出会った人たちは優しい人ばかりのようです
街並みは中世ヨーロッパを彷彿させるような感じで、ラノベとかでよくみる設定にそっくりだ。
人もそれなりに多いが、ところどころケモミミが生えた獣人っぽいのも見かける。
見たこともない光景ばかりで気になるのが多いが周囲からみれば俺自身の存在が気になるらしく、ところどころ視線を感じる。
まぁ、見かけない服装してればそりゃ気になるよなぁ。
そんなことを思いながら道を歩いていると、ふいに何かのタレを少し焦がしたいい匂いが漂ってきた。
その匂いによって、空腹だったことを思い出させられ物凄い空腹感に襲われた。
フラフラと匂いにつられ辿り着いたのは、広場のような開けた場所に展開されていた屋台だった。
肉を焼く音、そしてソースのようなタレの匂い、それらを買い美味しそうに食べる客。
近づくにつれて、ますます空腹感が酷くなってきた。
「いかん、まずは腹ごしらえしないとどうしようもない・・・・・・けど、お金がないしなぁ」
屋台の近くまで来たはいいが、如何せんお金がない。
お金がなければ何も買えない。しかしお腹は空く。
「兄ちゃん、買っていくか?」
じっと見つめていた・・・・・・いや、凝視していたせいだろう。
屋台のおっちゃんが見かねたのか声を掛けてきた。
「あ~、悪いけどお金がなくてさ、食べたいのは山々なんだけど」
「なんだ、金がないのか・・・・・・なぁ、兄ちゃんは学生か?」
「いや、学生じゃないけど・・・・・・その学生だとなんかあるのか?」
話す度に学生なのか聞かれるけど一体なにがあるというのだろうか。
「あん?兄ちゃん、もしかして学生がどういったもんか知らねぇのか?」
「あ、あぁ、まぁ、ちょっと遠くからきたもんだから、いまいちピンと来てなくてさ」
「そうなのか、まぁ、学生ってのはクエストをクリアすることを主体に学業を学ぶやつらのことさ。クエストを解くことでその恩恵が個人のみだけでなく周囲にももたらされるってのは流石に知ってるよな?」
ごめんなさい、知らないです。
「はぁ、その顔は全然知らないって感じだな。ったくどんなところから来てんだよ、兄ちゃんは。」
「ニホンというところからだけど・・・・・・」
「うん? 聞いたことないところだな。まぁ、とにかく学生でないなら特にいうことはないが、兄ちゃんの年なら学生になれるだろうし、興味があるなら学園へ行ってみるといい。」
学生ねぇ。
クエストを主体に学ぶ学園ってのはちょっと気になるし、とりあえず行ってみるか。
「あぁ、分かった。ありがと、おっちゃん」
「おっちゃ・・・・・・はぁ、あ~、兄ちゃんちょっとまて」
「え?」
さっそく向かおうとした俺を呼び止めたおっちゃんは屋台で焼いていた肉を引き上げ、仕上げにタレを掛けてそれを俺に渡してきた。
「ほら、やるよ」
「え、いいのか? 俺、金がないんだけど」
「今回だけはまけといてやるよ。その代わり次に来た時には大量に買ってくれや」
どこのやつかも分からないのに異世界でもこんないい人いるんだな。
俺はありがとうとお礼を言って、もらった串焼きを頬張りつつ学園へと向かった。
意外と書くの難しい・・・・・・