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恋人予行練習(演劇台本用)

作者: 宿木 はたけ

※演劇台本用

恋人がどうしても欲しい優紀は幼なじみで恋愛相談のスペシャリスト、和葉に相談をする。そして彼女が出した提案は___

___"仮"で付き合うことだった。

「恋人予行練習」


・佐野 優紀

・雛野 和葉


和葉 「・・・うん、そうだねぇ、やっぱ無理にアピールしすぎると悪い印象持たれそうだからもう少し大人しめに動いてみよっか…うん、頑張ってね。それじゃあ」

和葉、通話を切る

和葉 「今日だけで5人目・・・皆青春しているなぁ・・・」

上手より優紀登場

優紀 「・・・」

和葉 「あれ、優紀じゃん、もう部活終わったんだ」

優紀 「・・・」

和葉 「?なんか元気ないね、どうしたの?」

優紀 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」

和葉 「ちょ、ちょっと何!?急に叫ばないでよ!!怖!!と、とりあえず落ち着いて?ほらどうどう・・・」

優紀 「俺は馬じゃねぇ!!」

和葉 「とりあえず落ち着いてよ、何があったの?」

優紀 「・・・笹野と小野の話聞いたか・・・?(涙目)」

和葉 「え?その二人って、最近付き合い始めたあの?」

優紀 「そう!!あの二人だよ!笹野のやつ・・・『俺、二次元にすでに嫁いるからな~ってか、三次元に興味ないっすw』って言っておきながら!!あっさりとリア充の仲間入りしやがって!!」

和葉 「そ、そんなことであんな叫んでたの・・・?」

優紀 「そんなこととはなんだ!!いいか和葉、お前は俺の幼馴染だから特別に教えてやるけど、高校生活って人生に何年しかないと思ってる?たった3年間だぞ!?思春期という精神に大きく影響を与える時期に人生の勝ち組にのし上がることは今後の大学生活、いや社会人になっても重要になってくるだ!それだけでなく恋人をつくるということh」

和葉 「あーわかったわかった言いたいことはわかったから・・・まったく、興奮すると多弁になる癖なんとかしてよもう」

優紀 「あ、わりぃ」

和葉 「それで、自分は恋人ができないからあんな落ち込んでたんだ」

優紀 「なんだよその『自分はモテます』みたいな言い方」

和葉 「な!?やめてよ!私だって彼氏なんていないよ!!」

優紀 「だよな!!お前は仲間だと思ったぜ!!」

和葉 「は?(圧)」

優紀 「あ、いやぁ・・・アハハハハ」

和葉 「・・・はぁ」

優紀 「けどなんであいつがリア充になれたんだ?」

和葉 「さぁねぇ・・・」

優紀 「!なぁ和葉、おまえなんか知ってるんじゃないか?」

和葉 「え?」

優紀 「だってお前、結構恋愛相談乗ってるって聞いたぜ?わんちゃん笹野のやつが聞いてきた可能性があると思ってさ」

和葉 「まぁ、完全に知らないってわけではないけど」

優紀 「!ほら!!やっぱ当たってた!俺名探偵になれるぜ!?」

和葉 「だけど残念だったね名探偵さん、相談に来たのは小野さんのほうだよ」

優紀 「小野さんが!?笹野のことをぉ!?え、それって小野さんが佐野を好きだったってこと!?」

和葉 「まぁ、そういうことじゃない?」

優紀 「なんで!?Why!?」

和葉 「知らないよ、私はただあの子に告白する勇気をあげただけだし」

優紀 「そんなばかな・・・?いや、確かにあのド陰キャオタクが女子に相談するとも考えにくい、いやそもそも女子と会話できるのかもあやしい・・・」

和葉 「酷評だなおい」

優紀 「にしても俺がモテずにあいつがモテる理由がわからない・・・!まさか、奴が陰キャだからか!」

和葉 「同レート帯が何を言ってんだが」

優紀 「じゃあなんなんだよ。和葉ならわかんのかよ」

和葉 「・・・まぁ。」

優紀 「まじ!?どこどこどこ!?」

和葉 「それがわかんないんじゃまだ優紀はリア充になれないかもね」

優紀 「くっそ・・・なんだよそれぇ・・・なぁ、ヒントくれよ!!」

和葉 「ヒント?例えばどういう?」

優紀 「あーほら!和葉の好きなタイプとかさ」

和葉 「ふぁ!?」

優紀 「?なんだよいきなり」

和葉 「そ、それはこっちのセリフだって!」

優紀 「?変な奴だな」

和葉 「・・・本当に意識してなくてそれ聞いてるんだよね?」

優紀 「なんの話だよ。頼む!俺はモテたいんだ!教えてくれよ!!女子の意見を聞けるのはお前だけなんだ!」

和葉 「・・・わ、私は別に、一緒にいて、楽しくて、いつでも笑いあえたら、それでいい、かなって」

優紀 「顔とか、ファッションとかは?なんかおすすめのブランドとかあるのか?」

和葉 「私は別に気にしないかな、その人に合う服装だったらなんでも」

優紀 「うーん、よくわからないなぁ。やっぱ一人しかいないからなぁ」

和葉 「・・・そういう優紀はどうなの?」

優紀 「え?俺?」

和葉 「優紀はその、好きなタイプとかあるの?」

優紀 「あーーそうだなぁ。・・・やっぱ美人っていう項目は必須かな。あとは年上よりは年下の巨乳後輩がいいわ。ほら、色んな勉強教えてあげてさ、それで『さすが先ぱ・・・いやゆうくん❤』・・・とかぁ!?言われちゃったりするのいいと思いますね!」

和葉 「・・・」

優紀 「あれ、でもこの『さすが先輩』って某ゲームアニメのヒロインも似たようなことを言っていたな。はっそうかつまり俺の理想の彼女像はサシュなのか!なるほど確かにこれは素晴らしいですね、いやぁやっぱ三次元は二次元には勝てんというわけですな!!ガハハハッ」

和葉 「・・・」

優紀 「あのぉ、いつもみたいに止めないんですか?」

和葉 「!あ、いや、あまりにバカっぽくて言葉を失ってた!うん」

優紀 「ひどくね!?それ」

和葉 「とりあえず理想を高く持ちすぎかな。高校生活で出会える人数なんてかぎられているんだしもう少し抑えめにいったら?」

優紀 「高く持ちすぎって・・・どれくらい下げたらいいんだよ」

和葉 「それはわからないよ、個人の問題だし」

優紀 「けっ、そこはあいまいなのかよ。くっそぉ、個人の問題とか全然わかんねぇんだがぁ?」

和葉 「・・・」

優紀 「・・・」

和葉 「・・・あ、あのさ」

優紀 「?どした?」

和葉 「その・・・私が、なってあげよっか?」

優紀 「え!?!?もしかして俺の彼女になってくれるのか!?」

和葉 「!!あ、その・・・バカ!、勘違いしないでよ!あくまで『仮』だから」

優紀 「え・・・仮?」

和葉 「優紀に彼女ができるまで私を練習台として使っていいよってこと」

優紀 「ええっと、つまり・・・」

和葉 「もう!だから!優紀に彼女ができるまで私が彼女の役になってあげるっていってるの!!」

優紀 「なるほど!!確かにいきなり本番でやるよりもこういうことになれておいたほうがいいしな!やっぱ天才だな!おまえ!」

和葉 「ありがと、っていうか、もしかしてさっきの言葉、本気にしてたの?私の渾身の告白は」

優紀 「は!?ち、ちげぇし、それにお前とは幼馴染であってそれ以上でもそれ以下でもないだろ」

和葉 「・・・ま、そうだよねぇw。それで、どうする?やるの?」

優紀 「もちろん!恋愛相談のスペシャリストかつ一番一緒にいて俺の事を1番理解しているおまえがいれば百人力だぜ」

和葉 「ちょっと」

優紀 「どうした?」

和葉 「お前じゃなくて和葉って呼んで」

優紀 「え?」

和葉 「恋人同士ならお互いに名前で呼び合うんだよ?そのほうがドキドキするでしょ?」

優紀 「なるそど、わかった。よろしくな、和葉」

和葉 「任せて、優紀」

優紀 「・・・なんか改めて名前で呼ぶと変な感じだなw」

和葉 「まぁ、そのうち慣れてくるよ」

優紀 「あ、じゃあ俺の家こっちだから、またな!!」

優紀、上手に退場

和葉 「・・・」


 こうして私は優紀の恋人予行練習に付き合うことになった。


(暗転)


(優紀ボイス)

それから三か月がたった。始めの頃は色々と注意されることもあったが、最近ではすっかりそんなこともなくなっていた。まぁ、『一人で勝手に盛り上がらない』とか『彼女の気持ちを読みとりなさい』とか細かいことを含めればまだ注意されたりするんだけど。それでも和葉と過ごす日々は今までとあまり変わらなかったせいか誰も俺たちが仮で付き合っていることを気づかなかった。まぁ、前から仲が良かったしわからないものなんだろう。二人でいろんな場所に行って、馬鹿にしあって、笑いあって・・・それだけで充実した一日を過ごしていた気がした。この生活がずっと続くのも悪くない、そう思えた。そんな時スマホから一つの着信音がした。


(明転)

電話をとる

和葉 「はいもしもし、あ白野ちゃんどうしたの?・・・まぁ、確かに恋愛相談には乗ってるけど・・・うんわかった。うん、告白したい相手か、ちなみに誰?・・・え、佐野君って、もしかして優紀?・・・・・・いや、ごめんなんでもない。幼馴染だからちょっと動揺してただけ、うん・・・うん・・・早めに言葉をかけていいと思う、・・・うん。それじゃあ。」

電話を切る

和葉 「・・・もう、終わりかぁ。短かったなぁ・・・」

顔をうずめる


和葉 「なんで、『仮』なんて言っちゃったんだろう・・・」


(和葉ボイス)

仮で恋人になってから3か月がたったころだった。私は複雑なきもちだった。優紀を恋愛対象として見始めたのは中学3年の修学旅行が終わった頃からだった。今までただの幼なじみでしか見てなかったけど、現地で思い出のキーホルダーを落として困っていた時に自分の班を連れて探してくれた。そんな男らしさや優しさに惚れたんだと思う。だけどずっと『好き』という二文字を伝えることが出来なかった。幼馴染だから告白なんてできなかった。いや、本当の理由は自分でもわかっていた。私は弱虫だからだ。あの日だってそうだった。だから私は彼女になることから逃げてしまった。もしあの場で逃げずにちゃんと『彼女』としていられたら・・・こんな張り裂けるような思いはしなかっただろう。だけど、私は知ってしまった。優紀にとって私はただの幼馴染であり、恋愛対象ではなかった。だからいつかこの設定に終わりが来たら区切りをつけようと決めていた。だから白野さんの恋を応援することにした。それが優紀が一番幸せになれるんだ・・・そもそもあれは優紀がリア充になるために始めたんだから……


和葉 「これでいいんだ・・・本当にこれで・・・ん?これは・・・」

(一枚の写真を手に取る)

和葉 「懐かしい、修学旅行の写真だ・・・すごい笑ってる」


(和葉ボイス)

本当にこれでいいの?私はここで逃げたらいつもと同じ。またきっと後悔するだろう・・・今までがそうだった。きっともう二度とこの関係になれないかもしれない。

和葉 「・・・このままでいいの?」


私は・・・後悔したくない


和葉 「白野さん、ごめんなさい」

(スマホを手に取る)


(暗転)


(電話の着信音)


(明転)


和葉 「やっぱり、こういうのは電話じゃなくて直接言ったほうがいいもんね・・・うん。もう決めたから・・・大丈夫」

優紀、上手より登場

優紀 「お、おっはよー!!」

和葉 「あ優紀、おはよう、ちょっt」

優紀 「あぁ!!聞いてくれ!!和葉!!俺ついに!!彼女ができたんだ!!!」

和葉 「え?」

優紀 「実はな!昨日の夜に白野さんから電話が来て告られたんだ!!やったよ!!!俺ついにリア充になれたんだ!!女子にモテたんだよ!!!」

和葉 「・・・」

優紀 「やっぱ俺にも女子にモテる要素はあったというわけだ!これを引き出せたのも和葉のおかげだぜ」

和葉 「・・・」

優紀 「?どうしたんだ?」

和葉 「・・・いいや、なんでもない」

優紀 「なんでもなくないだろ」

和葉 「いいや、そんなこと」

優紀 「嘘つくなよ」

和葉 「・・・わかるんだ」

優紀 「『彼女の気持ちを読みとりなさい』って教えてくれたのは和葉だろ?」

和葉 「覚えててくれたんだ」

優紀 「当たり前だろ?俺はモテようと必死だったんだ。ほかにも覚えてるぜ?『一人で勝手に盛り上がらない』とか」

和葉 「それは、うれしいな」

優紀 「それで、なんでそんな悲しい顔をしてるんだよ」

和葉 「・・・おわっちゃうなぁって」

優紀 「・・・ああ、そうか」

和葉 「うん」

優紀 「ごめん、何もお礼もできずに・・・俺だけ教えてもらって何も恩返しできなかった」

和葉 「・・・。何言ってるの、白野さんを幸せにするのが私に対する一番の恩返しだよ。自分の教え子の成長が見れるんだから、ね?」

優紀 「・・・そうか。頑張るよ」

和葉 「うん」

優紀 「!白野さんだ。それじゃあ俺先に行くよ」

和葉 「うん」

優紀 「・・・」

和葉 「・・・優紀!」

優紀 「?どうしたー?」

和葉 「・・・いい彼氏さんになったね」

優紀 「・・・ありがとう」

和葉 「・・・」

優紀 「・・・ッ!和葉!俺、和葉と一緒にいた3か月間、今までにないくらいすげぇ楽しかった!!いつもとしていたことは変わってないのになぜかいつも以上に和葉を意識できた。すげぇ安心してたし嬉しかった!!だからさ!いつか、和葉にも俺なんかよりもすげぇいい彼氏ができると思う!!俺は恋愛とか全然わからないけど!そうおもうんだ!!」

和葉 「・・・。ありがとう、元気出たよ」

優紀 「おう!それじゃ、また学校でな!」

優紀、下手に退場

和葉 「……バカ」


和葉、下手に退場




そのうち小説版を投稿します

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