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colour  作者: 神口 讃妥
死者の道
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覚悟の重み

 俺はバラバラにになった死体を持ち帰るとその体を綺麗にするべくして白濁した液体など一滴たりとも残さないように念入りに洗う。死体を自分の部屋に持っていくと強く抱きしめて眠った。


 もうすっかり冷たくなってしまったその死体を自分のぽっかりと空いたような空白感を埋める為に俺は毛も内臓も骨も残さず食べたが何かが足りない満たされない感覚を胸に抱きつつアカツの部屋にアカツが死んでから3日経ったてやっと入る気になった幼いアカツとその兄の写真が目に入るが涙が出ない。

 少しでも温もりをアカツの匂いを求めて部屋を荒らしているとアカツの日記が見つかった。

アカツは聖教国の出身でアカツの兄の目には司祭曰く見えてはいけないものが見えていたらしい。


アカツが物を無くしたらアカツの兄が何も無いところに向かって話しかけて物を見つけてくれたりなどと兄にまつわる事が数百ページも記されていた。

記されている日付が半月ほど飛んで可愛らしく丸い字がぐしゃぐしゃになって書かれていた。

「クロハ兄が死んだ、殺された、教会の連中に」

「晒されて首を落とされ胸を抉られて魔石を砕かれた、私は人がいなくなった夜中にクロハ兄の首と体をバックに無理矢理敷き詰めて私の魔法で腐敗を止めた」

「クロハ兄に会いたい、話したい、また頭を撫でてほしい、絶対取り戻す」

「今から私は国を出る、クロハ兄が殺されて笑ってる親も友達も何もかもが許せない、絶対、絶対に」




それからはいろんな街を転々として書き写した魔導書や、魔法学の本、魔術書の内容などが記されていた。



「今日は何だかんだ不思議な森を見つけた、薬草とか果実とか色んなものが豊富に生えている、途中で魔物を見かけでギョッとしたけど何か襲ってこなかった、結構優しい子なのかな?」



「死んでいた小さな魔物を使ってクロハ兄を生き返らせる為の実験をした、結果は失敗だ、魔石が無いと生き返らせる事は出来ないみたい、死んだ魔物の魔石をその魔物に使うと少しだけ生き返らせる事に成功したけどすぐに死んでしまった。寂しいよ」

日記は涙の後が残っている



「あれから何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も実験したのに失敗した失敗したもうダメなのかもしれない」



「今日は気分を入れ替えて森の中を探検した、そしたら以前に街で驚くような値段で売られていた香辛料になる皮の着いた木があった、美味しいご飯を食べよう、クロハ兄とも一緒に食べたいな」



「今日は少し可愛そうだったけど生まれたばかりの魔物の子供を殺して実験した、ごめんなさい、けど実験は成功だった、魔石を入れ替えても魔物の子供は元気に動き回っている、しばらく様子を見ようと思う」



「魔物の子供がどんどん成長していってその子たちは子供を産んだ、もう実験に使うのも可愛そうだと思って森に返してあげた、幸せにね」



「今日は香辛料を取りに森に行ったら何か綺麗な緑色の結晶を見つけた、何なのかよく分からないけど悪い感じはしないからきっと大丈夫だよね、明日詳しく調べてみようと思う、今日は疲れた」



「あの結晶は魔石だった、けどあんな色の魔石があるなんて初めて知った私の魔力に抵抗が全然無い、一体何の魔石なんだろう」



「魔石に魔力を流して調べると私の生の魔力をで魔石が少し大きくなった、魔石がこんな反応を見せるなんて初めてだひょっとしたらこれなら」



「魔石に魔力を流しながら眠っていると不思議な夢を見た、男が高いところから飛び降りる夢だ、ここ最近何度もこの夢を見てる気がする」



「もうよく分からないけど私はこの魔石が人間の物だと確信した、よく分からないけど、こんな魔石は二度と見つからないかもしれない、試してみる価値はあるかも」

ここから5日ほど日付が飛ぶ



「クロハ兄を生き返らせる事に成功した!と思ったんだけど中身は元の魔石の人みたいで少し残念…でも頭を撫でてくれた!優しい感触はクロハ兄によく似てる何かポカポカするよ!それと名前が無いみたいだから私とクロハ兄の名前に因んでシロツって名付ける事にした!我ながらセンス良いと思う」



「シロツは対魔師でもやってた人なのだろうか?力の制御が巧すぎる、けどやっぱり魔法を使えないみたい、でもでも!シロツと一緒に居れば寂しく無いから私は十分!一緒に居ようねシロツ」



「今日はシロツと…「今日は…「今日…

自分と過ごした時間は自分の事ばかり日記に書かれていた、泣きそうになりながらも涙が出ない俺はページをめくっていると殴り書きのページにたどり着いた。



「不味い、前実験に、使った魔物が殺された事が不意にわかった、かなり近い位置だ、こんな事は今まで無かった、それに何だか嫌な感じがする、クロハ兄が連れて行かれた時みたいな嫌な感じ、シロツを、守らなきゃシロツ、絶対守るから」

そこからのページは白紙になっていた。




 手を強く握り俺は武器になりそうな物を探すこの家には武器になる物など農具くらいしか無かった。

それも農具は木製だ自分の腕力なら殴った方が力が出るだろう、覚悟を決めて家の各部屋を回る、最後になるかもしれないので思い出として記憶に残しておこうと思った。

鏡を見ると目の赤い俺がいた。

俺は俺に話しかける。

「行くのかい?シロツ」

「当然だとも、絶対連れ戻す」

「覚悟はできているのかい?シロツ」

「当たり前だ」

「そうかい…それじゃあ行ってらっしゃいシロツ」

「あぁ…行ってきます。クロハ」

「妹をよろしく頼んだよ。シロツ」

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