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colour  作者: 神口 讃妥
死者の道
21/68

脚色の軌跡

 俺は依頼は終えたが確認が必要だとかで報酬が貰えず食い物すら買う金がない。

「シロツお腹減らないの?」

アカツは心配そうに見上げてくる。

「2、3日食わなくても気にならないな」

俺がそう言うと「ふーん」と言って手を繋いでくる。その手を握り返すとそのまま寝床を探して街中を徘徊する。


街の外れまで歩いてくると数年は手入れされていなさそうな建物を見つけたので中に入る。

所々床や屋根が腐っていて踏むと穴が空いたり、雨漏れの跡が見えるが寝るには丁度いい場所だったのでここで寝ることにする。

「ここ…教会だったみたいだね」

アカツは少しむすっとして俺に教えてくる。

「やっぱ教会は嫌いか?」

俺がアカツに聞くとアカツは少し考え込み答える。

「うーん、教会そのものは嫌じゃないかも、でも教会を運営してるような人間は嫌いだし、許せない」

俺はアカツの頭を撫でながら「そうか」と口にして会話を終わらせる。


 教会内に危険はないか全ての部屋を探索していると置き捨てられた服や家具や本が残されていた。

「あ、その本取って!」

アカツが言うので俺はその本を取りアカツを膝に乗せてページをまくる。

「私が小さい頃にクロハ兄に読んでもらったんだ、でも…なんだろう、こんな内容だったかな?」

と俺に聞いてくる。

「俺はシロツになる前の記憶が無いからな…でもこんな内容だった気がするぞ?」

そう言いながら俺はページを淡々とまくる。

「あれ?私が知ってるのって聖女様が皆んなに力を分けて皆んな幸せにって物語り何だけど…これは違うね」

と首を傾げるアカツに俺は思った事を言う。

「俺にはよく分からないが色んな地域で色んな人が読むなら都合の良い脚色とかで書き換えられるんじゃ無いのか?これは宗教本みたいだしな」と言う

「それもそっか…この本はかなり昔に作られたみたいだね、魔木から作った紙が使われてる、それも残存魔素がかなり古い」

そう言いながらアカツは目を瞑って本に透ける手を当てている

「残存魔素?」

俺は知らない言葉の意味を聞く

「あれ?言ってなかったっけ?私の固有特性は魔視なの、この世の全ての生き物は魔力を少なからず持ってるから、それが残っていればどれくらい前の物かとか魔力の動きとかが見えるんだぁ」

初耳であった。

「クロハの固有特性を俺は引き継いだのにアカツのは引き継げて無いんだな…」

俺は少し残念に思った、アカツと共有出来ない感覚に少し寒さを感じる。

「確かにそうだね…なんでだろう?」

アカツはあっけらかんと言い首を傾げて考え込む。

「体に馴染む時間とかかなぁ…3年くらい経てばシロツにも見えるようになるかも?クロハ兄のには3年かかったみたいだからね」

アカツはそう言って本を読んでいる。


「よし、読み終わった!次あれ取って!」

アカツが別の本を所望してくるので俺はアカツが指を刺した本を取ってページを開く

「これは…日記かな?」

アカツがそう言った本を俺も読む

『今日から教皇様に命じられてエデム王国のシグァフターという街の教会で神父をやる事になりました、私はうまくやっていけるでしょうか』

手本のような綺麗な字で綴られていた


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