表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋相手との文通は清らかに紡がれる  作者: 香雪 莉子
魔法競技大会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/75

1-1.突然の要望



「ねえ、ルイーザ。もう機嫌を治してよ……ごめんてば。」


「ええ、別に、怒ってないわよ。ぜーーーーっんぜん!

貴女は仮面舞踏会に出ないと言ってたから、今日この事を聞くまでずーーーーっとルークとの話ばかり聞かせてしまって逆に申し訳ないくらい。

まっっさか、あの初恋の相手と仮面舞踏会で逢瀬を楽しんでいたなんて。それを私にすら話してくれないとは思ってなかったけれど、いいのよ、全然!!」


「お、逢瀬ではないけど…ごめん、言うタイミングがなくて……」



仮面舞踏会から一週間ほど経ち、学院内もようやく落ち着きを取り戻しはじめた頃、学院の中庭でセリーナと昼休みを過ごしていたルイーザは衝撃的な事実を聞かされていた。

彼女自身はこの一週間、想像していたピッタリのタイミングでルークが自分を見つけ出し、仮面舞踏会でダンスを踊れた事で見事にゲーム…もといジンクスを成功させたことでかなり浮き足立っていた。ルークと婚約した時の次に興奮していたといえる。婚約者同士であるため最後は仮面も外してダンスをしたことから、自分の同級生だけでなくルークの同級生からも「素敵だったね!」と声をかけられることが多々あり、あの野蛮な令嬢ことナイクル侯爵令嬢ですら文句を言えない状況に大変ご満悦であった。

そんな話を延々とセリーナに聞かせていたが、まさかセリーナの晴れ姿を自分が逃していたどころか、教えてもくれないなんて!!!と非常にご立腹であった。



「言おうかと思ったのよ、でも叔父様たちにも知られるとお父様にバレるじゃない?

とにかく平和に終われるように考えたの。貴女に言いたかったわ、一緒に行きたかったし、貴女とルーク兄様のダンスも見たかった。でも……」


「ごめん、セリーナ。いいの、……分かってる。驚いて取り乱してごめん。貴女の立場を考えれば当然のことよ。でも、やっぱりちょっと悲しくて。」


「……ごめん、ルイーザ。」


「もういいって、意地悪してごめん。……でも今度そのドレス姿見せてくれるわよね?」


「勿論よ、叔父様と叔母様にも見てもらいたいもの。とても素敵なドレスを作ってくれたの。」


「……よかったわ、セリーナからそんな話を聞けるなんて。もっと外に出てくれればいいのにって思ってたの。……それで?」


「それでって?」


「何言ってるの!!! あの方と会ったんでしょう?

どうだったの、どんな方? どんな話を?」


「ちょ、ちょっと待って落ち着いてよ……」


「まさか! これでもだいぶ落ち着いてるわよ!

勿体ぶってないで早く教え……」


「……セリーナ、ルイーザ。お待たせ!」



ルイーザがセリーナに詰め寄ろうとしていたところでルークが現れた。彼の登場にルイーザも一旦引くことにしたらしい。小声で「…後で絶対教えてよね。」と囁き、セリーナは逃げられないことを悟った。



「悪いね、せっかくの昼休みに。」


「いいのよ、ルイーザから話があるってことしか聞いてないんだけど……どうかしたの?」



セリーナとルイーザが二人きりで昼食をとっていたのは、ルイーザ伝でルークから「話があるから、昼休みに時間をくれないか」と頼まれたからである。セリーナとルイーザだけにしてほしいと言われ、二人で中庭の東屋で待っていた。ルイーザに仮面舞踏会の話ができたのはこうして二人きりになれるタイミングがようやくできたからであった。


ルークは珍しく気まずそうにして言葉を発するのを躊躇っているようだった。なかなか見ないルークの態度にルイーザも不思議そうにしている。



「……ルーク、何かまずいことでもしたの?」


「いやいや、そういうことじゃないんだ。ただ……セリーナにお願いがあって。でも君にとっては迷惑かもしれないから…というか迷惑だろうから気が引けるんだけど、ただもう思いつくのが君しかいなくて。」


「……ルーク兄様からのお願いなら出来うる限り応えたいわ。お願いって?」



ルークは意を決したようにセリーナを見つめた。



「……来月の、競技大会にペアで一緒に出てほしいんだ。」


「「…………。」」



予想外の要望に、セリーナもルイーザも驚きのあまりに開いた口が塞がらないままにルークを見つめた。その様子を予想していたかのようにルークは二人に苦笑いを向けた。


一週間前の仮面舞踏会では幻想的な光景が広がっていた東屋は、今はなんとも言えない空気が流れていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ