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Rainy Day...  作者: Van
2/2

帰り道に出会ったモノ2 2015.6.11.18.22.15


私はね、ずっと前から思ってたんだ。

この世界は、なんて生きづらいんだろうなって。

でも、周りのみんなに流されて、今日もみんなとくっだらない話や化粧の話、かっこいい男子の話、誰が好きとか嫌いとかって話、どうでもいいようなテレビ番組の話、好きになってき始めてた歌手の新曲の話。

そんな話とかいろいろをまぜこぜにして、毎日生きてきていたら、なんだかこの世界も悪くないなって思えるようになってきてさ。おかしいよね?本当になんでもないことなんだ。

毎日朝起きて、ご飯を食べて、学校に行って、うちに帰って好きな曲を聴きながら勉強して。そんな当たり前のことがさ、いつの間にか大事になってて。生きづらいなんてことも忘れてたんだ。

でもね、あの仔犬の顔をみたら急に不安になってきたんだよね。あんな安らかで、幸せそうな顔を見ちゃったらさ、こんな日々を続けてていいのかなって。無気力で、何をするでもなく、ただ生きているだけの日々ってのが、どれ程辛かったか思い出しちゃったんだ。ついこの間まで忘れてたのにね。

そんなことも思いながら、私は仔犬に羨望を向けていたんだ。

いろんなしがらみから解放されて、苦しいこと、悲しいことから解放されて、とっても満足そうに横たわっていた。それこそが、とっても羨ましく思えたんだよね。

でも、私にはそれ以上の感情が浮かばなかったんだ。とっても安らかで、眠っているように死んでいたこの仔犬が、たまらなく羨ましかったのにも関わらずね。

言葉にもならないまま私は泣いてたみたいでさ、傘の中なのにポタポタ雫が垂れちゃって、いつの間にか目がぼやけてたんだよね。なんか、うまく言葉にできないや。

なんでかわからないけれど、悲しくもないのに涙が出てたんだよね。

あはは、変な話だってのは理解してるよ。これじゃまるで、頭のおかしな情緒不安定な子みたいじゃんっていうのもわかるんだ。


もうあんな思いはしないんだろうけど、それでも私は今日の一件があったから、これからもこうして前を向いていられるんだと思うわけですよ。

もう、何もかも投げ出してしまいそうなおばかな17歳は終わって、少しは前向きなかわいい18歳になるためのステップとして、神様はそこに死んだ仔犬の身体を置いて行ったのかも...なんて。

考えすぎかな?


一通り泣いてたところで、後ろから声をかけられたんだ。

部活で気になってた先輩。運動部でもないのに、毎日部活が終わった後にランニングをしてる。たまにここで会うたびに私の鼓動は跳ね上がっちゃうのに、いまはそんなことお構い無しで両目から涙が止まらなくって。先輩もびっくりして、何があったか問いただしてきたの。でも、「目の前の仔犬の死体が羨ましくって泣いちゃいました」なんて、変な子みたいだったからこの子が死んじゃっててかわいそうだったって伝えたの。そしたらね、先輩も一緒にお墓を作ってくれるって言ってくれたんだ。

だから、これから私は先輩と一緒に仔犬のお墓を建ててあげに行くの。

自分の持ってた、悲しさも、苦しさも、みいんな、仔犬と一緒に埋めちゃえるように。先輩が、案内してくれるからもう迷わないと思う。


だから、私はこの仔犬を埋めに行くの。


雨の日の中、今日もみんなはいつも通りいろんなものに流されて。

私はこのまま心も身体もみんな、先輩に流されちゃおうかな...

なんて、変なことばっかり考えちゃうみたい。


やだやだ。やっぱり雨なんてきらい。

だって雨は、私をネガティブにさせるんだもん。


でも、今日の雨はすきかも。

だって、今日の雨は、大好きな先輩と一緒に歩けるんだから。


目的はともかくとして、これで可愛い後輩アピールもできたでしょ!

あとは、この子が安らかに眠ってくれますように。


うん、確かに。たまには、雨も悪くないのかもね。


第一話 了 2015.6.11.19.11.88


次回

愛してください 2015.6.11.09.48.01

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