なる思い入れがあり、ユーグカお嬢様にも懐かれているミントローズ様は、ちょうどぴったりなのでは」

「……リリーベル様。それは難しいと思いますよ」

「えっ、どうしてですか? いやもちろんすぐにとは言いませんし、二人とユーグカお嬢様の気持ちがあってのことではありますが、可能性としては」


「ぜろぜろのぜろ。全くないですわ、何を言ってるのかしら? 信じられませんわ」

「みんとしゃん!」


 私より先にユーグカがぱっと反応した。

 呆れた様子のミントローズが、腰に手を当てて立っていた。


「リヒトフェルト部隊長と結婚? 冗談じゃありませんわ。私がお慕いしているのはレイラ様です。ユーグカ様のママはレイラ様です。私がなれと言われたら、たとえ相手が国王陛下でも喉をかっさばいてし……どっかにいきます」


 ――死ぬという言葉を、ユーグカを慮って言い変えたらしい。

 やはり悪い子ではないんだろうな、と思う。


「ユーグカ様、研究所で作ってきたスライムです。どうぞ」

「わー」


 玩具として使われる無害なドロドロ人工スライムをユーグカに手渡すミントローズ。

 

「ぱぱにみせてくる!」


 ユーグカは『大自在の魔女』の力を使ってふわふわとスライムを空に浮かべながら、てててと父の元に去って行った。

 それを見送った後。ミントローズは真面目な顔になった。


「話をしましょう。他の人の邪魔が入らない場所で、私とあなた、二人っきりで」

「二人でですか」

「これは客とメイドではなく、シュヴァルツ様の部下として、ユーグカ様の友人として、あなたが信頼に足る人物か見極める必要があるからですわ」


 イスカリエさんに「彼女借りますわね」と告げた後、彼女はサクサクと前を行く。


「あ、あのどちらに行くのですか? あまり城を離れるわけには」

「研究所ですわよ」

「対岸ですか? 流石にそこまでいくわけには」


 ぴた、と足が止まる。


「あなた何を言っているの?」

いつもブクマと評価ありがとうございます!

ところで12時更新と6時更新、どっちのほうがいいでしょうか……?

悩んでます;

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
╭━━━━━━━━━━━━━╮
   \愚か者の婚約破棄/
  短編コミカライズです
╰━━━━━━v━━━━━━╯
こんな愛らしい絵柄の 杠葉こゆき先生に
最高にざまあな問題作をコミカライズしていただきました!
ぜひご堪能ください!!!

杠葉こゆき先生のコミカライズ作品
まえばる蒔乃2024年刊行作一覧

୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月5日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
『逆追放された継母のその後 ~白雪姫に追い出されましたが、おっきな精霊と王子様、おいしい暮らしは賑やかです!~in森』
レーベル:集英社
ISBN-10:4086320347

୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月6日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
『身に覚えのない溺愛ですが、そこまで愛されたら仕方ない。忘却の乙女は神様に永遠に愛されるようです』
レーベル:PASH!ブックス
ISBN-10:978-4-391-16402-2

୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月10日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
『ハリボテ聖女は幼女になり、愛の重い神様と追放ライフを満喫する』①
漫画:恭屋鮎美
レーベル:モンスターコミックスf(双葉社)
ISBN-10:4575419737
連載:がうがうモンスター

୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月17日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
『異世界で○○からの執着愛が止まらない!?アンソロジーコミック』
漫画:久我山ぼん
レーベル:フロースコミック(KADOKAWA)
ISBN-10:9784046842879
詳細:短編コミック『寝物語で暗殺回避を続けていたら、危険な溺愛が始まりました』原作担当

『捨てられ花嫁の再婚 氷の辺境伯は最愛を誓う』
漫画:永野ユウ
レーベル:フロースコミック(KADOKAWA)
ISBN-10:4046842598

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ