連行
クロユリが連れて行かれた夜、
アカツが酒を珍しく飲んでいた。
「弱いんじゃなかったのか?」
俺がそう聞くとアカツは目を伏せて言ってくる
「話…聞いてくれる?」
俺が頷くとアカツ話始める。
「僕ね?男の人達が言ってる事、
本当はよく分かるんだ。心の何処かで納得してる。
でもね?私はアザミとの約束…私が幸せだった
アザミを殺して産まれたクロユリには
本当の意味で幸せになって欲しかったんだよ。
だけどクロユリの力が皆んな使えるようになるのは
人類として考えるとそれは良い事だと思うんだ。
僕はどうしたいんだろうね…」
アカツはハンフに火をつけて吸い始める。
「ハンフ…好きなのか?」俺は聞く
「そうだね…頭がスッキリするんだよ」
とアカツが言う
「吸い過ぎには気を付けろ」
俺が言うと「そう…だね」と言って火を揉み消す
「実はね、儀式で使ってた祭壇の下に何か
よく分からない空間があるんだよ」
アカツが突然話を変える
「多分、僕しか気付いてない、実はね
僕には見えるんだ、魔物の中に何か色が見える…
それがね?クロユリにも見えるんだよ、
クロユリが産んだ子供にもね…
それと同じもの、すごく大きいそれが
祭壇の下にも見えるんだ、何なんだろうね」
「祭壇の下…か」俺は復唱する
「僕はこれからも抗議を続けるつもりだよ
僕が間違ってるのは分かってるけどね。
僕に何かあったらシロツ、クロユリとみんなを
よろしくね、知ってるんだ、シロツが凄く強い事」
俺は教国に来てからそれ程魔物を殺していない、
周りの人々が我先にと魔物に攻撃を仕掛けるからだ
「俺にも、何か見えるのか?」
俺は聞くがアカツは首を振る
「何も見えないよ、けどね何でか分かる気がするんだよ」
俺たちは夜遅くまで話して眠った。
俺が目を覚ますと周りにアカツは居なかった。
俺はいつものように壁を作りに行く。
数日経ってもアカツの姿が見えないので仕事仲間に
聞いた「アカツが何処にいるか知らないか?」
男は答えた「アカツさん?確か首都を作った辺りに向かったと思うけど…」そう言って首を傾げた。
一昨年は「アカツが30歳になった」と言った
頃合いに壁は建て終わり教国の形が出来た。
俺は仕事仲間に「アカツの様子を見てくる」と
言ってアカツがあるはずの首都に向かう。
数日歩いた、やけに立派な石造りの建物が見えた
「教会か…確かここは」ここは祭壇の場所だ
俺は教会の裏に人骨が吊るされているのに気がつく
下には石に刻まれた文字が書かれている。
『堕ちた聖女、神の反逆者の末路』
と記されている。
俺は目を瞑った、頭を落ち着かせる
ハンフを吸うと頭がスッキリした
「僕に何かあったらクロユリとみんなをよろしく」
そんな言葉を思い出す、クロユリは何処に
いるのだろうか、俺は教会の扉を開く
中には鎖に繋がれたクロユリただ1人だった。
「クロユリ、大丈夫か?」俺はクロユリに聞く
「あなたは?」クロユリが吸い込まれるような
黒い瞳で俺の目を見る。
「シロツだ覚えているか?」
クロユリが笑って言葉を吐き捨てる。
「なに?あなたも私を犯しに来たの?」
俺は首を振る。アカツとの約束を果たしに
そう言うとクロユリは笑って言う
「周りを見なよ?シロツさん」
俺は周りを見ると辺り一面に何処から出てきたのか
男達が弓を構えてこちらを見ている。
「私は短期間に沢山産める身体だったみたい、
最近は3日に2人産める、沢山産んだ私の価値は
もう大して無いみたいよ?」
クロユリが笑う、男達が躊躇なく矢を放つ
全身に矢が刺さる感触、目を見開くクロユリを
腕に抱き抱え、俺は祭壇の下を全力で殴る
地面が砕けると暗い空間に俺たちは落ちる
落ちる堕ちる墜ちる
俺はクロユリの悲鳴と自分の体が無残に潰れる音を聞いた




