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初恋相手との文通は清らかに紡がれる  作者: 香雪 莉子
魔法競技大会編

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閑話.ルイーザの尋問



「さあ、何があったか話してちょうだい!」



競技大会の申込から数日がたったある日、ルイーザはセリーナを引き連れて中庭にきていた。

あの日以来二人きりになる機会がなく、なかなか聞くことができなかった親友の恋愛事情を聞き出すためである。聞き出すとはいっても勿論、穏便に。



「何があったか、って言われても……誘ってもらったからお受けして、中庭で会って、踊って、帰ったわ。」


「省略しすぎよ。もっと詳しく聞きたいのよ!」


「詳しくって……例えば?」


「どんな方なの?」


「優しい方だったわよ。」


「何学年?」


「わからないわ。」


「お名前は?」


「わからないわ。」


「……爵位とか…は?」


「わからないわ。」


「何もわからないじゃない!!」


「お互いを詮索しないってことでお会いしたの。個人の特定に直結するようなことは聞いてもないし聞かれてもないわ。」


「お相手は知りたいと思うけど……他は?」


「他って言っても……でも高位貴族の方じゃないかしら。所作が綺麗だったし。」


「……セリーナ、お相手を知りたいとは思わないの?」


「思うわよ、思うけど……今知ったところでっていうのがあるかしら。お父様だって私宛の婚約の申込とか全て断ってるそうだから。」


「叔父様も相変わらず……て、え? 婚約?

その方と婚約まで考えてるってこと!?」


「……私がどうってより、お相手の方が、なんか……私のこと好きだって……」


「キャーーー!!!!!!!」


「ちょ、ちょ、静かに!」



ルイーザは顔を赤らめて興奮した様子でセリーナの手を掴んで上下にぶんぶん振っている。セリーナはなされるがままである。



「それ、それよ! そういうのよ! なんでもっと早く言ってくれなかったの!?

それでそれで?貴女はなんて返したの?勿論告白をお受けしたのよね?どういう感じに?なんて言われた……」


「わかったから落ち着いて……」


「落ち着けるわけないじゃない!……それで?」


「……告白は悩んだけどお受けして、ただ身元を明かすのは待ってほしいと言って、それだけよ。」


「……それだけ?」


「ええ、それだけ。」


「え……え? 色々聞きたいことはあるけど、なんで待ってもらうの?」


「……だって今はまだお父様の意向が全てだもの。相手がどんな方であれ、きっと許すわけないわ。」


「でも相手が高位の方ならよっぽどじゃなきゃ断れないわよ。」


「でも私が病弱だって触れ回ってるもの。一定数の方は信じてるでしょうから、あのタイミングで打ち明けてもいいことはないわ。お父様から言質を取ったのもあの後だし。」


「そうね……本当に諸悪の根源だわ。せっかく……」


「でも待っててくれるそうだから、私も今回の競技大会をきっかけに少しでも変われるように頑張るつもり!」


「全力でサポートするわ!……それで、その方の特徴、わかってる限りで教えて?」


「もういいじゃないの……変装だと思うわよ?」


「わかってるけど、可能性のある方をあげておくだけならいいでしょう?」



ムフフと言いそうなテンションでセリーナに次々と質問を投げかけるルイーザは、親友の恋を心の底から応援していた。楽しそうなルイーザの様子に、セリーナも笑いながら答えてはいるが、その尋問のような勢いに気圧されている。

セリーナの恋路を全力で応援するルイーザの隣で、彼女の守護精霊であるうさぎも主人の気持ちに呼応するようにピョンピョン飛び跳ねていた。

主人の気持ちをそっくりそのまま体現するこの精霊はいつ見ても可愛らしいが、今日はいつもより体二つ分は高く飛んでいる。その様子にルイーザの心境が手に取るようにわかり、セリーナは終始笑いを堪えていた。


そして今日想い人には手紙でこの可愛らしい話を伝えようと心に決め、ルイーザの尋問、もとい恋バナに最後まで付き合ったのであった。



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