報告書 願導人形(ゼーバ)について
現時点で判明しているゼーバ製の願導人形について記す。表記は、型式番号-機体名の順。数字は大字を使用。
黒を基調とした暗めの色が多用され、シアン、マゼンダ(マゼンタ)、イエローをワンポイントに起用した、全体的に刺々しく、主に武者鎧を着た獣人のような姿をした機体群となっている。
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・「鼠ノ拾漆-アート」
古代願導人形の右腕〈ライトアーム〉を解析して開発されたゼーバ初の願導人形。特にこれといった特徴の無い、ゼーバには珍しいオーソドックスな人型汎用機。
現在使用されている型は、十七代目アートと呼ばれているもので、従来のものより小型化と高性能化が進んでいる模様。
尚、ウィナードが使用していたのは大型の初期型「最古アート」の改造機であると思われる。
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・「烏ノ零壱-ブレイン」
ライトアームの「本体」を、現在の技術を用いて可能な限り再現した汎用人型試作機。右腕には、ライトアームがそのまま接続されている。
本体カラーは黒、右腕のみ黄金。その色と背部から放出される願力の翼から、鳥、特に烏を思わせる。
古代願導人形の再現といっても、エンジン等は既存の願導人形のものが使用されている為、性能は遥かに劣るとされている。それでも、古代の力の一端を使用出来るようで、現行機種を圧倒する性能を誇る。
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・「馬ノ零弐-ヒーロ」
ニーブックの旧NUMATAの技術を流用して開発された量産試作型ブレイン。
姿形はブレインとは似ておらず、馬面の武士のような風貌。アンティークの特異な力も持っておらず、性能的にはアートの発展型といった汎用性の高いもので、実際の運用は指揮官機の役割が大きい。
バックパックを可変させ、ケンタウロスのような四脚形態にもなれるのだが、戦場で有効に使用出来る者は限られている。
セラの専用機「ホワイトホーン」は黒い騎士のような増加装甲と、頭部の白い一本角が特徴だった。
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・「獅子ノ壱陸-ノエル」
細身の本体に長い四肢を持つ高機動型。唯一の武装は、腕部と一体化した遠近両用のライト兵器。機動力を活かした近接格闘戦や、撹乱に向いていると思われる。
オプションとして、マニピュレータを排して攻撃・防御性能を向上させた腕部爪ユニットや、長靴のような脚部増加ブースター、尻尾の扱いに長けた魔族の使用を想定したテイルサブアームユニット等がある。
マジェリカの機体はプレーンなものだったが、カイナ機は彼の容姿に似た派手な装飾が多かった。こういった機体との親和性が、リンクの向上に一役買っていた極めて分かりやすい例といえる。
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・「山羊ノ肆伍-オーグ」
長い腕と頭部には山羊の角、背部に悪魔の翼を持った支援機。角は高性能のレーダーであるが、コロニー内部では他機と同様に機能の制限を受ける。
腕部の長さを活かしたトリッキーな動きの他、願導合金の粒子を散布することで、範囲内の敵体勢力の願力伝達能力を阻害する「呪力」デバフを使用できる。ただし、発動中は使用者本体の行動に制限がかかる。
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・「牡羊ノ弐捌-アルム」
背中に背負った二門の大砲が特徴的な遠距離支援重砲撃機。重結晶の弾丸を羊毛のように予め全身に纏う事で、強力な重結晶の砲弾を連射することが出来る。
だが、纏った毛は重結晶なので、硬度以上の威力で撃たれると、破裂して自身がダメージを負ってしまうという欠点がある。
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・「蟹ノ伍弐-カルバ」
強固な鎧のような装甲に身を包んだ防衛用。鎧と鋏を展開し、そこに硬度を増幅されたバリアを張り巡らせることで、周囲の味方を守護する。
重装甲ゆえ動きは鈍いが、願力の高い者が操れば願力推進で帳消しに出来る程度。生存率も高いため、浦野菫曰く、ウロの民と呼ばれる一般兵からの人気は高いらしい。
バリアはライト兵器として攻撃にも転用可能なようで、交戦時には投擲や突撃に使用されていた。
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・「牡牛ノ参参-バイン」
高出力の新型エンジンとスラスターを搭載した強襲用重装甲突撃機。耐G性能も強化されており、中・遠距離からの急接近で、後続の道を拓くのが役割と思われる。
魔族のジュード・ピーターはライト兵器を使用していなかったが、彼が搭乗していたのは試作機だったようで、正式採用機には何かしらの武装が備わるであろう。
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・「融合分裂-シオン」
人と機体が融合分裂して誕生した、願導人形にして新たな生命体。その外骨格を刻んだり、他のパーツと繋ぎ合わせたりして、無理矢理改造されたものが、シオン・シリーズと呼ばれている。
シオン自体にも意思があり、願力を使用する事が可能。その色は、純白である事が多い。
他機種より大型で出力も高く、一見すると高性能だが、生物であり、なによりその誕生経緯から量産には一切向いていない。
兵器としては、信頼性に欠ける。隣人として接するべき存在である。
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・「融合分裂ノ壱-シオン壱号機」
僕らの味方です。