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聖なるイデアの祈願

 VRのコンテンツへの中継地点となる仮想空間Holostellaの個人用活動拠点、通称〝(ホーム)〟にて。


「やっぱり『H○rry Online』だよね……」


 蔦が絡み付いた1枚の鏡に浮かび上がった文字列を前に呟く。

 私間違えてなかった!

 と、勘違いをお洒落なフォントのせいにして悦に浸らせていただいたところで、鏡に右手を伸ばす。


 中指がぴとっと鏡面に触れると、そこから波が広がり柔らかい光が溢れ出す。

 光はやがて視界を純白に染め上げ、私だけを世界から切り抜いた。



 まぶた越しの眩さが引いていく。

 私はゆっくりと目を開いた。

 立っている場所は夜の森だった。とはいっても明るい月が(さや)かに照らし出す泉の(ほとり)で、おまけに小さな光がいくつも立ち上っているから暗さはなく、安らぎすら覚える。


 ここでやることは頭に入っている。


 私は迷いなく泉に足を浸けた。

 膝ほどの深さの水は昂揚する心を鎮めてくれるようで、一歩静静(しずしず)と――それでも時々踏み出す足を間違えそうになりながら――ひんやりと冷たい水を往く。

 そして、この場で最も目立つ場所――光が一番強い泉の真ん中へと進み出た。

 目を瞑り手を合わせて、願う。


(神様、お願いです。

 私に魔法のような景色を、時間を、どうか――)





(――あなたは……)

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