断罪
私達は聖教国に向かって歩いているが、
一月もしないで聖教国には到着した。
何故なら聖教国はデカイのだ、その国力は世界一
人工の数も何もかもが他の国と比べて
全体的に高い基準にある。
もちろん帝国ほど鉱石は採掘されていないし
皇国ほど技術開発に力を入れている訳ではない
しかし宗教的に聖地であるこの国は裕福だ
街行く人々は皆笑みを浮かべている。
これだけの人工の数、それに体を私が動かしている
から目の色は赤紫色になっているだろう
白髪に赤紫色の目だ、よく見る見た目では無いが
探せば何百人といる見た目だろう。
それなのに私は今対魔の枷をつけられて
騎士達に引きずられている。
「痛い、痛いよシロツ…」
シロツは『あぁ、そうだな』と答えた
そのまま馬車に鎖を括り付けられて馬が走り出す。
私の体に全身が擦り下ろされる様な感覚が走る
『ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛』
堪らず足をバタつかせて体と地面の接着面積を
少なくしようとするも、馬車の速度に敵わず
地面に体を叩きつけるだけに終わる
対魔の枷の所為で魔法が使えない私は
されるがままに引きずられて教国の首都に
連れて行かれる。
赤い線を地面に描き馬車が止まると馬が倒れる。
私は朦朧とする頭でシロツの名前を呼ぶ
「シロツ…痛いよシロツ…』
シロツは『あぁ、そうだな』と答える
「あら?馬が死んでしまったわ、可哀想に」
そう言う栗毛色の髪に茶色い目をした
純白のドレスのような格好をした女が馬に触れると
馬が生き返り立ち上がる。馬の中には魔石が見えた。
「教皇様の言う通り、捉える事が出来たのですね」
そう言って私に微笑む女、私は意識を保つ事に必死で言葉が出せない。
「死者を導く者、クロハの処刑の準備を」
そう私を連れてきた男達に言うと男たちは満遍の笑みで
「はっ!」と敬礼した、男たちの中にも魔石が見えた。
それから私は目隠しをされて何処か冷たく硬い地面の感触がする場所に引きずられてきた。
でも私の中のシロツの感触で安心できた。
「大変なことになっちゃったね…シロツ」
シロツは『あぁ、そうだな』と答えた。
あれから何日か経っただろうか、それともまだそれ程時間は経っていないのだろうか。
私は目隠しされている所為で時間感覚が狂ってしまっている。
「そう言えば目隠しされて物が見えないって不思議だね?
前まで目を閉じても見えたのにね?シロツ」
シロツは『あぁ、そうだな』と答える
「何があってもずっと一緒だよね?」
私は少し不安になってシロツに問いかける
シロツは『あぁ、そうだな』と答える
「時間だ、連れて行くぞ」
知らない声が聞こえて私は引きずられる
「痛い!痛いよ!」
シロツは『あぁ、そうだな』と答える
周りから歓声が聞こえる、沢山の人々の声だ。
私の首に縄を巻かれる感触がする。
「皆様!彼がこの世に死者を導き、この世に生者が産まれないように暗躍した者です!」
男の声が聞こえる、私は咄嗟に違うと声をあげようとするが猿轡を噛まされて言葉を出す事が出来ない。
「以前に首を落としてもこの様に私達を妬んで蘇って来た死者クロハには斬首刑ではもはや軽い!
なので今回は首を吊るして初代聖女様が残してくださった、斬魂の大鎌で徹底的に殺します!」
市民達の雄叫びの様な歓声が響く
「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」
男も女も子供も老人も殺せと声を上げている
「それでは!神の信者の一人である私が神の代行者の名を借りて、巨悪の根源を断罪します」
周りは熱気に満ち溢れている。
「吊るしなさい」
先程まで演説していた男の声が低く小さく呟かれる
私の首に巻かれた縄が上に上がっていく
喉仏を押しつぶし、気道と頸動脈を締め上げる。
あまりの苦しさに手足をバタつかせようと力を入れるが手足に枷をつけられているので上手く動かず
余計に首が閉まる様な感覚。
「見てください!これが神に反した者の姿です!」
歓声が聞こえる。
「神の名の下に!」
大勢の人々が続けて大声で復唱する。
私のを何かが通った様な感触を感じ、そして
シロツとの繋がりを感じられなくなった。
「ジロヅ!ゴダエデ!」
必死に暴れると目隠しが取れた。
今まで呼んだらそこに居たシロツが居ない。
透き通った鎌を持つ男の中に魔石
歓声を上げる国民の中に魔石
遠くで微笑む栗毛色の少女が涙を流している
その横で黒髪黒目の女が微笑んでいた。
何日吊るされていたのだろう私の体は痩せ細り
干からびてミイラの様になっている。
「シロツ?どこ?シロツ?シロツ?」
私は力の入らない体で声を出す。
いつもの様な返事がない。
「もう疲れたよシロツ…少し寝てもいいよね?」
そう言って消えたて残った私の姿は
いつか夢で見た優秀な女の様だった。




