死霊術師
俺が目を覚ますと其処はガラスの箱に液体が入った物の中に入れられていた。
俺はふと、ガラスとは何だろう?と思ったがよく分からないが色々な物の名前が分かるような、いや、思い出したような感覚を覚えた。
目に写るのはフラスコや冷却管など様々な実験器具の様な物が散乱している。
「ん、んー完成…かな?」
その声が聞こえるとガラスが割れて中の液体が出ていき私は口から液体を吐き出し呼吸を始める。
「よし!この指何本に見える?」
紫色の髪に紫色の目をした女が楽しそうにこっちを見つめてくる。
「一本、それと中指を人に向けて立てるな」
そう言うと女は目をキラキラと輝かせながら言う。
「よし!見えてるみたいだね♪成功成功♪」
俺は状況を確認する為に女に聞く
「ここは何処だ?お前は誰だ?」
するとぴょんと飛び跳ねてピースをすると楽しそうに答える
「私はアカツ!ただのしがないネクロマンサーだよ♪」
俺はアカツに渡された喪服のような服を着るとアカツが俺に聞いてくる。
「それで、君の名前を聞いてもいいかな?」
名前を名乗ろうとするも名前が思い出せなかった「あー何だっけな…忘れたな」
そう女に言うと女は頷きまたもや楽しそうに言う
「それなら私が名付けてあげよーう♪」
女が顳顬に指をつけ唸っているので俺は自分の体を確認する。
爪がボロボロの手足で肌は青白い、そして所々鎖を巻いたような刺青が入っている全身の関節を動かして筋を伸ばして正常に体が動く事を確認すると女がこっちを指差して言ってくる。
「君の名前はーシロツだ!!」
そう言って来たので部屋の隅に山になっている本に腰をかけながら俺は答える。
「わかった、俺の名前はシロツだ、後人に指を差すな」
そう言うと軽快なステップを踏みながら近づいてきて俺の膝に座る。
「えぇー何でダメなの?何で?何で?」
そう楽しそうに言う女に俺は教える
「失礼だからだ、分かったか?」
そう言うと「わかったよ♪」と楽しそうにいい膝の上で足をバタバタさせる。
しばらく和やかな時間が流れたが突然女が立ち上がり声を出す。
「あ!家の案内してあげるね♪」
と言い俺の手を引いて案内を始める。
「今いるここが私の部屋でドアから出て左手の扉がトイレとお風呂だよ♪あ!私が入ってる時に覗いちゃダメだよ?」
楽しそうに言いながら俺を見上げてくる。
「あぁ、わかったから早く案内してくれ」
そう言うと女は案内を続ける。
「ここがキッチンね!それでこっちが用意しておいたシロツの部屋だよ」
明日片付いたベットと本棚と机にランタンの乗った質素な部屋だったが中々好みだった。
「ここが玄関で出たらお庭だよ!薬草とか野菜とか色々栽培してるんだよ!シロツもこれから手伝ってね♪」
押され気味に頷くと女は俺の服を突然脱がし始める。
「お、おい!」そう言うと女はキョトンとして答えてくる。
「えっ?どうかしたの?」
俺は呆れたように言う
「どうして突然服を脱がしてくるんだ?」
すると女は戯けたように言ってくる。
「あ!ちょっと体の使い方教えてあげようと思ってね?」
と言われたので俺はされるがまま全裸にされる女は自分で脱がせたくせに顔を赤らめながら説明を始める「まずシロツ!この石を握ってみてよ」
渡された足元に転がっていた丸い石を言われた通りに握ると石が砕けて掌に突き刺さる。
「こんな感じに慣れないと色んなものを壊して怪我しちゃうから練習するのです♪」
そう言って俺の手からバラバラに砕けた石を払い手に刺さった石を丁寧に取り除くと手を舐めてくる。
「お、おい!」手を引っ込めて言うと女が
「ふぁい?」お首を傾げている。
「なぜ舐める?」と単純に聞くと当然の様に胸を張って答えてくる。
「いやね?傷を治してあげようと思って…べつに舐めたかったわけじゃ無いよ?」
と手をパタパタとさせながら言ってきた
「そうか…じゃあ手を治してくれ」
と言うと女は両手で俺ので握ると
「はい!治りました!」と言って手を離す
「庭で物を壊さないくらいの力加減を覚えるようにジャンプしたり走ったり握ったりしててね♪」
そう言って女はそそくさと家に入っていった。
「シロツ!ご飯出来たから戻ってきてー」
女から声がかかり扉を開けてキッチンに、向かう
「えっ?えぇー!もう力加減覚えたの!!」
心底驚いたように言う女に俺頷く
「びっくりした…正直家を壊される覚悟してたのに…無駄な覚悟だったよ!どうしてくれるのさ!」
理不尽な怒りをぶつけてくる女の頭を自然と撫でてしまう
「えへへぇ」だらしなく笑う女に心地よさを感じどうしてか、ずっと昔から一緒にいて昔もこうして頭を撫でていたような気がする。
ご飯を食べた後女に言われて風呂に入る、不思議と汗は一切かいていないのだが風呂で水を被りながら
鏡を見て自分の体をよく観察する白い髪に緑の目で身長は女より少し大きい程度だったのでそれ程高くはないだろうと思う、腕や肩、首に脚の付け根など至る所に鎖を巻いたような刺青が入っている。
顔立ちは女に何処か似ているように見えるが女のように血色のいい肌の色はしていない。
腹から出て体を布で拭き水を落とすと喪服に着替えて外に出る。女に風呂を上がった事を伝えようと女の部屋に向かいドアをノックするが返事がないのでドアを開けて覗いてみると丸まって眠っていた。
「おい!アカツ、上がったぞ」
そう言いながら女の体を揺すると女はぼんやりと目を開ける
「ふに?お兄ちゃん?」
そんな事を言ってくるが俺は黙って見つめることにした。
「てっ!シロツ!?えっあ!お風呂上がったのね!私入ってくる!」そう言って出ていった女が寝ていた場所を見るとアカツとよく似た顔立ちの白髪で赤い目の少年が2人で写っている写真が落ちていた。