準備期間
私がギルドの中で待っていると不意にドアが開き声がかかる。
「よっ!早いなブランク」
振り返ってみると革鎧に所々鉄製で急所を守っているような格好に私の片腕をピンと伸ばして足りるかどうかと言う長さの青銅の剣を腰に携える茶髪に赤い目を持つ少年と、綺麗なローブの内側に同じような革鎧を着て持ち手が木に皮が巻いてあり先端に骨を鉄で溶接したように取り付けられ骨に赤い透き通った石をはめ込んだような棒を持った白髪に黄色い目をした少女がそこに立っていた。
「ブランク、今日は狩りに行くのよ?その格好なの?」
やや不安そうに少女が言ってくる。
「格好も何も私はこれしか持っていないので」
老婆にもらった木の棒を優しく手で撫でてそう答える。
「聞いたところもう6ヶ月ギルドで依頼受けてるらしいし、まぁ大丈夫だろ」
昨日のように犬歯を剥き出しにして少女に笑いかける少年に少女ため息をを着きながらも仕方なさそうに肩を顰める。
私は気になった事を問いかける
「狩は何処でするのでしょうか?」
すると少年は頭を掻きながら戯けたように言う
「あ、言い忘れてたな、この街を日の登ってくる方に半日歩いた所に山があるんだよ、そこで魔獣を狩って魔石と後売れそうなものを持って帰ってくるんだよ」そう言い癖なのか犬歯を見せつけてくる。
私は魔石とは何だったか考え以前森で老婆に色々教えてもらっていた時に『ダーティーラット』と言うと生き物の体内に赤黒い石があって老婆に聞いた事を思い出し1人で納得する特に使い道が分からなかったが金になるならこれからは持っておこうと前向きに考えていたら少女が少年と私に声をかける。
「まったく…場所が場所だから日帰りは出来ないでしょ?見たところ食料とかも持ち歩いてないし、少し待ってるからなんか買ってきたら?良いわよね?アルス」
そう言うと少年は頷き答える。
「あぁもちろん良いぜ、別に急ぎじゃ無いからな、色々買い揃えて来いよ」
そう言う少年の言葉に頷き私は人の居ない受付にいた茶髪に三つ編みで眼鏡をかけた青い目の女に地図を見せてもらい目的地を把握して感謝の言葉を告げる、その受付の女は何やら目をパチパチと瞬きを繰り返していたが、そのままギルドから出て必要な物を考える。
「持ち帰るなら袋が必要だな後は…」
色々考えてみたが特に思いつかなかったのでボロボロのズボンの左足に値する部分を膝からしたを引きちぎり筒状になっている片方を固く結ぶと老婆にもらった木の棒で結んでいない方を三箇所穴を開ける。
そこに腰紐を通して腰に固定すると外れない事を確認して出たばかりのギルドの扉を開く。
「準備、終わりました」
すると少年と少女は何か言い合っていたようだが私が入ると言い合いを辞めて少年が言葉を放つ
「おう、それじゃあ行こうか」
そういう少年に少女は物言いたげに見ているが私は頷き三人でギルドの扉を開けて外に出た。
私、受付の女は絶句していた、この街の受付嬢が冒険者の男と出来て辞めたので首都の受付をやっていたが人気が無く、同じ職員からは無視されていた私は逃げ出す思いでこの街の受付嬢としてやってきて今日が初日だった。
私は首都で魔法士としての勉学を学ばせてもらえるくらい裕福であったので気がついたが彼の瞳からはどんな魔力でどんな魔法を使えるのか検討がつかなかったのである。
魔法というのは全部で4属性で火、水、風、土の4種類である属性に偏りが激しいとそれに応じて目の色が変色するような資料を読んだ事を思いながら思考を続ける、火は赤く変色し、水は青く、風は黄色く、土は暗い色になる、特例としてどの色をしていても治癒魔法が使える物が稀に現れ、治癒魔法の魔力による目の色の変色は無いとされている。
しかし男の子の目は緑だった火、水、風がバランスよくあり土が全く無いのかと思ったが、どの属性も誰でも多少は持っている筈であり全く無いという事はあり得ないのだ。
それは全ての人間が聖女の血を引いているからであり、それ故に全ての人は多かれ少なかれ魔法が使える。
好奇心を抑えながら私は彼を含む3人の背中を眺めた。
自分でつけた設定を自分で忘れそうですねw