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「何か来るにゃ。狙うにゃ」
マクスがピアに指示を出す。
「う~ん? あっ本当だ。任せて置け、私の腕前をお前たちに見せてやるよ」
ピアが敵を確認して弓を引き狙いを定める。
ギギギと弓がしなり、弓の紋様が光る
敵が着地するタイミングを狙って矢を放った。
ピンッと甲高い音がし、それと同時に「当たった」とピアは確信する。
基本的に的を外すなんて事はないが、さすがにこの状況下では緊張する。
もし、外しでもしたら最悪だ。
そんな中で当てれた事に、ピアは高揚感に包まれていた。
「冷静さが売りの自分がこんなにも興奮しているとは
なんだか変な気分であるが、悪くはない」
それにいつもよりも調子がいい気がしていた。
敵が倒れた
「よくやったにゃ」
「う~ん。見えないけど流石ね」
「すごいですぅ」
みんなが私を褒めてくれる。
当てるのが当たり前の弓使いの世界では、
当てて褒められるなんて事はない。
だから私は少し戸惑う。
「何かまだ来るにゃ。今度は多いにゃ」
「そ、そうみたいね」
砂埃を立ててやって来るのが見える。
「リース、極大魔法を頼むにゃ」
「ここでやるの? まぁ周りに何もないからいいけど」
リースはマクスに言われるまま、魔法の準備に入る。
「ピアと俺は魔法が発動した後の残党狩りにゃ、ロダは二人の回復を頼むにゃ」
「わかった」
「はいですぅ」
そうして現れた大群めがけてリースの極大魔法が炸裂する。
ドガーン
轟音とともにマクスは駆け出していた。
ロダはリースに回復をかける
ピアは弓を構えた
リースはロダに回復してもらっている間、確かなものを感じていた
「やったわ、やってやったわ。さすが私ね」
いつも以上の破壊力をみせた自分の魔法
「私って本番に強いのかしら」
ロダはリースを回復させる。
あれだけのものを放ったのだから大分もっていかれるかと思った魔力は
思っていたほどは、もってはいかれなかった。
「凄い魔法使いというのは、少ない魔力で魔法を放つんだな」
ロダは関心していた。
ピアはその目で勇者が戦っている姿を見ていた。
実に無駄のない動き、敵が簡単にバタバタと倒れていく。
リースの魔法でほとんどの敵が倒せていたが、
「私の仕事は? 」
自分の倒す相手が無くなってしまうのではないかと思うほど、
マクスが残党をテキパキと始末していく。
ピアも負けじと矢を放つ。
「終わったにゃ」
駆け回っていたマクスが帰って来た。
パーティの初陣はこちらの被害無しの完勝で終わる。
三人娘もあまり実戦というものを味わう間もなく終わってしまった。
実戦を行ったにもかかわらず、明らかに元気なのだ。
なんなら今からでも、もう一戦できそうなくらい体力が有り余っている。
実戦というのはもっと、疲れるものだと教わっていた三人には
消化不良な結果ではあったが、
「ちょっと疲れたにゃ」
マクスがそう言うので三人娘はそれとなく戦ったんだなと思うのだった。