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第五幕

「知るかよ! うるせぇなぁ!」

 ミルク色の汚れ一つない壁に、少年のまだ高めな声が響いた。

 ファルとしては戸惑うしかない。

「あ、その、えっと」

「ちょ、ちょっとバヴィス! 失礼でしょう!」

 隣のベッドの上でスティレットが慌てふためくが、バヴィス少年は頬を膨らませてそっぽを向いた。

 先日のドラゴンモドキ調査から数日経っている。程々に状況が落ち着いたので、ファルはあの暗殺者に呪いのナイフで襲われ、入院したスティレットとバヴィスのお見舞いへ来たのであるが、

「ガキ扱いしやがってよぉ! てめぇのケツくらいてめぇでふけらぁ!」

 彼らが死にかけた件を謝った瞬間、何故か当のバヴィスに、そこそこ広い病室に響き渡るくらいの大声でブチ切れられていた。

(先日は私の事情に巻き込み、どうも申し訳ありません、と謝っただけなのですが、何かお気に触ったのでしょうか?)

 あるいは謝罪だけでなく慰謝料とかも必要ということだろうか? いやそれだと自分のケツ云々が繋がらないか? 

 色々と推測するが、まぁ一人で考えて答えが分かるほど頭がいいわけでなし、口を動かすしかないですか。でもまた逆鱗に触れそうだから慎重に、ですね。まだ彼もベッドで寝てるわけですし。

 等とファルが考えていると、

「メグプトも! 遊んでないであなたもなんとか言ってよ!」

「そうですねぇ。今回の件、ファルさんは狙われただけですよね? おっと」

 メグプトは、ひょいひょいと触手をよけながら答える。スミレのもので、暇つぶしなのかファルの脇に座りながら、触手を一本伸ばしてメグプトとじゃれていたのだ。

「ちょっとお話あるから待ってくださいねー」

「ん」

 メグプトの言葉にコクリと素直に頷いたスミレは、お見舞いに持ってきたメロンをさわさわと触手で撫で、

「食べたい」

 ポツリと呟く。出会ってから数日間のうちに、スミレは片言ながらしゃべるようになってくれた。それはそれとして我慢をお願いしますね。

「話を続けますと、責任があるのは暗殺者と、後はデッドさんのアドバイスを無視して残ったバヴィスさん自身です」

「いや、それは」

 口を挟もうとしたファルだが、まぁまぁ、とメグプトが手を振る。

「正否はさておき、バヴィスさんがそう思ってる。なのに、なんの科もないファルさんが謝った。自分の責任なのにそれを取られた、責任を取れない男だとファルさんに思われてる、とバヴィスさんは解釈した、でよろしいでしょうか?」

「……っち、メグプトはいちいちうぜぇんだよ」

 メグプトに問われたバヴィスは、そっぽを向きながらボソボソと答える。少なくとも全然的外れではないらしい。

「なるほど、相分かりました。バヴィス様。申し訳ありません」

 ファルは、片膝を立ててしゃがみ頭を下げる。

「だから!」

「この謝罪は、あなた様を図らずとも侮ったことへです」

 カッと眼尻を釣り上げたバヴィスに割り込み、言葉を重ねる。

「深く考えずに謝罪すればいい、などとという態度になったこと、メグプト様の仰るとおり責任を取るふりをして、その実、あなた様を信じていなかったこと、どうかお許しください」

「……ああもう! めんどくせぇな! 勝手にしろよ! いちいち頭下げんな!」

 ケッと吐き出しながらも、頭をかくバヴィスだが、声音は刺々しさが抜けている。

 ふぅ、コミュニケーションは難しい。

「はぁもう、すみません、子どもの意地に付き合わせちゃって」

 と、ホッとしていたファルへ、スティレットが逆に謝ってきた。

「スティレット! てめぇ!」

「仮にあんたに一分の理があったとしても、それを盾に怒鳴りつけるのが大人のやり方だと思う!? それに、関係者ではあるんだから、責任がなくても私のせいじゃありません、なんて態度を私達に見せられるわけないでしょ!」

 食って掛かろうとしたバヴィスをスティレットが逆に怒鳴りつける。止めないと! 

 ばしゅうっと言う音が響いた。

「ちょ、スミレ様!?」

 見れば、果物盛り合わせのメロンを、スミレが触手でゴリッともいで、

「むしゃむしゃ」

 していた。どうやら待ちきれなかったらしい。

 えーと、いやそれお見舞いだから勝手に食べるのは、というか、パンとかじゃないんだから気軽にもぐのも、ではなくて、お召し物だけでなくスティレットさんの病衣やベッドにまで汁がというか、えーと。

「……すっげぇな、こいつ」

「おお! なんという怪力! 流石、あの不気味な黄色い霧と互角に戦っていた子! ねぇ! あなたどこから来たの!? やっぱりエリュシオンから!? それとも四樹世界、もしかして神智海とか!?」

 とりあえず、喧嘩が収まったから良しとするべき、なのだろうか?


「握りつぶしたの!? ですか!?」

「はい。黄色い霧の神様に襲われた件は公的にはそんな事件はなく、私の負傷もちょっと事故が起きたことにしてもらいました」

 ファルの答えにははぁと頷きながら、スティレットは小さなナイフでシュリュシュルシュルっとリンゴの皮をむいていく。

「ああ、暗殺者に襲われた件は、特にお二人にご意見なければきちんと公にいたしますし、金月教から補償も継続して行います」

「いや、それは全然いいんだけど、ですけど、ええっと」

 喉に小骨が刺さったかのようにスティレットは眉をしかめながら、むいたリンゴを今度はシャッシャッシャッと慣れた手つきで等分に切り分けていく。お上手です。

 さて、謝罪も無事にすみ、ファルは報告を兼ねた雑談をスティレットたちとしていた。その話の中で、黄色い霧に襲われ怪我をした件は、ファルが交渉してなかったことにしたと伝えたのだ。

「な、なんでそんなことを?」

「調査を続けないといけないのに、大怪我して死にかけたとなったら、動きにくくなってしまいますからね」

 こんな両手ですけどね、とファルが両腕を挙げる。ギブスと包帯できっちりと固められて、コーンみたいになっている。

「だ、大丈夫なんですか、それ?」

「キレイに切られてたから、すぐくっつくみたいです」

 どっちかというと失血死寸前で、スティレットたち3人の解呪を強行したのがまずかったらしく、今でも体全体がだるい。

 のだが、まぁそれはここで言うべきではないだろう。

「腕が使えなくても、こうして機械さんに補助していただけますからね」

 そう微笑みつつ、肩につけた小枝のような機械腕で、スティレットが切り分けてくれたリンゴを取って口に運ぶ。

 けが人用の補助腕だそうで、特に練習などしなくても自分の腕のように動かせる。

 流石、地球世界の科学力ですと、ファルはシャクリとリンゴの瑞々しさを味わいながら、

「だから大怪我ですけど特に問題ない、この件は内々で終わりにしましょう、とわがままを申し上げました」

 それに大事にすると、護衛をしていたミリメやポモナ、送り出したレヴィアルタにトップである極島教区長といった人々の責任問題になってしまう。

 あの黄色い霧の神格が出るなんて、ファル自身ですら予想だにしなかったことだ。そんな話で揉めるのは避けたい。

「なんか色々とめんどくさ、あ、えーと、大変ですね」

「皆様あってこそですから、これくらいは」

 ファルの答えを聞きながら、ナイフを皿に置いたスティレットが、しゃくっとリンゴをつまんで食べる。王様のデザートもかくや、という甘みが広がるはずだが、顔はやたら渋い。

「うんと、なんというか、理不尽、じゃないですけど、ええっと、黄色い霧がなんなのかもわかってないんだよね、メグプト」

「そうですね。推察はできますが明確にこれ、とは言い難いですね。介入理由も不明。映像を見た限り土地神程度、つまり神としては強力というわけではないですし、ミリメさんの神剣を受けた以上、そう簡単に活動を再開できないはずですが」

「でも他にもいるかもしれないじゃん。スミレちゃん以外手も足も出ないようなやつが」

 メグプトの答えに、スティレットは頬を膨らませる。

「なのに、まだ大怪我も治ってないのに働かされるのは、その、神様の言いつけだからって」

「言いつけではないですよ。私がやるって決めたことです」

 ファルが努めて朗々と答えるが、スティレットはりんごを手で弄りながら、

「でも啓示っていうの貰ってるんでしょ、ですよね。それでヤバいシーン見せられて、働かないと大変だって思わされてで、えっと」

「そうですね。啓示を受けたからこそ、無理してでもやらねば、と思ってる面は確かにあります」

 そこで言葉を切ってファルは少し考えたが、大したことは思いつかなかったので、自分が思ってることをそのままスティレットへ言うことにする。

「それでもいいんです。理由はなんであれ、より多くの死んだり傷ついたり不幸になる人を助けられるのですから。そう私は思ってます」

「……本当に聖女様なんだぁ」

 何やら感心したようにスティレットが頷いて、りんごを口に放り込む。良くわからないですが、とりあえず聖女ではなく聖女候補です、念の為。

「いいんですよ。私はファルフニル様を聖女だって思います。あ、そう言えば話変わりますけど、売った映像の方ってどうなります? お蔵入りですか?」

 売った映像、というのはスティレットたちが撮った先日の騒ぎのビデオだ。彼女たちは、サメ退治や暗殺者との戦い、黄色い霧との戦闘まで全て撮影していた。

 そのデータは宣材にするということで、レヴィアルタのお付きの人たちが買い上げたそうだが、黄色い霧の部分は先程の経緯から表には出ないだろう。

「そうですよねぇ、ちょっと残念ですが、ま、お金はもらってるから問題ないです」

 ファルの説明に頷きながら、スティレットはほいっと切ったリンゴの皿を触手へ差し出す。すると、しゅばっと触手が動き、口をリスのようにもぐもぐしてるスミレの前へと持っていってしまう。

 落ち着いて食べましょう、ね?

「み」

 とスミレは鳴いてモグモグを続ける。言葉を喋るようになっても無表情なのは変わらないので、何を考えているのかはよくわからないが、不機嫌になってる感じではないだろう。

「しかしよくあの急場で撮影できましたね!」

「持ってたのとは別に、あの辺りに小型カメラを何個か隠してたのが、ドンピシャって感じですね。あ、それ言い出したのはバヴィスなんですよ。私なんてそこまでやらなくても、って思ってたんですけど」

「へぇ! すごいですねバヴィス様!」

「べ、別に大したことねぇだろ。当たり前だろ」

 ビクッとしたバヴィスは、そのまま鈍色のビルが並ぶだけの窓の外を、一心不乱に睨みつける。

「当たり前に結果が出せる、素晴らしいことです。デッド様も褒めてましたよ。大したもんだ、と」

「そ、そうかよ。えっと、その、そういや、あの兄ちゃんは来てないのか?」

「デッド様ですか? 魔女の方の情報収集してくるっておっしゃってましたね」

 ファルは答えつつ、デッドの顔を思い出す。

 ーー3人の解呪を強行し終えて倒れ、意識を取り戻して少し経った時だ。検査だのなんだのが終わった後、デッドが現れてこう問いかけた。

『それで、依頼は続けるのか?』

 無表情な顔。電灯の切れかけた薄暗い病室の中で、ただ彼の瞳だけがぼんやり光っているのだけが印象的だった。

『はい! よろしくお願いします! あ、でももしご迷惑でしたら』

『迷惑ではねぇな。しかしなるほど』

 一つ頷いたデッドは、目を閉じ軽くため息を吐いた。

『何か?』

『なに、気合を入れるしかねぇなってだけさ』

 そう、浮かべた微笑みの優しさが、ずっと目に焼き付いている。

「情報収集ねぇ。それであんた放置していいのかよ」

「っと、それは別途、護衛をつけてもらってます。今回はスミレ様ですね」

 バヴィスの言葉に意識を現実に戻しつつ、ファルはスミレの触手を撫でる。と、ちょっと果物のせいかベタついてるので、ハンカチをポケットから出して拭いてあげる。

「まぁクソ強いんだろうけどよ、大丈夫かよこいつ」

「ふぁいひょうふ」

 スミレはまだむっちゃむっちゃしてるからよく聞こえないが、大丈夫、と言ってるのだろう。うんうん、頼りにしていますよ。

 そういえば、とファルは首を傾け、

「あの竜を召喚した魔女を名乗る方、ウィッチリリィっていう組織に属してらっしゃるみたいですけど、どういうものなのですか?」

「えーと、メグプト、ちょっと解説して」

 スティレットに振られたメグプトは、はーいと答えながらクルンと一回転して光ると、格好がスーツとか言うパリッとしたものになった。

「ウィッチリリィというのは極島にある自治組織の一つですね。起源は地球世界において、魔女として迫害を受けた人々の互助組織です。魔女は、地球世界における数少ない魔法が使える人々でしたが、それ故に恐れられ弾圧され続けました」

 その後、色々と紆余曲折があって地位が向上して保護されるようになり、更に混沌災害対策で活躍した結果、極島に領地を持つようになった、らしい。

「へ、活躍ね。ただ単に火事場泥棒しただけだろう。あの性悪どもは」

 メグプトの説明にバヴィスが吐き捨てる。

「火事場泥棒ですか?」

「殿兵団がなんとか極島を守りきったのを見て、環太平洋英国同盟や欧州帝国をだまくらかして無理やり土地を奪っていったんだよ」

 殿兵団、というのは前に説明を受けた団体か。確か昔、異形の大侵攻から極島を守りきった組織で、ミリメも所属していたとかなんとか。

「お陰で俺の爺ちゃんも畑を奪われて文無しで放り出され、俺の代まで苦労する始末だ。今でもお遊びで人攫っておもちゃにしてるって噂が絶えねぇし、最悪な奴らさ」

「えーと、その辺りは諸説あるってことで。まぁ近づかない方が良いことは確か、ですよ」

 今回はそうも言ってられませんけどね、と乾いた笑みを浮かべるスティレットに、ケッと怒りが収まってないバヴィス。

 少なくとも、とても嫌われていることはファルにも分かる。

 となると疑問になるのは、

「なんでそんなところに属してる方が、デッド様を私たちの英雄、とかおっしゃってたんでしょう? なんというか、有名な役者様や騎士様にあったかのような反応でしたが」

 デッドの話を信じるなら、彼は荒事屋としても中堅程度で、別に有名人じゃないはずなのだが。

 ファルの質問に、メグプトが少し首を傾けたが、すぐ、

「それはデッドさんが、ウィッチリリィのビンゴブックに長年載ってるからですね」

「ビンゴブックって、え!?」

 スティレットが息を飲み、りんごにザクザク爪楊枝を刺していたバヴィスもビクッと顔をメグプトへ向ける。ええっと?

「指名手配されてるってことです」

「指名手配って、お尋ね者っていうことですか!?」

 ということは、何かウィッチリリィの方々に悪いことをやったのだろうか? デッド様が? 数日の付き合いだが、荒いところはあるものの、そんな悪事を為す人とはファルには思えなかったが……?

「な、なんでそんなことになったんだよ!」

「さぁ、どうしてでしょうねぇ」

 バヴィスが問い詰めるが、メグプトが微笑んで肩をすくめた。ふわふわした態度ながら、彼女には珍しく明確な拒絶の意思を感じる。

 スティレットとバヴィスも同じ感想なのか、ぐっと息を飲んで押し黙った。奇妙な空白が病室に満ち、シャクシャクというスミレの咀嚼音だけが響く。

「え、えーと、ところでさメグプト! ファルフニル様の調査にあなたは協力しないの!?」

 そんな沈黙の圧力に耐えかねたか、スティレットが強引に話題を変えてメグプトへ振った。

「なんか万単位で人死が出るようなやばいことが極島で起こるって話で、実際ヤバい奴らが出てるわけじゃん?」

 ちょっと声高になりつつも、スティレットはお見舞いの果物籠に手を伸ばし、梨を手にとって再びナイフを動かし始める。

「あなたがサクッと捕まえたらいいんじゃない? あの魔女、大勢の人が異形に変わるとかいうファルフニル様の啓示の実行犯だって、自分からゲロったんでしょ」

「預言や放言だけでは捕まえられませんよ。金月教会への強制査察で、魔女と暗殺者に繋がりが出れば、お二人への殺害未遂の共謀者として動けましたが、何も出ませんでしたし」

 メグプトが軽く両手をあげたのに、ファルは少しホッとしてしまう。ただでさえ暗殺騒ぎに無辜のスティレットたちを巻き込み、殺しかけた話で極島教会は大騒ぎなのだ。

 魔女と繋がってたなどとなったらどうなるか、極島所属ではない彼女でも心配になる。

 メグプトが説明を続ける。

「私の管理、監視区域の警備は強化していますけどね。ただそれ以外の外郭など非管理区域や他都市となると、まだ動けませんね。計画書なり万人を殺そうとしている物証があったら別なんですけどね」

「めんどくせえなぁ」

「めんどくさいんですよ。その辺りを補うためにデッドさんが情報収集に出てるわけです。上手く行ってくれるといいですね」

 そうバヴィスへ静かに返したメグプトは、気持ちいいくらい青い空が見える窓へと、その小さな顔を向けた。


「実験結果は失敗、ですか」

 漆黒の中で陰気な声だけが、虚しく響く。

 光の一つもない完全な闇は、物の輪郭すら映し出さず全てを黒く塗りつぶす。

 そんな中で、魔女アルラオニケことアルラは、ボロボロの安楽椅子に座っている。膝の上で、本来は白色の馬のぬいぐるみを抱えているのだが、闇の中では輪郭すら分からず、ただ柔らかな感触だけが腕に返ってくる。

『はい、アデプト。単体の結節点を連携させ、門の規模拡大こそできますが、安定させるためには今少し、時間を』

「これ以上は待てません。慎重に準備したとはいえ、エーテル結晶の大量購入や運搬は目立ちます。どうせ門を安定させたところで、まだ本格的な招来はできないのです。都市警やメグプトに感づかれる前に行います。ただ念の為、呪樹の起動準備もしておきなさい」

『了解しました。……クライアントの計画がこれで一歩進みますが、本当にこんなことができるのですか』

「さぁ? どんな誇大妄想であれ感傷であれ、お金を出してくれるならそれでいいわよ」

 はふぅ、とことさらに大きな欠伸を響かせたアルラは、淡々と指示を続ける。

「クライアントへは護衛の増員要請、あなたの帰還次第、第二実験を行います。春を思いなさい」

『はい。枯れぬ花に誓って』

「ええ、終わらぬ冬と共に」

 パチリ、と通信魔法を切れば、光も音も全てなくなった。

 ぎゅっと膝上のぬいぐるみを抱きしめる。

 それでも体は冷たいままで、欠片の暖かさも与えてくれない。

(実験の準備自体は既に整った。都市警にはまだ気づかれてない。聖女様たちも怪我で動けない。後はメグプト、あなただけよ)

 あなたが動かないのなら、この町の人々、そして島全体が皆、っ!?

 ビクリっとアルラは、椅子から飛び上がった。

(魔力反応!? 誰が!? っ!?)

 ぬいぐるみを叩いて転移させたアルラが、すぐに周囲を魔法で探知しようとした瞬間。視界へ赤い光と轟音が押し付けられた。

(魔法!? いや魔力がない! 対戦車ミサイルですか!?)

 即座に魔法で焼けついた視界を戻せば、魔術で守られていたはずの壁には大穴が空き、真っ暗だった部屋に強烈な光が差し込んでいる。

(っく! 逃げなければ!)

 と緑色に輝く転移の魔石を使おうとするも、発動しない。何故、と考える前に張っていた防御魔法を強化する。

 同時に漆黒に穿たれた大穴から放物線を描いて、グレネード弾が彼女の周囲に突き刺さった。

 再び五感へ閃光と爆音、そして強烈な熱と打撃が襲いかかるも、強化した防御魔法によって小さな体は守られ、

「ぐっ!?」

 頭に衝撃を受けた瞬間、魔女の意識は一瞬でシャットダウンされる。

 が、次の瞬間には暗い闇の中で再び目覚めた。

(保険でエーテル方陣を使ってセーブポイントを作ってなければ、死から復活できずゲームオーバーでしたね)

 グレネードによる爆撃で目眩ましをしてからの、ライフル狙撃によるヘッドショット、本当に容赦がない。

 これで復活の魔法陣は品切れ。魔石による転移も未だ発動できない。軽く探査を入れれば、どうやら転移を防ぐ結界で逃走を封じられているらしい。

 そんなことを考えていると、ガコンっと何かが弾ける音が聞こえた。扉を無理やり吹き飛ばしたか。動きが早い。3階で死んだ私が、この地下室で復活したことにも気づかれてるのだろう。

 自然と顔に笑みがこぼれて、凍りついていた体が暖かくなる。敵対を宣言してから数日でこちらの隠れ家を見つけ出し、転移対策も用意しての完璧な不意打ち。

 流石、流石、

「死なずの勇士。私たちの英雄」

 答えるようにボンッという鈍い音。闇を切ってグレネード弾が再び飛んでくる。

『ウィルク』

 それを魔女は空中で停止させ、更に氷漬けにして石畳に転がす。

「役者が舞台袖にいるなんて興ざめです。早くあがっていらっしゃって?」

 答えの代わりに細長い地下室に舌打ちが響き、カツンカツンと靴の音が階段から降りて来てくる。

「ああ、ああ、お久しぶりです! デッド様! またお目にかかれるなんて!」

「大して経ってねぇだろ」

 そして、ぶっきらぼうな声で、『死にぞこない』ことデッドが答えてくれた。

 そっけない革ジャン姿にごく普通のデニムズボン。肩からグレネードランチャーをぶら下げ、腰には刀。そして、機械化した瞳が、暗い地下室でほのかに光っていた。

 そんな姿を見ただけで、全てをぶちまけて殺されてしまいたかった。その慈悲にすがり死に甘えてしまいたかったが、しかしアルラはギリギリ踏みとどまった。

 罪の精算、罰の執行、魔女に与える鉄槌は、まだ始まってすらいない。

「っち!?」

 そのまま踏み込もうとしたデッドへ、石壁から槍を生やして牽制する。

「さあ、今宵の演目は陳腐な悲劇かしら! それとも悪い魔女を殺して意外なハッピーエンド!? 楽しませて! 私たちの英雄!」

「まだ昼だぞ、あたっ」

 無粋な答えをしたデッドへ、横からティーカップを飛ばしてぶつけておく。

「ったく! ここはてめぇの腸か!」

 その隙を突いて、四方八方の壁や天井から石のムチを生やして振り回すものの、後ろへ飛び退いてかわされてしまう。

「ええ! この地下室は、全て私が自在に動かせます! こんなふうに!」

 天井を落とし、彼を叩き潰す! そう腕を振り下ろそうとしたが、

「よっ」

 先んじて動いたデッドが、手にしていたグレネードランチャーで真上を撃ち抜いた。

 石で固めた天井は貫かれて吹き飛び、空いた大穴から差した光がスポットライトのようにデッドを照らす。

「っ、ふふふふふ、相変わらず地味なようで派手ですね! 雷を宿す雨雲のよう!」

「雷は俺以外にぴったりなのがいるけどな。さて、壊したもんを動かせねぇようだなっと」

 再び槍を壁から生やそうとすると、またも先にデッドが動き、壁へ徹甲グレネードを放って爆破する。

 壊せば良いことに気づかれたのはまずい、いや、それよりも動きを完全に読まれているのがまずい、か。

「全天周化した視界と、それを活かし切る技量! こうして自ら味わえるとは感激です! デッド様!」

 だからこそアルラはゾクゾクしてしまう。胸の高鳴りが止まらない。あの殺意がこちらに向けられていることに、喜びが溢れてしまう。

 だめだ、抑えようがない。今この時だけは、この衝動に任せてしまいましょう!

「どうやってこの隠れ家へ!? ちゃんと偽装には気を使っていたのに!? 15年以上続けている荒事屋の人脈かしら!? それと与えられた啓示の映像を合わせて!? 大型の設備が必要でしたしたし、加えてメグプトの監視をくぐり抜けないといけませんから、隠れてやるなら場所も限られますしね! 転送阻止の結界は金月教会の方々かしら!? 副教区長様とお知り合いですものね!」

 アルラは思いついたことを垂れ流しながら、足元から刃を、天井からムチを、壁から弓矢を、そして自ら魔弾を次々と、時間差で、あるいは同時に休むまもなく鉄の英雄へ叩きつける。

「……」

 だが、彼女の悪意の嵐に、デッドは気だるげな無表情を欠片も変えず、飛び、撃ち、避け、そして、

「しゃっ!」

 腰に差していた刀で苦も無く斬り捨ててしまった。

「ああ、お苦手だとおっしゃってた魔法剣豪直伝の抜刀魔術まで拝見できるなんて、幸せです!」

「そうかよ。それじゃ冥土の土産も十分だな」

 いつの間にか、一足一刀の間合いまで近づいていたデッドが、鳴り響く雷のような音とともに踏み込んでくる。

 刀は腰の鞘。しかしそれが抜刀魔術、居合の使い手にとっての構え。このまま、このまま、即座に閃くであろうその白刃に身を任せれば、この終わらぬ冬から……、

「っち」

 杖を宙に飛ばして、閃いた白刃を受けた。

「ふふ、ダメですね。私が春を、忘れるわけにはいかないというのに」

 そう心の奥底から湧き上がる望みを無理やり押さえつけ、アルラは無理やり、おもちゃを貰った子犬のように笑う。

「さあ踊りましょう! 円幕が落ちる、その時まで!」

 答えはなく、ただ銀光だけが輝く。その一撃を杖で受ければ、また即座に一筋一合、あるいは鉄拳が、あるいは投擲された小石が次々と襲いかかり、それを石壁を伸ばし杖を振るって受け、延々と切り結び、踊っていく。

(本当に、永遠に続いてくれればいいのに)

 アルラは切に思うが、そんな事がありえないことも分かっている。

 緑の魔石に、ほのかな反応が出始めた。

 チームでは、こちらの勝ちだ。

「なろぅ!」

 デッドも気づいて焦ったか、刀を力任せに振り下ろしてくるが、バレバレな動きで難なく杖で受ける。

 そのまま鋼の腕で無理やり押し込もうとしてくるが、この程度では、っ!?

(刃に魔力集中! まずいっ!?)

 一瞬、アルラの背筋に冷気が走る。けど、流石に無理やり過ぎですよ!

 あの時の教えを記憶群からすぐ引き出し、魔女は大きく踏み込む。

「しゃっ!」

「ぐぅ!?」

 そして突き出されたストレートが、カウンター気味に腹へ突き刺されば、さしものデッドも数歩、後ろへよろけた。

「ふふ、結界が緩みましたね。うっとおしいクライアントですが、護衛としては本当に頼りになります」

「クソ! 魔女が肉弾戦かよ! 待ちやがれ!」

「時計は12時を示しました。舞踏会はここまでです。大丈夫、ここを襲われてしまった以上、少なくともあの啓示はもう果たされませんよ」

 もちろんサブプランはありますけどね。そう微笑んだアルラは魔石を起動し、転移する。

 ……視界が暗転する。同時に彼を殴った拳が、ジンジンと痛みだす。アルラはその見た目だけはきれいなはずの手を、暗闇の中でただじっと眺めていた。


「なんでおしゃってくれなかったんですか!?」

『でっかい声出すな。さっき副教区長様の方に散々、どやされたばかりなんだ』

 いい加減、耳が壊れちまう、とデッドは迷惑そうに言うが関係ない。

「竜もどきを召喚してた魔女のアジトが分かったから襲撃した、なんて聞いたら声も大きくなります! ふにゃ!?」

 ちゅるんと冷たいものがファルの首筋を撫でる。見れば触手で、その元をたどれば隣でホログラムを見ていたスミレが、無表情だが横目で睨んでいることに気づいた。

 ご、ごめんなさい。

 さて、スティレットたちのお見舞いも終わったファルたちは、全自動タクシーで移動中だった。

 そこへ、デッドから通信が入り、さっき言った通り魔女のアジトを襲撃したという話を切り出されたのだ。

「事前になにも連絡もなく。情報収集するっておっしゃってましたけど」

『情報収集して在処を見つけたから、ついでに襲っておいたってだけださ』

 お土産におまけをつけたみたいなデッドの言い草だが、ついでにやることじゃないです。

『むくれるなむくれるな。サクッとやっとかねぇと気づかれて逃げられるんだよ、こういうのはさ』

「そうかもしれませんけどぉ! おっしゃってくれれば私も協力したのに!」

『そういうから黙ってたんだよ、立場考えろ、死にぞこない聖女。2日で2回も死にかけやがって』

「それはデッド様も同じじゃないですか!」

『俺はいいんだよ俺は。サイボーグだし。てめぇはちげぇだろうが。めんどくせぇな』

 めんどくさいってなんですか! と怒りたくなったが、触手が再びニョロニョロしだしたので、我慢我慢。

 ふぅーとファルは息を吐き出す。

「しかしよくこんな短期間で魔女の方のアジトなんて見つけられましたね」

『まぁ15年以上も荒事屋なんてやってりゃ、伝手は色々とあるんだよ。この街は俺のホームでもあるし気合を入れりゃ、この程度はな。あんたの啓示のお陰で場所の割り出しもできたしな』

「啓示ですか?」

『前に話したろ。啓示を絵にして場所とか調べるっての。俺が見せてもらった啓示を絵にしたんだよ。それ使って足と人脈で力技した。魔法とはいえ大規模テロやるなら相応の派手な準備が必要だから痕跡は残るし、それを隠すとなると場所も限られるしな』

 淡々とデッドは説明してくれるが、大分、大変だったのではなかろうか? お金の面とか心配である。

『なら報酬の上乗せを頼むかね。額はメグプトと相談な』

「はい。分かりました。それで、襲撃は結局どうなったんですか?」

『拠点の方は押さえられたし、情報の隠滅もされてねぇからなんか分かるかもな。魔術用のエーテル結晶も大量にあるから、ここから啓示のテロを行おうとしたのは間違いなさそうだ。ただ、首謀者の魔女と協力者っぽい仮面の奴らには逃げられちまったが』

「仮面の奴らですか?」

『前にお前さんを襲ってきたやつだよ、ほら、喫茶店で襲われた後の、デカい鉄腕のサイボーグと一緒にいた、鉄仮面被ってた猫女だ』

 その言葉でやっとファルの記憶が像を作る。喫茶店から廃墟まで暗殺者を追っていた際の殿で、顔が結晶化していた猫の女性か。

『そいつとそのお仲間に、テレポート阻止の結界作ってた魔術師を襲われたそうでな。守りきれなかった』

「その方は大丈夫なのですか」

『ま、ミリメがすぐ治療したからな。後遺症とかも残んねぇって話だが』

『面目次第もございません、聖女様!』

 甲高い声が二人に割り込む。簡素な鎧の小柄な女性で、確かレヴィアルタのお付きだ。レストランにも付いてきていたはず。

『私どもが未熟なばかりに、魔女を取り逃がすとは!』

「え、えーと? ちょっと話が見えないのですが」

 半泣きの女性にファルが目を白黒させていると、デッドは軽いため息とともに

『ああ、レヴィアルタ、えーと、副教区長様から結界張ってくれる魔術師と一緒に、その護衛用にこいつらも借りたんだけど、さっきも言ったが守りきれなくてな』

 それでかしこまってしまってる、ということらしい。ホログラムに映る他の簡易鎧の兵士たちもぐったり片膝をつき、見るからに悄然といった塩梅。その脇で銀髪の少女、デッドの妹であるツバキが、困った顔でけが人に塗り薬を使っていた。

 デッドがいててと腹を気にしながら、

『俺の仕切りでやったことで、早さ優先でどだい準備不足だったんだ。相手の戦力を見誤った俺の責任だって言ってんだけどさ』

『末席とは言え我々はタルニール公爵家の臣下! 王国の柱石にお仕えするもの! 例え準備不足でも、このような不覚を取るなんて、あってはならないのです! なのにミリメリミ様やツバキ様の足を引っ張り! ああ、なんという無様か!』

 今にも首を剣で突いて自裁しかねない勢いのお付きさんだが、ちょっと落ち着いて欲しい。

「皆様、死者も致命的な怪我もなかった。なら安心こそすれ、責めることなんて何もございません」

『聖女様、しかし』

「皆様は極島に来てまだ日も浅いのでしょう? ここは地球科学側の世界、我々には珍しい銃も、市井の無頼程度すら当たり前に使う場所。そんな中、危険なお仕事を果たしていただき、ありがとうございます」

 反論を強引に封じ込め、ファルは車の中であったが、なるべく丁寧に頭を下げる。

 と、スピーカーから、もったいないお言葉です、というお付きの言葉とともに、配下の人たちと思しき涙声やすすり泣きが聞こえてくる。大丈夫そう、だろうか? なんであれあまり気に病まなければ良いが。後、聖女はやめてほしい。

『荒事に強い奴らを俺からも呼べてりゃ良かったんだが、あいにくツバキ以外、忙しくてな。こいつらには無理な仕事させちまった。悪いな』

「いえ、申し上げた通り成果が出て被害がないのです。私から責めることは何も。そういえば、レヴィアルタ様から兵をお借りしたのですか? よくお借りできましたね?」

 ファルがデッドに質問していると、ホログラムの上からミリメが降ってきた。地球世界の軍人のようなまだら模様の軍服を着て、スコープのついた長い銃を抱えている。映画で見たスナイパー、という人たちの装備だろうか?

 と、ミリメがこちらに気づいて、パタパタっと指抜きグローブを着けた手を振ってくれたので、軽く機械の補助腕を挙げて応えておく。

『金月教会関係者に暗殺の協力者がいるかもってことで、面会謝絶にしてたろ。そしたら向こうさんから、お前に会わせろって連絡が直々に俺のデバイスに来てな。ついでに頼んでみたら貸してくれたぞ』

「ははぁ」

 デッドの説明に、ファルは間抜けな相槌をうってしまう。いやなんでそんなことに?

『んーと、なんか青い顔してたな。お前さんが殺されかけたビデオ見たとか。それでかなり思い詰めてるみたいだぞ。軽率に死地へ送り出してしまったってな』

 はぁ、とファルは再び気の抜けた頷きを返す。いやなんというか、全然想像がつかない。

(人は駒程度に考える策謀家、とは言わぬまでも、傲岸な振る舞いからあまり気になさる方だとは思ってませんでしたが)

 山は見る場所によって形を変える、人の性格もまた然り、とは言われるが、なるほど、よく知らぬ人を安易に傲岸と決めつけていた自分こそが、傲岸であったらしい。

「早くお会いして、感謝を述べなければなりませんね」

『そうしてやってくれ』

 その後、細々としたやり取りをしてデッドとの通話を終え、窓の外を見る。

(大怪我をして動きが取れなくなって、どうしようと思ってましたが。全部、なんとかしてもらってしまいましたね)

 自分は何もしてないので情けなさを感じなくはないが、啓示された万人規模の死傷者が出るような事態から遠のいたのなら、なによりだ。

「しかし、サブプランとか仰ってたようですし、魔女の、えーとアルラ様でしたっけ? 彼女、諦めてないようですが、これから何をするつもりだと思いますか、メグプト様?」

「そうですねぇ。単純な憶測になりますが、この通り、都市部でデッドさんの本気調査から逃れるのは難しいですし、やはり異界で何かするんじゃないですかね」

 車のスピーカーから、聞き慣れ始めたメグプトの声が聞こえてきた。彼女は都市の至る所を管理していて、この車もその一つなのだそうだ。だから質問すれば、こうしてすぐ疑問に答えてくれる。ちょっと不思議だ。

「そういえば、メグプト様も知ってたんですよね、今回の襲撃のこと」

「はい。奇襲を狙うため、口止めされていましたけどね」

 むぅ、いいですけど。頬を小さく膨らませつつ、ファルは話を戻す。

「それで、異界になにかあるとして、やはり調べるのは大変ですよね?」

「極端な環境に化け物、異常な法則だらけですからねぇ。浅いところならまだしも、奥深くとなったら専門チームでもかなりの準備がいりますね」

「やはりそうですか」

 ファルも何回かエリュシオン魔法世界で異界に入ったことがあるが、強大な化け物や複雑過ぎる地形、程度ならまだマシという場所だ。

 例えば、異なる現在の自分が交差してどんどん増殖していく、いつの間にか自分の体がバラバラになっているのに疑問にすら思えないなどなど。

 そんな場所でなにか計画されたら、如何に地球科学がすごくても、やはりそう簡単には調べられないだろう。

「まぁ拠点は押さえられましたし、何か情報が残ってるでしょうから、考えるのはそれを調べてからですね、っと、んーと」

「どうなさいましたか?」

 ファルが問いかけるとメグプトは一瞬、何かを考えるように間を開けたものの、すぐにスピーカーから声を発する。

「ファルさんに面会のお願いが来てますね。お名前はジンスケさん」

「えーと、確かそれってデッド様のお師匠様で、私を襲った方ですよね?」

 そんな方が何故、自分に面会を求めているのか、答えの一端はすぐに分かった。

「はい、そしてイバンワ、とも名乗っています」

 イバンワ。ファルの家の旧臣で、彼女が極島に来る際、色々とアドバイスを与え、デッドを紹介してくれた人の名前だった。

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