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こうじ君  作者: 秋山 魚
9/9

犬の話

叔母「誰やお前は!」

私「あ、秋山です」

叔母「そうか! 私も秋山や!」

私「知ってた」

叔母「そうかー! 知ってたかー!」


そして叔母は謎の踊りを始めた。素面で、もちろんこうじ君でもない。

父には4人兄弟がいる。上から男、女、男、女で四人。父は三番目だ。

そしてこのファンキーな叔母は末っ子。とてもアグレッシブな人だ。

対して、父はおとなしい。家庭内でのみ態度がでかい。つまるところ内弁慶なのだ。


法事の後、母と父と私とで買い物に行った。父は花火をほしがっていた。

母曰く、なぜか最近ずっと欲しがっているらしい。


夜。さっそく花火を始めた。

しかし、父は一本だけ火をつけると、さっさと寝てしまった。

脳のケガの影響で、疲れやすくなっているらしい。

仕方ないので、母と飼い犬と一緒に花火をした。犬は花火を物珍しそうに見ていた。


翌日。犬のドッグフードがなくなっていたので、新しいものを買いにいった。

スーパーの袋をガサガサさせながら帰ってくると、犬は明らかに期待のまなざしでこちらを見てくる。しかし、袋からいつもと同じドッグフードを取り出すと、明らかにしょんぼりされたので少しだけ申し訳なく思った。

うちの犬はグルメなのだ。気に入らない餌は食わない。ひどい時は皿をひっくり返して不味い不味いと訴える。


昼。暇なのでドッグランに行くことにした。

家から徒歩5分の距離にドッグランがあるのだ。


父「どこ行くん」

私「ドッグラン。オトンも行く?」

父「いかん。お金ちょうだい」

私「何に使うんよ」

父「わしはオトンラン」


ちょっと何言ってるのかわからない。しかしこうじ君なので仕方ない。

無視して家を出ようとしたら、父も行くと言うので一緒にドッグランに向かった。


到着したドッグランは、最近できたばかりで、30分300円で利用できる。受付を済ませようとしたが、人がいない。困っていると、どこからともなく女の人がでてきた。


「まぁ~! 歩いて連れてきてもらったの~! よかったねぇ~!」


しょ、初対面のはず……。何を言ってるんだこのおばさんは、と思っていたら、どうやら犬に話しかけていたらしい。この人が、ドッグランの店員さんだという。


店員さんに300円を支払い、さっそくドッグランに入った。

犬はさっそくウンコを始めた。

もっと走り回ったりあるやろ……と思っていたら、先ほどの店員さんが犬に話しかけはじめた。


「まぁ~! ウンコするの~! いいんよいいんよ! ほらがんばれ! がんばれ! あら~おっきいウンコでたねぇ~!」


どこのエロ漫画かと思った。

それから30分。ドッグランという割に犬は走るでもなくウンコばかりしているので、引き上げた。

家に帰り風呂に入り、身支度を整える。これから、私は大阪に戻るのだ。

この日は日曜日。明日は普通に学校があるので、下宿先に戻らなければならない。実家と下宿先がどこでもドアでつながっていたらいいのにと心から思う。


母の運転する車で、駅に向かった。

今回は高速バスで帰る。時期が微妙なので、バスの運賃が非常に安かったのだ。

値段を聞いた父は非常に驚き、私によく顔を見せるように言った。

いやなんで死ぬこと前提やねん。


「ええ娘だったのにのう……」


いやだからなんで死ぬこと前提やねん。

それから片道5時間かけて大阪に戻った。もちろん死ななかった。

次は夏に帰省する。父には釣りに連れて行ってくれと頼んである。

間違いなく忘れるだろうが、まぁ、こうじ君なので仕方ない。



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