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墓守は今日もアンデッドと共にある  作者: ピーター
第1章 墓守リッカと悪魔の指輪
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第37話 祝杯に向かう

モーラ神父との戦いの翌日、休みをもらった墓守はその過ごし方を決めていた。

 モーラとの戦いから1日が過ぎ、太陽は大地にその姿を隠す頃になっている。

 窓からは弱く夕日の残り火が差し込む頃に、この部屋の主の墓守が目を覚ます。


「う~ん、良く寝たぁ」


 墓守のリッカがいつも起きてくる時間だ、いつもはこれから墓守の服装である灰色の上下と黒のローブに着替えるが、今日はそれとは違い、爽やかな緑色のシャツと明るい茶色のズボンを取り出してきて着替え始める。


「あれ? だんな休み?」

「昨日が悪魔退治だったからね」


 眠そうな目で、寝ぐせが付いた髪のまま外出用の靴に足を入れて行く。

 仕事に行くときには丈夫で無骨な黒い靴を履いていくが、今日は街中を歩く事に向いている柔らかい素材で作られた靴を選んでいる。


「でかけるの?」

「うん、お酒のみにね」

「クーラの姉ちゃんから飲ませるなと言われてるから、止めさせてもらうぜ!」

「そのノリは知らないよ」


 リッカがズボンのポケットから一枚の木の札を取り出して、スペックに押し付けるように見せる。


「ん? クーラのねえちゃんからか」


 昨晩モーラの教会の見回りを終えて安全を確認、悪魔化したモーラの死体がある部屋を立ち入り禁止として、翌日に礼拝に来た人達へ悪魔払いの後のため急遽立ち入り禁止になったという説明ができるように整えた。その後にリッカとゼロストを始めモーラ神父の教会に出向いた全員がカルド神父の教会自慢の治療師たちの診察を受けた。

 リッカも壁が凹むほどに叩きつけられ、悪魔化したモーラとも対峙している。怪我でも呪いでも何でももらっていてもおかしくなかったが、リッカはカミュからもらった下着のような防具の効果もあり、かすり傷程度で済んだ。

 こういった怪我や病気などの状態については、札で示される事が習わしとなっている。この札があることで呪いや魔術を受けていないという証明にもなる。


「へー、だんな無傷だったんだ」

「それでも、あちこち痛いよ」

「お酒は?」

「解禁! 行ってきます!」

「あっ!」


 素早い動きで早足とも思えるスピードで出かける。

 行くのはいつものお店、怪我や仕事の都合で禁酒を言い渡されていたリッカだったが、今日は仕事も終えて怪我もない久しぶりに万全にお酒が飲める日になったのだ。戸締りはスペックに任せて、自分は軽やかな足取りで路地を進んでいく。

 少し大きな通りを抜け、家路に着いた人達の合間を縫いながら目的の店へと足を向ける。雑踏の向こうにはリッカが常連の明け方まで開いている酒場が見えてくる。


「だんな、待ってって」

「あ、スペックも来たの?」

「飲みに行くんだろ、俺も混ぜてくれって、留守番は暇なんだよ」

「ハイハイ」

「で、バルさんとボルさんって3つ子だったの?」

「え?」


 スペックが指さす先は店舗の外にあるテーブルだが、見慣れたピンク色の肌と、小さくとがった耳を持つ巨体が2つ、戦士ギルドのバルとボルが樽でビールを飲んでいるいつもの姿が見える。

 そして、その向こう側には2人と同じくらいの巨体が見え隠れしている。


「いや、双子だけど……」


 店に近づくにつれて、3体の巨体の見え方もハッキリしてくる。話声も届くところまでくるとバルとボルが気が付いて声をかけてくる。


「おう、墓守じゃねぇか」

「ん? おう墓守、今回は手柄だったな!」

「バルさん、ボルさんこんばんは」


 バルとボルの2人と話をしながら近づいていくと、2人に隠れた巨体もハッキリと見えてくる。


「お! 墓守のリッカードではないか?」

「え? だれこのデカイおっさん」

「スペック! 失礼!!」


 先日、悪魔化したモーラ神父と一緒に戦った、ゼロストがそこに居た。

少し短めですが、後日再度投稿します。

毎週金曜日は必ず更新は続けられるように頑張ります。

他の曜日は仕事の進み具合によりけりですが、出来るだけガンバリマス。

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