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待てど暮らせど

作者: 高奈

いつも「空は青いなぁ」なんてぼんやりと過ごしているけれど、頭の中は彼のことばかりを考えている。

仕事が忙しくて頻繁に会えないのはわかってるつもりだし、私が手伝えるようなものでもないことも承知しているつもりだ。

でもやっぱり、寂しく思ってしまうのはさながら「恋に恋する乙女」というやつなのだろうか。


「はぁ~あ!早く帰ってこないかぁ」


わざとらしく声に出しながら部屋の掃除を進めていく。

こもりっきりの私には正直こんなことしかやることがないのだ。

窓から見える空は、やはりいつも通り青くて、たまに白い雲がぷかぷかと気持ちよさそうに泳いでいる。

雲が空を漂っていることを泳いでいると初めて表現した人は誰だったのだろう。

とても的を得ていて素晴らしいと思う。


「うーみはーひろいーな、おおーきぃーなー」


空を見ながら海の歌を歌う。

そんな矛盾したことをして気持ちを紛らわせてみるが、やはり寂しさは拭えない。

むしろ虚しさが加わった。



どこにも行かずに、ずっと私のそばにいてほしいと思うこともあるけれど、楽しそうに仕事をこなす彼を好きになったのだからしょうがない。

大事にされている自覚はあるし、久しぶりに会うと毎回申し訳なさそうな笑顔で出迎えてくれて目一杯甘やかしてくれる。

他に何を望むんだと聞かれたら、やはり「ずっとそばにいてほしい」とか「もっと触れ合っていたい」というカビの生えたようなことしか言えない気がする。


長く寄り添えば寄り添うほどにワガママになっていくけれど、貴方の全部が欲しいなんて言わない。

貴方の手も足も背中も瞳も唇も、全部愛おしいけれど、それは全部貴方のもの。だから、たまにでいい。

たまに、貸してやってもいいかな?って時に、私に貸してくれれば、それだけで満足。


「な~んて、言えたらイイオンナになれたんだろうな~」

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