表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と少女の師弟関係  作者: 猫野 甚五郎
第一章 師弟
1/31

プロローグ

二作目です。よろしくお願いします。

本編は次からなので、ここはさらっと流してもらえれば。

 ある世界にいた一人の勇者。

 彼はもともと難病に侵されて、満足に動けなかった。


「あと一年……」

「ええ、今の医学では直すことが出来ません。もって、あと一年です。……申し訳ありません」



 毎日病院のベッドの上で、命の炎が消えていくのを感じながら過ごしていた。そんな彼を救ったのは、異世界からの呼びかけだった。


「勇者様、私たちの世界を救ってください!」

「ただ寿命が尽きるのを何もせずに待っている俺に、なにができるんだ……?」

「あなたにしか出来ないのです。どうか、どうか力をお貸しください!」

「こんな俺でも誰かの力になれるのなら……」



 人族の希望として異世界に召喚された彼は、特殊な力を授けられ体を蝕んでいた難病も消え去っていた。


「いつ以来だろう……自分の足で立てたのは」

「召喚に応じて下さりありがとうございます、勇者様!」

「お礼を言うのは俺の方だ。また自分の足で歩けられるようにしてくれて、生きる希望を与えてくれてありがとう」



 自分を救ってくれたこの世界を救うため、彼は勇者となりこの世界を滅ぼそうとする魔族の王である魔王を倒しに行く。


「この世界を救うため、俺はお前を倒す!」

「それは此方の台詞じゃ! 世界を滅ぼそうとする人族よ!」



 激闘を繰り広げる勇者と魔王。二人は剣を交え、言葉を交わし段々と自分の過ちに気が付く。


「魔族はこの世界を滅ぼしたかったんじゃないのか……?」

「たわけ、自分の住む世界を壊してなんになる。それはおぬしらも同じだろう…………。そうじゃ、そんなこと考えればすく分かることじゃ。ならばなぜ我らは争っておる?」



 お互い自分の過ちに気が付き争うことをやめると、突然巨大な力が二人を襲う。彼らの前に現れたのは狂った神。


「今更気付いてももう遅い。事は我が描いたシナリオ通り争いは終わらぬ」

「お前が……お前が黒幕か!」

「よくもコケにしてくれたの!」



 二人は神に挑んだ。しかし相手は狂っていても神。その強大な力に二人は倒れてしまう。


「のう、勇者よ。この世界を救うために命を差し出す覚悟はあるか?」

「俺はこの世界に命を救ってもらったんだ。この世界を救うためにこの命が必要なら、ためらいなく差し出すさ」



 魔王には代々神殺しの力が宿っていた。それを使うには魔王自身の命と、それに匹敵するもう一つの命が必要だったのだ。なぜこんな力が宿っていたのか、誰が宿したのかは誰も知らない。もしかしたら、神自身が狂ってしまった時のために用意していたのかもしれない。


「なぜ、なぜその力をお前達が…………!」

「「人の底力を思い知れ……!」」



 無事狂った神を打ち倒し、世界を救った勇者と魔王。しかし彼らの命はもう消える寸前だった。


「後悔はしておらぬのか?」

「さっきも答えた通り、俺はこの世界に救われたんだ。この世界に来てから数年……俺にとっては十分すぎる時間だったんだよ。だから、最後にこの世界に恩返しが出来て良かったさ」



 そして二人は光に包まれながら、次の人生を考える。



「もし次があるなら、次は自由でのんびりとした人生を送りたい……そう、猫みたいに」

「なぜ猫なのじゃ……。妾はそうじゃのう、今度こそ恋というものをしてみたいの」



 こうして世界を救った二人は、光に包まれながら消えていった。

 次を夢見て。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ