報告書 人間たちの街
神聖アルカド皇国に属する人間たちの街。その中から幾つかを記す。
・ニーブック
現在のアルカド領の最西端の一つ。
中心を大きな川で分断された、東西に長い街。北を海に、その他を山に囲まれた陸の孤島。
夏は暑く、冬は寒い。曇りがやたらと多く、雪と雨による年間降水量は地味にアルカド第二位だったりする。四季がはっきりと分かれており、特に春の桜が綺麗と評判。
面積はそこそこ、人口はまあまあ。都会とは言い切れないが、田舎とも言い難い。西区には軍需関連の施設が立ち並び、住民は専ら東区に住んでいる。
住民の多くは黒髪黒眼で、やや黄色がかった肌をし、名前も漢字表記と独自の文化が根付いている。お米や酒が美味いらしい。
NUMATA創業の地であり、現在のニーブック支部(支社)は、少しトンチキな商品を企画、開発する支部として有名。沼田製菓というグループ企業も、ここが起源。
ニーブック人は、アルカド国内で願力が最も低く、平均でレベル2しかない。
・ザッタ
アルカド最多の人口と人種を誇る雑多な街。
面積はそれほど広く無い為か、上へ上へと建物が伸びていき、良くムカデクワガタに叩き落とされているとニュースになる。
地下は地下で、違法な巨大遊戯場があるとか、ガンドールを使用した賭けバトルをしているとか、謎の実験施設があるとかの話題に事欠かない。
・ゲーデン
近年発展著しい街。向上心と対抗心、それに郷土愛に溢れているのか、住民の多くは他の街を敵視している。中でもニーブックは目の敵にされており、NUMATA発祥の地を主張する。
・オーセツ
年中大雪に覆われた街。年間総雨量は圧倒的第一位。度数の高いお酒と、激辛料理で有名。
軍規に厳しく、自分たちの軍事力に絶対の自信を持つ。放っておくと他の街を侵略しに動くので、近隣の街は同盟を結んでいる。
・アダト
乾燥し痩せた土地。周囲の街ともあまり関わらず独自の文化を築くが、ニーブックとは違い、住民の多くは裕福とは言い難い。
十歳を迎えると徴兵される。
・フーシヤ
風車や花畑で有名な自然豊かな街。
〈神都〉に程近く、国立第一学園は皇族や純白だけで無く、覚醒出来なかったシロも通う超巨大施設。
シロと純白では明確に住む地域が違い、例外無く、シロは純白側へは立ち入り出来ない。純白側が高地にある事が多い。これらは、子供の内から純白至上主義を叩き込む為と云われる。
・神都
神である〈神皇〉が住まう都。周囲を巨大な壁が覆い、純白の中でも選ばれた極一部しか入る事を許されない禁断の地。
神皇に即位した者は「宮殿」に篭り世俗との関わりを断ち、肉親であっても会う事は無いと言う。
神を守護する〈セプテントリオン〉が常に警護にあたっている。
・シャングラ
かつて存在した遺都。
ニーブックよりも更に西に位置し、魔国ゼーバと最も近かったとされる。
水路が発達し、澄んだ水には神の力が宿っていたという。現在はモンスターによって占拠され、変貌していると推測される。
・リューシ
ニーブックと同じく、黒髪黒眼が多く住んでいた遺都。その為、しばしば「リューシ・ニーブック」と言われ、ニーブックと混同されていたと文献に遺されている。
数百年前「リューシ王国」と名乗り、アルカドから独立したらしい。その名の通り王国制だが、王は何故か一度に七人も選ばれるそうで、虹を模した国章もあったそうだ。
シャングラ同様、モンスターによって壊滅させられたというが、そもそも、この街の存在が歴史上表に出る事は殆ど無く(ニーブックと混同されたのもあって)本当に実在したのか、懐疑的である。