聖なるイデアの創造
主人公の設定は、元々作者が漫画にしたいと思っていた構想に材を取っており、名前がそのまま意味深長な響きになることを狙って名付けたものです。
今回で彼女の本名〝出会さくら〟が何を意味しているかお分かりになるものと思います。
(――あなたは……)
か細く儚い、でも何よりも透き通った声が聞こえた。
私の名前を尋ねる声だと、分かった。
「わ、私の名前は……」
声が、震える。
私はこれから、この名前で生きるんだ。
決意を固めても、恐さとか、心細さとかが綯い交ぜになって。
でもそこには確かに、嬉しさもあって。
やっとの思いで私の中の偉大な魔法使いの名前を、絞り出した。
「氏はイデア、名はマギカ。
イデア・マギカこそ、私の名前です!」
水を打ったようなしじまが、一瞬。
でも。
(……ふふっ。なるほど、ね)
すぐに楽しげな声が聞こえてきた。
そこから神様(仮)と私は一緒にマギカを創り上げていった。
容姿だったり。
(マギカは、どんな自分に、なりたい?)
「み、見た目ですか?」
(そう。聞かせてくれる?)
「は、はい。顔も体もこのままで、髪の色は白、目の色は青で、いいでしょうか?」
初期装備代わりの私服のデザインだったり。
(私服の色は、白と黒、ベージュから選べる、けど……)
「今の服(膝丈の白いワンピースと黒いローブ、鍔広のエナン、すなわち魔女風のコスチューム)でお願いします!」
メインの役職だったり。
(マギカは、どんなことを、したい?)
「魔法を使ってみたい、です」
種族だったり。
(生まれは、どんな種族が、いい?)
「エルフだと魔法が得意だったりしますか?」
(特技は、メインの役職が、大事。
でも、エルフだと、魔法を覚える機会が、多い……かも)
「だったらエルフがいいです!」
ステータスだったり。
(パラメーターは、分かる?)
「えっと、初心者なのでお願いできればな、と……」
(任せて)
「ありがとうございます!」
そんな感じで厖大な項目を設定していくこと――なんと30分。ようやく最後の項目に辿り着いた。
(チュートリアル、の前に、最後のプレゼント)
それは困る!
「これ以上戴くなんて恐れ多いです……!」
(そういうのはいい。もらって)
結局、困らせるともっと困ってしまうので黙って困ることにした。
「プレゼントは何でしょうか……?」
(初期武器。
マギカにとって、魔術師の武器って、何?)
「そうですね……。
杖も良いけど、本も捨てがたい……。
他に何があるんですか?」
(手に入れやすいのが、その2つ。
他は一部装身具、楽器、カード、声、血、痣等、色々)
今一瞬聞き捨てならなかった!
「痣……ですか?」
(そう。どう見ても、出生の秘密、隠されている、やつ)
「あのー、あくまでですよ、後学のためにお聞きしたいのですが、痣ってどう使うんでしょうか?」
(手を合わせて、思いを籠める)
うーん、魔術師のイメージとは少し違うよね。
やっぱりここは最初の2つから……。
(マギカ。体を合法的に弄れるのは、今ここでだけ)
――かくして私の初期武器は痣となった。




