聖なるイデアの初撃
少し狭い道を抜けるとそこは円形の広間だった。直径20mほどで、音がよく響くことが予想される。見上げると天井から青くて大きい何かが落ちてくるところだった。
1秒後にそれは広間の真ん中へと着弾した。思ったより静かで芸術点をあげたくなる墜落ではあったけど、巻き起こる一瞬の風が入り口にある私の顔に強く吹き付ける。
私は向き合う。
気泡の浮いた涼しげなアイスブルーの体色。
衝撃をぷるぷると殺し続ける弾性に富んだ物性。
表情の窺い知れない滑らかな体表。
このダンジョンの主が姿を現した。
まずは時間の経過で取り戻したMPで相手のHPを見定める。
「Fyr」
炎が飛ぶ。スライムを捉えた炎はじゅっと一際大きく燃え上がる。
HPバーは確かに削れていた。
あと30回から40回くらいかな?
それさえ分かれば今ここでやることはない。
私は逃げ出した。
このボス部屋は扉ではなく細長い穴によって外界と隔てられている。
ボス戦に入ると穴が不幸にも崩れ落ちるという展開もなかった。
私の作戦は、MPが溜まるまで待ってから炎以外の魔法でもダメージを確かめ一番効率のいい魔法で攻めるというもの。
方針を固めた私は部屋の外の軽くなった空気を取り込むように体を伸ばす。
そしてボス部屋が見えるような向きで腰を下ろす。
そこには形を変えて狭い穴を抜けようとする青の姿があった。




