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三題噺もどき

五月のコンビニ

作者: 狐彪

三題噺もどき―ひゃくさんじゅうさん。

 お題:ソフトクリーム・コーラ・レモン




 四月も終わり、五月中頃。

 天気は暑くなったり、寒くなったり。上の方では、雪が降っている日まであるとかないとか。

 だがここ数日は、暑い日が続くようになっている。

「……」

 暑い日、なんて安定しなくていいというのが正直なところではあるが。

 毎日のように、毎週のように、気温が変わるよりはマシ…となんとか言い聞かせる日々。

「……」

 毎日家でゴロゴロしている私には、あまり関係なかったりするが。仕事は、在宅のものをしているので、好きな時間に働き、好きな時間に休んでいる。

 今日、実際のところは、暇ではなかったりするが。いかんせん気が乗らない。この暑さも手伝って、気力を根こそぎ奪っていく。

 冷房機器がないわけではないが、それはそれで、身体がだらける、私は。

「……」

 こんなにしている暇があるなら、働けというものだが。何もしたくないとはいえ、何かしないといけない…。

 んー。冷蔵庫のものがなくなりつつあったから、買い物にでも行こうか…着替えるのが面倒だ。散歩…この炎天下で?仕事…やる気ゼロ。

「……」

 ―コンビニにでも行くか。着替える必要もないし、必要最低限の食事さえ確保できればいいので、軽く何か買うことにしよう。

 ありがたいことに、近所に三か所もある。赤、青、緑、三か所。

「……」

 よし。そうと決まってしまえば、さっさと動こう。ここでぐだってしまえば、私はもう動かない。今は多少なりとも、動こうという気力がわいてきたから、こうして行動しているのだから。

 私は、私の事が分からないが、こういう面倒なところは分かっている。分かっているとも。自分がいかに面倒くさいやつかなんて。誰よりも。

「……」

 よし。準備完了。

 財布とケータイを持ち、多少は見れるような、ラフな格好に着替えただけ。しっかしまぁ、これだけでも疲れたな。これじゃ、外で仕事なんてできたものじゃなさそうだ。―する気はないが。二度と。

「……」

 ふと、たまには歩いて行ってみるのもいいかと思ったが、外に出た瞬間、暑すぎてやめた。

 車で行こう。文明の利器は使っていかなくては。



 五分もかからないうちに、コンビニに到着する。近くにあるというのはいいことだ。外出時間の大幅な短縮になる。

「……」

 小さな入店の音が響き、自動ドアが開く。

 涼し…。

 どんないい冷房使ったら、こんなに広範囲に冷気が広がるのだろう。我が家のアイツは、少々古いタイプのものなので、目の前しか冷やしてくれない。そのうえ、冷気が設定温度より低い気がする。体感温度が。低い。

「……」

 さて。

 足は、無意識にアイスコーナーへと向かう。暑い日はアイスに限る。

 私は、コンビニに売られているソフトクリームのが好きだったりするのだが。少々値が張るのが困りどころだ。―今日は我慢して、もう少しお手軽なのにしよう。メーカーのものでもソフトクリームもどきみたいなものは居る。案外そっちの方がおいしかったりする。

「……」

 購入するアイスに軽く目星をつけ、止まらずにそのままの速度でさらに奥へと行く。

 奥にはずらりと飲料水が並んでいる。紅茶に水に、お茶。レモン水なるものもある。上の棚には大き目のエナジードリンクが独特な色合いを主張して並んでいる。徹夜時に、お世話になるやつだ。

「……」

 何を飲もうかと眺めていると、炭酸が並ぶ列に目が止まる。

 ―あぁ、そういえば。

 先週あたりにレンタルビデオ店で借りたDVDがあったはずだ。帰ったらそれを見ることにしよう。目に留まったのは、赤いラベルの炭酸。

 映画鑑賞には、コーラとポテチだ。

「……」

 そして、手に取ったコーラを片手に、流れるようにお菓子コーナーへ。数あるポテチの中から、小さめのものを一つ。味はうすしお。これ以外はあまり食べない。

「……」

 並んでいる菓子類を見て思ったが、こう暑い日が本格的に始まると、柑橘系のものはよく売れるのだろうか。さわやかな、オレンジ味とかレモン味とか、塩分補給もかねてか、レモン味の塩飴とかもあるのか。

「……」

 何個か、気になるものはあったものの、余計なものは買うまい。お金の無駄遣いはしないように。惜しむようにその場を離れ、アイスコーナーへと戻る。

「……」

 目星をつけていたアイスを手に取り、そのままレジへと向かう。

 どうやら、気さくなお姉さん。一つ一つ、レジに通していく。

「袋はどうしますか?」

「あ、お願いします」

 一枚三円。

 これが積み重なるのはよくないというが、今日くらいいいだろう。―と言いつつ、かなりの頻度で買っている。

「ありがとうございましたぁ」

「ありがとうございます」

 レジ店員のお姉さんに、ほぼ癖になっている謝意を告げ。

 袋を手に取り、コンビニを後にする。

「……」

 ぉ。あつ…。コンビニが涼しかったから、尚更。

 さっさと帰って、DVD鑑賞会と洒落込もう。アイスも溶けてしまう。


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