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【第一部完結】転生ママはメイドになって、今度こそ愛する家族を幸せにします、全力で!   作者: まえばる蒔乃@受賞感謝
第二章・少女魔術師はレイラ推し

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12/55

12・襲来、つんつんツインテお嬢様

 ――城を訪れて二週間。

 あらかた城の中は片付けることができた。

 ユーグカの魔力暴走も少なくなったし、整頓するだけなら簡単だ。


 一度船で岸に戻り、イスカリエさんと一緒に日用品や食料品の買い出しに出た。

 用事を済ませた後、配達人さんと大荷物と、イスカリエさんと船に一緒に乗る。

 イスカリエさんもこれからは、城にとどまる時間を増やしてくれるらしい。


「実は、体調が随分治ったのですよ」


 腕をぐるぐると回すイスカリエさん。


「リリーベルさんが城の魔道具調整をしてくれたお陰ですね。レイラ奥様が整えた城の調整は、他の誰もできませんでしたからね」

「『大自在の魔女』の力ありきの装置ばかりでしたからね……」


 私は申し訳なさで目をそらす。

 まさかすぐに死ぬとは思ってなかったから、城の装置は全部『大自在の魔女』の力ありきだったのだ。シュヴァルツだって動かせない。


(――そういえばシュヴァルツって、今お仕事はなにをしているのかしら)


 寝てばっかりだから、療養中、ということなのだろうか。

 魔術伯としての収入もあるし、魔物騒乱の成果に対する報奨金もあるから、ずっと寝ていても生活に困ることはないし問題はないだろうけど。


 城に戻ったらぴよぴよと足音が近づいてきた。


「りーねー!」

「ユーグカ様! ただいま帰りました!」

「おかえりー」


 ぴよぴよぴよっぎゅー!


 ぎゅーっとくっついてくるユーグカは、すっかり私に懐いてくれた。

 りーねーとは、リリーベルお姉ちゃんの略らしい。


 歩くとぴよぴよ鳴るお靴はレイラ時代に使っていた物のリメイク。

 過剰な魔力が体にたまらないように、音と光と一緒にちょっとずつ消費される魔道具だ。

 感情が昂ったときの、過度な『魔力暴走』を避けられる。


「りーねー、みて」


 手にはお絵かきしたばかりの絵が握られている。

 ぷにぷにのお手々がクレヨンの色まみれで、エプロンドレスもクレヨンだらけで賑やかな状態だ。

 

「まあ、色がいっぱいですね! これはおそとの絵ですか? この黒いのは、お父様?」

「おそと! ぱぱなの! あのね、ぱぱね、おそとあるくとかげみたいなの」

「うふふ、そうですね、真っ黒のお召し物ですもんね」

「でもね、ユーグカとおなじ目の色なの。これ!」


 彼女がポケットから出したのは、青のクレヨン。鮮やかだ。

 嬉しそうに父と同じ瞳の色を自慢する彼女に、私は胸があたたかくなる。

 幼いころの私とうり二つの顔。それでいて、瞳の色はシュヴァルツと同じ真っ青だ。


 ――レイラ(わたし)があの日死んでいなかったら生んでいたかもしれない、二人の特徴を宿した娘。

 ――違う。あそこでレイラ(わたし)が命を賭していなければ、この平和はなかった。

 ――レイラ(わたし)と湖の魔力の奇跡で生じたユーグカも生まれなかった。


 感慨深くじっと見つめていると、ユーグカが首をかしげる。


「どちたの?」

「お嬢様と会えて良かったなと思ってました」

「えへへ」


 はにかむと、ユーグカはさっそく私の手をとる。


「こっちきて! みて!」


 こっちこっちと引っ張られるままに玄関ホールに向かう。

 壁にはあちこちに、たくさんの絵が貼り付けられていた。


「わあ……!」

「すごい?」

「はい、まるで美術館ですね! 全部おひとりでできたんですね」


 えっへんと胸を張ると、ユーグカは私に見せた絵を取り、『大自在の魔女』の力でふわっと持ち上げる。


「ふわふわ、ぎゅー……」


 絵の下に平行に力をかけて、ひらひらしないようにして、壁にぴたっとくっつけた。


「ぺったん!」


 私は犬のぬいぐるみと一緒にぱちぱちと拍手した。


「ぺったんできましたねー!」


 嬉しそうにふにゃっと笑うユーグカ。

 私は『大自在の魔女』の能力練習の一環で、壁に絵を貼る方法を教えていた。

 簡単なようで、実はとっても大切な訓練なのだ。


 1・対象物A(紙)を選ぶ。

 2・対象物B(壁)の場所を決めて

 3・ひらひらと落ちないように、バランス良く紙を浮かせて

 4・壁に貼り付け、固定する

 

 壁はレイラ時代に強化しているので、力任せにくっつけてもびくともしないので練習にはもってこい。

 集中力や空間把握能力の訓練にもなる。レイラ時代にも、よくやっていた訓練だ。


 そのとき。


「壁にまるで花が咲いたようだな」


 シュヴァルツだ。

 顔色が随分良くなったし、足取りもしっかりしている。


「ぱぱ!」


 ユーグカがぴよぴよと走って、両手両足でひしっとシュヴァルツに抱きつく。


「ふふ、元気だなユーグカ。私も元気になってきたよ」

「ユーグカがんばったから?」

「うん、ユーグカのおかげだよ」

「えっへへ」


 嬉しそうに、シュヴァルツは抱き上げて頬ずりした。

 シュヴァルツは幸せそうな顔のまま、ユーグカの服を見た。


「さっそく色とりどりになったな」

「大丈夫ですよ、レイラ様の古着なので『大自在の魔女』の力でささっと落ちます」


 私の言葉に彼は満足げに笑う。


「ありがとうリリーベル。お陰で、レイラの古着を出せるようになった」

「いえ、とても綺麗に保存していただいていたお陰です」


 ユーグカが履いている天使の羽がついたぴよぴよ靴も、鮮やかな赤いワンピースも、汚れないように上から着ているエプロンも、全部レイラのお古だ。


「これまで遺品は開けなかったからな……」

「『大自在の魔女』の鍵がかかっていたら、そりゃあ開けませんよね」


 私が死んだのは引っ越したての時だった。

 だから遺品も開けないのだ。

 前世の私が全部鍵をかけちゃっていたから。


 シュヴァルツは肩をすくめる。


「何せ『大自在の魔女』の遺品だ。宮廷魔術局から提出を求められたり、勝手に持ち去られようともしたが、なんとか遺品は全部手元に置いている」

「た、大変でしたね……」

「引き続きレイラの荷物の片付けやユーグカに使えそうな物の整理は、君に任せるよ」

「ありがとうございます。迷ったらご相談いたしますね」


 ユーグカを降ろすと、シュヴァルツが眠そうに目を擦った。


「……私はもう少しソファで休む。昼食になったら起こしてくれ」

「承知いたしました」


 イスカリエさんを伴い、シュヴァルツが奥へと引っ込んでいく。

 治ってきたとはいえ、数年間でずたぼろになった体が簡単に全回復するわけではない。


「ばいばいー」


 ユーグカが父に手を振る。

 最初はずっと父にぺったりだったユーグカも、今はばいばいができる。安心したのだろう。


「じゃあユーグカお嬢様、一緒にキッチンでお野菜ちぎりしましょうか」

「やる!!」


 嬉しそうにユーグカがぴょんぴょんする。

 ユーグカはちぎったり洗ったり、ドレッシングをまぜまぜする、サラダ作りのお手伝いがだいすきなのだ。

 キッチンに向かっていると、玄関ホールの方で気配がする。


「お客様かしら」


 注文していた魔道具屋さんが早く来たのかな。

 そう思って玄関に向かうと、見たことのない女の子が立っていた。

 13,4歳だろうか。毛量の多いチェリーレッドのツインテール。

 魔術学園の制服に、白衣を纏った活発そうな子だ。


「はあ? まだ子供じゃありませんの」


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╭━━━━━━━━━━━━━╮
   \愚か者の婚約破棄/
  短編コミカライズです
╰━━━━━━v━━━━━━╯
こんな愛らしい絵柄の 杠葉こゆき先生に
最高にざまあな問題作をコミカライズしていただきました!
ぜひご堪能ください!!!

杠葉こゆき先生のコミカライズ作品
まえばる蒔乃2024年刊行作一覧

୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月5日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
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レーベル:集英社
ISBN-10:4086320347

୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月6日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
『身に覚えのない溺愛ですが、そこまで愛されたら仕方ない。忘却の乙女は神様に永遠に愛されるようです』
レーベル:PASH!ブックス
ISBN-10:978-4-391-16402-2

୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月10日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
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レーベル:モンスターコミックスf(双葉社)
ISBN-10:4575419737
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୨୧┈┈┈┈┈┈ 12月17日発売 ┈┈┈┈┈┈୨୧
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漫画:久我山ぼん
レーベル:フロースコミック(KADOKAWA)
ISBN-10:9784046842879
詳細:短編コミック『寝物語で暗殺回避を続けていたら、危険な溺愛が始まりました』原作担当

『捨てられ花嫁の再婚 氷の辺境伯は最愛を誓う』
漫画:永野ユウ
レーベル:フロースコミック(KADOKAWA)
ISBN-10:4046842598

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
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