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先輩

間が空いてしまいましたね、なんとかしてハイペースにしたい…

8時55分。先輩との待ち合わせは9時なのでまあ、こんなものだろう。

今俺は藤沢駅の江ノ電の改札前にいる。彼女との鎌倉巡りはここで9時に待ち合わせるのが恒例となっている。

ここから江ノ電で長谷で降り、長谷寺と大仏を見てそのまま歩いて銭洗弁天、さらに歩いて小町通りで見つけた店でお昼、鶴岡八幡宮に参拝してあとは思いつくまま、というのがいつもの道順だ。



ここで少し先輩について触れておこう。

先輩の名前は茜屋美生。年は俺の二つ上で、一応幼馴染みだ。

一応、というのは俺が幼稚園生のとき家が隣同士でよく一緒に遊んでいたが俺が小学校に上がる時に先輩が家の事情で引っ越してしまったからだ。

それから約十年、高校生になった俺は彼女と再開する。最初会ったときは誰だか分からなかった。何故なら彼女はどういうわけだか…


「あっいたいたー、緑河くーん!久しぶりー」


…狐面を被っている。


「…先輩相変わらずその変なお面してるんですか。」

「変なとは失礼な!私のアイデンティティだからな! 」

「…目立つからやめてくださいっていつも言ってますよね?」


そう、彼女は別にお祭りでもないのにいつも能で使うような狐面をかぶっている。行く先々で人の目を惹くので連れて歩くこっちが恥ずかしいのだ。



「大丈夫よー今回は対策考えてあるから!」

「対策って?」

「ふふふーまあ詳しくはおいといて、早く行こうではないか!時間は有限!」


と言って、改札の中に駆け込んでいく。


「待ってくださいよ、転びますよ」

「早くー!」


俺は子供みたいに意気揚々と走る先輩を追いかけた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ふふふー♪今日も綺麗だったなぁ長谷寺ー♪」


あの後江ノ電で長谷駅まで行き大仏と長谷寺をみて、再び電車で鎌倉駅に降りて銭洗弁天に参拝、小町通りに戻ってきたら良い時間だったので適当に和食店を選んで昼食をとっている。

先輩はお汁粉を食べてご満悦だ。狐面を少しずらして熱々のお汁粉の餅にかぶりついている。ちなみに俺はざるそばだ。温かいうどんもあったが猫舌で食べれないゆえのチョイスだ。


「先輩が楽しそうで何よりです」

「…緑河くん寒くないの?そんな季節感ズレまくりなもの頼んじゃって。」

「俺からするとそんなに湯気をたてている餅に無防備にかぶりつく先輩の方が正気の沙汰じゃないですよ」

「美味しいのになー、店員さんもびっくりしてたよ?こんな真冬にざるそば頼む人がいるなんてーって顔してた」


うるさい。何を頼むかなんて人の勝手じゃないか。舌を守るためなら多少寒いのは我慢だ。


「そういえば今日はあまり注目を浴びませんでしたね」

「んー?なにがー?」

「その狐面ですよ。いつも痛いほど視線が刺さるのに、今日は全然感じませんでしたよ。もしかして朝言ってた対策ってやつですか?」


いつもなら会う人会う人に後指指されたりくすくす笑われたりして一緒にいる俺が恥ずかしいのに今日はそれがなかった。まるで先輩の狐面が普通であるかのようだった。


「あー。うん、そうだよーでもここでは詳しくは言えないなー企業秘密だから。むしろ世紀の発見レベル。軽々しく言えないんだよね。」

「またなんか怪しい実験してるんですか」

「むっ、またとはなんなのさー。今回のはほんとに凄いんだからね!もう世界の常識が変わるくらい」

「そんな実験してる人がこんなところで遊んでていいんですか」

「ぐっ、息抜きだから!天才に休息が必要なの!ほら、食べたら早く次行こう!時間は有限!ほら早く!」


そう言って先輩はお汁粉を飲み干し席から立ち上がりだしたので仕方なく俺も最後の一口を食べる、

お会計をしようとしたら先輩が払ってくれた。こういう所はいい先輩だと思う。いつもは騒がしいけど。


「むっ、なんか失礼な事考えてる!」

「そんなことないですよ」

「きーっ、清々しいほどの棒読み!これでも私は世界中で指折りの天才なんだから…って…」



先輩の戯言が突然途切れたので何事かと先輩の視線の先を見るとそこには…メイド服の超絶美女が立っていた。




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