アカツの中から
俺は布に触れると強制的に体の主導権がアカツに移り、俺は体から出られなくなった。
何度も何度もアカツに呼びかけたがアカツに聞こえてない様だ、ロベリアに止められてもハンフを吸い
よく分からないキノコを食べるとアカツが狂い始めたのを見ていることか出来なかった。
「ハンフを吸うとスッキリするよね♪シロツ」
アカツが俺に話しかけてくる
『おい!アカツ!それ以上吸うな!
明らかに過剰摂取だ!』
そう俺が必死に声をかけているのに
「美味しいね♪シロツ」
と一人で喋っている。
アカツが帝国に着いた、これまでにロベリアは
何度もアカツを止めてくれた、それでもアカツは
辞めなかった、毎日返事が聞こえてないと思われる
アカツが一人で話している。
もうロベリアも何も言う事が出来なくなっていた。
フェアグニューゲンから救出した女達と
ロベリアが話している、アカツはソファーで眠っていた。
「すまない…こんなことになるとは想像もしてなかった」
ロベリアが頭を下げるが彼女たちは無表情だ
「それで、アカツさんはなんて言ってましたか?」
最後に見た時より少し、しわの増えたアネモネが聞く
「シロツ君を確認出来なくなった時からずっと
繋がりを感じるから大丈夫だ…と」
ロベリアは手を握っている
「アカツさんがシロツさんと話し始めたのは
いつからですか?」
スレナが聞く
「ハンフを吸い始めてからだ、だから私は
幻覚症状だと予想している訳だ、
現にシロツ君が体を動かしているのを私は
あれ以来見ていない」
しばらく沈黙が流れる
「シロツさんが出てくるまで私達は待つ事しか出来ません、今話すべきはそんな事ではないのではなくて?」
ガーベラがそう言うとロベリアが溜息を吐いて
「そう…だな」
と言った、それからは今の状況の確認だった
まず帝国では子供が産まれない事が深刻化していた
元々市民が国の人口の10%しか居ない帝国だ
奴隷の反乱の危険もあるが、それ以上に
労働力の減少がかなり痛手になりそうだと言う。
最後に産まれた子供は今は5歳で
若い奴隷が減っている。
このままだと帝国が国としての形を保てなくなる
可能性を懸念している様だ。
「私はこの異常現象の原因が教国にあると考えている」
ロベリアがそう言って言葉を紡いでいく
「まず、私達が調べた遺跡だが、そこには生と死について書いてある、シロツ君が読んだ新しい文章は
『ある者はない者、ある者はない者を求め
ない者はある者を求める、交差する結果に変化なし』
だそうだ、私は聞いた時は意味が分からなかった
だが『ある者』は私達を表しているのでは無いのだろうか?アカツ君も『ある者』だ、そう考えると
シロツ君は『ない者』になる、シロツ君になくてアカツ君にある物、それは魔力だと考えているのだが
どう思う?」
ロベリアが女達に問いかける
「あの…そうしたら私たちも『ない者』になるんですが…」
そう答えたペチュニアをロベリアが見て驚く
「となると…魔力の線は外れてか…」
そう落胆するロベリアにガーベラが声をかける
「少しシロツさんに固執しすぎでは無いかしら?」
そう言ったガーベラに「どう言う意味だ」と
ロベリアは軽く睨みつける
「まず、この『ない者』はアンデットではなくて?
命のない者は『ある者』命のある者を求める
現にアンデットは人を襲ってくるじゃない?」
少し考え込みロベリアが「いや、まて」と言う
「その考えだとシロツ君は死んでいる事になるぞ?」
そう言ったロベリアにペチュニアは微笑む
「えぇ、だって彼は死の神の使徒ですから」
結局俺もロベリア達も何が起きているのか分からずに話し合いは終わった。
アカツは目が覚めると直ぐに教国に向かい出した。
歩いている時も一人で喋っている。
アカツが教国の兵士に捕らえられて引き摺られる所も
俺は見ている事しか出来なかった。
「痛い!痛いよ!」
と声を上げるアカツを引きずる男たち
俺は何も出来なかった。
歓声を上げる市民達に俺は何も出来なかった。
ロープで吊り上げられるアカツの体、
悶え苦しむのを見ている事しか出来なかった。
上等な服を着た男が透き通った鎌を俺達の体に振るう
俺はアカツとの繋がりが切れた感覚がした。
『アカツ!』
俺は咄嗟に声を上げる
アカツが何度も俺の名前を呼ぶ
俺を探して声を上げる声が遠ざかって行く
何処かに落ちる様な感覚を俺は感じて
俺達の繋がりが完全に切れた




