電話
だいぶ穴が空いてしまった…もう少し落ち着いたらもっと早く投稿できると思います
『ハロー、愛すべき後輩くんよ』
電話の主は先輩だった。
「はぁ、先輩ですか。今何時だとお待ってるんですか」
『んー?午前0時ちょいすぎ』
「…俺が寝てると思わなかったんですか?」
「受験生は夜更かしが合法的に許されてる身分だってマキナが言ってた」
…否定出来ない…
「で、何の用ですか」
『うん、それはね、明日私を案内しなさい』
「…突然なんなんですか。俺受験生なんですよ?そんな暇じゃないんですよ?それに先輩今アメリカで研究してるんじゃなかったですっけ?」
『うん、抜け出してきた』
「抜け出したって、えっ!?」
『安心してー、今回はちゃんと正規のルートで入国したから』
この人は過去に何度か実験と称して違法スレスレなことをやっている。その度にお目付け役のマキナさんがあちらこちらを奔走してる。
「ほんとですかぁ?俺犯罪の片棒かつぐの嫌ですよ?」
『もー、信頼ないなぁ。ほんとに用事があるから日本来たんだって。でもただマキナについていくのはつまんないからマキナが入国手続きしてる間に抜け出したー。今はネットで予約したホテルにいるー』
俺は今頃この迷惑人間を探し回っているだろうマキナさんに心の底から同情した。
『だからね、マキナに見つかる前に一緒にいろいろ回って欲しいの。もちろんタダとは言わない。』
…電話の向こうでニヤニヤしてる彼女の顔が目に浮かぶ。絶対禄な事じゃない。
「一応聞きましょう」
『うん。君は受験生だ。今は12月の末。タイムリミットは日々迫っている。さぞや君は焦っていることだろう』
「…だからあなたはその受験生の貴重な時間を今も奪ってるんですよ、要件言わないなら切りますよ?」
『あうー、言うから!言うから切らないで!勉強見てあげる!分からないところがあったら教えてあげるから!ほら、人類最高がここまで言ってるのだもの、乗らない訳には行かないでしょ?』
確かにこれは魅力的だ。こんな先輩でも彼女の頭脳だけは信頼できる。
「わかりました、乗りましょう。どこへ行けばいいんですか?」
『よっしゃ!あのね、鎌倉連れて行って欲しいの』
「またですか?この前も行ったじゃないですか」
『ノンノン!季節が違うじゃろ季節がぁ!鎌倉は四季折々違う景色をみせてくれる!何度言っても飽きないね!』
「…では、明日はいつもの場所待ち合わせでにいつものコースでいいですか?」
『おっけー!楽しみにしてるー!じゃあねー!』
と言って電話を切られた。ほんとに自由な人だな。
さて、不本意ながら予定ができてしまったので今日は切り上げて寝るか。明日は先輩と鎌倉だ。