年中行事ー鏡餅シリーズ②ー
「よし、今年も届いたな」
12月某日、宅配で届いた白い箱。
そこには、赤く太文字でこう書いてある。
『鏡餅セット(ミニ)』
フタを開けると、見慣れた顔ぶれがそろっている。
・プラスチックの二段重ね餅(開閉式)
・中に詰められた切り餅(3個入り)
・シール付きの橙(貼るタイプ)
・そして、赤白の紙飾り(要折り加工)
・最後に、組み立て説明書(A5サイズ)
「……今年もこの季節か」
説明書の手順はこうだ。
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①赤白の紙を、山折り→谷折り→山折りで蛇腹状にします。
②完成した紙飾りを三方に貼り付けます。
③プラスチック餅の上段に、橙のシールを貼り付けます。
④プラスチックの餅の上段の後ろに扇子を貼り付けます
完成。
※紙製ですが、扇子の角で手を切らないように気を付けて下さい。
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「工作じゃん」と、誰かが言った。
「いや、これ、神事です」と誰かが返す。
年末になると、毎年繰り返されるこの儀式。
正月らしさを、手軽に“演出”できる優れモノ。
でも毎年、買い直すんだよね。
なぜかというと、去年のプラ餅は……なんとなく使い回しづらい。
「エコじゃないよね~」
「いや、そもそも神様の前に再利用って……どうなん?」
「でも、未開封の切り餅だけは毎年ちゃんと食べてる」
「なんなら、正月前に開けておやつにしてる」
そんな会話を交わしながら、
今年も棚の上に“それっぽく”組み立てられる、プラ餅セット。
パチン、と橙を貼り付けるその音に、年末の空気が満ちていく。
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「……はい、できあがり。今年も完璧です」
「うん、もう年末って感じだね~」
鏡餅の中で、切り餅たちがそっとつぶやいた。
「……また今年も、餅として使われるのは私たちだけなのね」
「外側の子、どうなるのかな……?」
風のように静かに、そして誰にも気づかれず――
去年のプラスチック餅は、そっと捨てられていた。
イラストは①の使いまわしでエコにしました。
ご覧いただきありがとうございますm(_ _)m
ミカン食べてる間に読んで頂けると嬉しいです♪




