一分。
私の寿命はあと一分だ。
なぜだかそれがわかった。
私は焦燥感に駆られていた。
いやだ。
死にたくない。
なぜ死ななければならないのだ。
いやそれよりも何かしなければ。
何をすればいい。
私のやりたいことは何かあっただろうか。
私の夢は何だ。
ああそうだ。
私には夢があった。
ずっと後回しにしてきた。
いつかやるはずだった。
そうあの夢だ。
でももう遅い。
なにもできない。
できるはずがない。
いつも楽な方に逃げてきた。
貴重な時間を漫然と過ごしていた。
私は阿呆だ。
もう今更気にしていても仕方がない。
今の時間を大切にしなければ。
私にはまだやるべきことがある。
家族に思いを馳せたい。
もっと一緒にいたかった。
もっと好きだって言っておけばよかった。
もっとありがとうって言っておけばよかった。
もう直接伝えることはできない。
だけどこの想いは確かにここにある。
私の中の一番強い想いだ。
ありがとう。
私を生んでくれて、
育ててくれて、
愛情をくれて、
一緒にいてくれて、
ありがとう。
悪くない人生だった。
もし次があるのなら、
後悔のないよう、
今を一生懸命生きたい。