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ふざけんな馬鹿どもめ

作者: アバラ

 重圧。

 重圧と重圧。

 肩にダンベルを担いで生活しているような、足が大理石でできているようなそんなプレッシャーという名の重圧に囲まれて生きてきた。自分がそんな普通ではありえないような重圧によって苦しめられているなんてことを知ったのも最近で、そんなふとした瞬間に涙があふれてくるような日常が人類に課せられた原罪の代償なのだと思い込んで、それでも生きたいと涙の海の底に沈みながらふと思うような生活を何年も続けてきた。

 この世界はふざけている。

 この世界は俺のような純粋で豆腐よりも弱いメンタルを持った、プレッシャーに軽く押しつぶされるような人間にとって余りにも不利が過ぎる。

 俺のこれまでの人生は肥溜めの中から米粒ほどの宝石を見つけ出すように、他人の考えかたという「肥溜め」から自分にふさわしい考え方という「宝石」を見つけ出すという作業しかしてこなかった。それはつまり要するに必死にポップアップ広告のように存在を誇示してくる社会としての常識から外れた自分自身を理解する行為だ。

 なぜそればかりをしてきたか?

 俺を理解できる人間が周りにいなかったからだ。

 正確に言うなら俺を理解しようとする人間がいなかったからだ。他人はいつも他人を理解したつもりになる。客観的なんて言葉もあるけれど、他人視点なんてものも言うほど役には立たないことを嫌というほど実感した。理解というものは理解できるものしか理解しない。つまり、理解できないものは理解できない。ここで理解できないという結論になればまだいいものをほとんどの人間は理解できないというものを捻じ曲げて()()()()()()()になる。

 ふざけんな死ね。

 長いあいだ洗脳され続けていた。親の言葉を信じ、教師の言葉を信じ、友人の言葉を、親類縁者のエトセトラエトセトラ。

 すべて嘘だ。言葉が弱いということは頭では理解していたが、実感して初めてこれほどまでに言葉というものが弱いという事実に打ちのめされた。どいつもこいつも嘘ばかりだ。詐欺師でペテン師だ。

 真実というものは自分しか知らない。こう言ってしまえば極論に聞こえるがつまり、正しいものと間違っているものを選り分けられることができるのは自分だけだ。何を当たり前のことを言っているか? うるせえ死ね!

 人間なんて絶滅すればいい。

 自分だけの幸福を追求して自らの首を縊り殺して世界中を死体で埋め尽くせばいい。

 長い選り分け作業だった。動物を解体するような疲労感がある。自分自身を徹底的に解剖しつくしたような。

 けれどまだ終わってない。終わることなんてない。けれど峠は越したはずだ。自分を殺すよりくらいなら他人を殺してしまう程度の元気は出た。

 要するにどいつもこいつも自分を含めて間違っているのだ。間違いは確実に起きる。どんなに偉いやつだって賢いやつだって間違える。頭では分かっていても実感するのはエベレストを登るよりも難しい。

 これは要は独り言だ。誰かにこのことを伝えたいなんて思って書いているのではない。この期に及んで俺がそんなことをするなら俺は致命的な何か障害でも抱えているのだろう。誰かにとってこの話がためになるかためにならないかなんてわからない。これは俺にとって正しいことだということが伝えられるだけだ。誰かはその誰か自身で俺のような選り分け作業をしなければならない。その選り分け作業を邪魔しては絶対にいけない。俺のこの話だけは絶対に正しいから選り分け作業せずにどこか別の場所に保管しておけなんて言ったらそうしなければいけないかもしれないなんてガキの俺は思うだろう。そんなことをしてはいけない。絶対にしてはいけない。場合によってはその別の場所に置かせた「絶対に正しい話」はそいつを殺してしまう。

 衝動で書いている。元旦らしいがそんなものはどうでもいい。一番重要なものはそんな大昔の誰かが決めた決まり事なんかじゃなく今俺にとって一番大切だと思えるものだ。

 俺はひどく疲れた。疲れて疲れて疲れた。死ぬかもしれないし生きるかもしれない。そんなことはどうでもいい。とにかく俺は今猛烈に生きたい。そんなこともどうでもいい。誰かを殺したいなら殺せばいいし自分を殺したいなら殺せばいい。どうでもいいどうでもいい。選り分けろ。ひたすらに選り分けろ。

 つまりこの文章は俺の選り分け作業の一環だ。なぜ書きたかったか。それは俺が文章を書くのが好きだからだ。上手いとか下手とか読みやすいとかはどうでもいい一番重要なのはそこだ。そう、だから文章にして自分の考えていることを起こすのが好きだから今必死に書き起こしているのだ。書け、ひたすら書け。俺は死ぬために生まれてきたわけでも生きるために生まれてきたわけでもない。書くために生まれてきたわけでもないが今はただ書きたい。文字を書いていたい。書くと言ってもあくまでタイピングなわけだがそこはどうでもいい。俺は文書を書くのが好きなのだ。だからタイピングだろうるせえ。

 頭がどうにかなりそうだ。けれど、ピンチはチャンスなんていうし、止まない雨なんてないとも言う。止んだあとは何がくる? 目が覚めるような晴天だ。今がピンチなら、乗り越えればそれはチャンスになる。ゲームとかでもそうだ。瀕死のヤツを追いかければ仲間から自分が孤立して逆に殺されてしまうかもしれないというピンチになる。

 この世がクソッたれなのは知っている。けれどどうしても言わずにはいられない。俺はこれからどうやって生きる? 知らないけれど、涙の海にたゆたうような今までとはまるで違うはずだ。確実に変わるだろう。囲碁とかでもそうだ。流れというものは確実にあるのだ。囲碁は陣地の取り合いだ。だから相手が右に展開すれば自分は逆に展開する。そこで自分が左右に展開すればひどく薄っぺらい陣形になり、最悪の場合それぞれがそれぞれで孤立してしまう。よくばりをすればしっぺ返しを食う。夢を見れば現実に打ちのめされる。売っているものがたまたま売れて、調子に乗ってたくさん作れば売れ残る。世界は秩序に支配されていて、人間は100のうち99くらい勘違いする。たった一つの正しいものを理解している人間はいつか確実に成功する。ここで重要なのは成功することではなく正しいものを理解することだ。勘違いしていても成功してしまう人間はいるのだ。けれどその成功は長続きしない。勘違いしている人間は勘違いしているということを理解するまでなぜ自分が長続きしなかったのか理解しない。その結果、何か他のものに責任転嫁する。家族にあたる人間もいるだろう、果てには自殺してしまう人間もいるかもしれない。何が言いたい? 何も言いたくない。ただ無秩序に並べているだけだ。いや、書きたいのだった、そうだった。また俺は間違えているかもしれないがそれはどうでもいい。確実に俺はいつか理解する。理解しなければ満足できない。ふざけたこの世界の靄のかかった正しいことにたどり着くことができないのなら死んだほうがマシだ。だから俺は一生手を伸ばし続ける。

 終わりがない。終わりが見えない。いつまで書き続ける? その問いは滅茶苦茶だ。いつまでなんてそんなもの死ぬまでとしか言いようがない。いつもいつまでもずっと書く。死んだって書いてやる。何のために? 何のためにって何だ。駄目だ考えていることがぐちゃぐちゃになってきた。疲れてきたのか? 体力がなさすぎる。体力というよりも慣れかもしれない。慣れというものは案外大事なもので、最初は十分も集中できなかったやつが続ければ十時間でも集中できるようになる。なら俺もそうなるまで慣れればいい。とりあえず今は疲れた。というより書くことがなくなっただけか? 知らん。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 滲み出る苛立ち。 [気になる点] 具体的に何かが起こったのか、小さな負荷の積み重なりから爆発したのかが判断つかない。 [一言] あけましておめでとうございます。
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