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401.サチコの幸

Linenのメッセージが伝子と高遠のスマホに届いた。

『サチコ、危篤』。

サチコは元警察犬で、福本家で飼っている。


 

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 =================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 == EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊である。==========


 1月24日。午前9時。伝子のマンション。

 Linenのメッセージが伝子と高遠のスマホに届いた。

『サチコ、危篤』。

 サチコは元警察犬で、福本家で飼っている。

 元大文字家では、サチコを飼っていたことも、後輩のジュンコを飼っていたこともある。

 今は2匹とも、福本家で飼っている。

 サチコは、福本家の番犬ではあるが、伝子にもよくなついていた。

 高遠は、Linenをビデオ通話に変えて、福本と通話した。

「よくなついていたから、先輩にも報せておこうと思って。」福本は涙声で言った。

「任務中かも知れないけど、取り敢えず・・・。」

「どこの動物病院だ?」

「葛飾区です。藪動物病院です。」

「すぐ行く。」

 EITO東京本部は、今日は午後からだ。

 伝子は、江南に取り敢えず報せ、早乙女に電話した。

 江南は、元さチコのドッグトレーナーである。

 早乙女は、即答した。

「藪動物病院の近くにヘリポートはありません。我々が向います。駐車場で待機して下さい。」

 藤井が顔を出した。

「お迎えが来るの?」

「ええ。学、支度しろ。」

「僕も言っていいの?」

「当たり前だ、私達は、サチコやジュンコの里親みたいなものだ。」

 2人が支度を終えた頃、白バイ警察官姿の早乙女と工藤がやってきた。

 2人とも退官しているから、明らかに違反だ。

「藤井さん、後を頼みます。」

「任せておいて。私も準隊員だからね。」

 藤井はEITOの任務に協力している積りだ。


 早乙女と工藤は、白バイ隊の後輩に先導させ、高速を全速力で走った。

 高遠は、怖さを忘れていた。

 里親。そんな積りでいたのか。

 おさむを産むまで、愛情は高遠が独り占めしていたと思っていたが・・・。


 午前10時。藪動物病院。

 福本、祥子、江南、青山がいた。

 福本は、獣医に話し、対面させた。

 それまで目をつぶっていたサチコが目を開け、目を細めた。

「サチコ。待たせたな。伝子だ。」

 伝子の言葉に、僅かに尻尾が動いた。

「サチコは13歳。人間で言えば68歳です。」と江南が解説し、獣医の藪が「よくきてくれました。私達で出来ることは、もうないので。」と短く言った。

 30分後。サチコは眠るように静かになった。


 間を置いて、藪は福本にでなく、伝子に尋ねた。

「お墓、どうします?区役所には届け出出来ますが・・・。」

「大丈夫だよ、大文字君。大上の墓に埋葬しよう。」と、入ってきた久保田管理官が言った。

 大上とは、かつて伝子達と闘った、ダークレインボウの『枝』、即ち、中幹部である。

 皇室の方が亡くなられたので、恩赦でシャバに出ている。

 元の墓地や寺や幼稚園は、大上の弟が管理しているので、一目を忍ぶ意味もあって、久保田が廃寺を世話した。

『無縁仏の終の棲家』とも言われている。

 管理出来なければ、瓦礫になってしまうのである。

 そこには、訳あってお参り出来ない墓も移転している。

 高遠の案で、山村編集長の会社経由で『オンライン供養』も行っている。

「今度は、サチコの墓が、他の墓を守るんですね。」

 高遠が言うと、「生意気言うな、婿養子。」と、伝子は高遠を小突いた。


 3時間後。無事、サチコは墓地に入り、人間の墓の仲間入りをした。


 物部達、DDメンバーが駆けつけた。

 それぞれの子供は、しかるべき相手に任せてきて。

「先輩。サチコは名前通り、幸せですね。」と、福本がポツンと言い、「当たり前じゃないか。」と依田が福本の肩を叩いた。

「後は任せて下さい。」と法衣の大上が言った。


 そこへ。EITO隊員達がやってきた。

「おねえさま、ずるーい。江南胃や早乙女さんや工藤だけエコ贔屓して。」と、なぎさがふくれ面をして見せた。

「やっぱり芝居、下手だなあ、って筒井君に笑われるわよ、なぎさ。」と、あつこが茶化した。

 花や線香は既にお供えしているので、皆順番に墓に礼をし、黙祷した。


 遠くで、様子を伺う高齢者がいたが、皆は気づかなかった。

 災難の陰を知る由も無かった。


 午後5時。伝子のマンション。

「そう。良かったわね。そうかあ。里親だったんだあ。」と綾子が言うと、「何か文句あるのか、クソババア。」と伝子は言った。

「今日は、迫力ないから、喧嘩しなーい。」と、綾子は舌を出した。

「じゃあ、麻婆豆腐の準備しましょう。」と、藤井が言い、皆は忙しく立ち回った。


 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)

 大文字伝子だいもんじでんこ・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 橘なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。ロバートと婚約してから、姓を戻している。

 久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 愛宕[白藤]みちる・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。あつこと警察学校同期。警視庁丸髷署からのEITO出向。警部補。

 中島[増田]はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。見合いしたMAITOの中島と事実婚をしていたが結婚した。

 馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

 高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。

 高崎[馬越]友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。


 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音しずね・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。

 伊知地満子一曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

 高坂[飯星]満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。

 新庄珠恵・・・元結城たまき警部。結婚と、『身バレ』の可能性から、名字だけでなく、下の名前も改名。警視庁は退職して、EITOに再就職。


 大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。

 藤井康子・・・伝子マンションの区切り隣の住人。栄養士。モールで料理教室を開いている。


 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。


 --- 今回のゲスト –--

 藪真之介・・・藪動物病院院長。

 西部[早乙女]藍・・・元EITO出向の白バイ隊隊員。EITO要人警護専門要員。

 工藤由香・・・元EITO出向の白バイ隊隊員。EITO要人警護専門要員。

 物部一朗太・・・伝子の同級生。喫茶店のマスター。翻訳部の副部長だったので、高遠達後輩は、未だに副部長と呼んでいる。

 物部[逢坂]・・・伝子の大学翻訳部同輩。童話作家をしていたが、今は引退して物部と再婚している。

 依田俊介・・・伝子の大学翻訳部後輩。元宅配便ドライバー。今は、やすらぎほのかホテル東京支配人。

 依田[小田]慶子。・・・小田社長姪で。小田の秘書をしていたが、依田と結婚後、副支配人をしている。

 小田祐二・・・やすらぎほのかホテル社長。

 福本英二・・・伝子の大学翻訳部後輩。プロ劇団退団後、アマチュア劇団を主宰しながら、建築事務所に勤めている。

 福本[鈴木]祥子・・・福本と同じプロ劇団にいたが、退団。福本のアマチュア劇団を手伝うが、今は出産後、育児に専念している。

 南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師をしていたが、今は妻と学習塾を経営している。

 南原[大田原]文子・・・父の経営していた学習塾を引き継いだが、南原を婿養子にはしなかった。

 山城[南原]蘭・・・南原の妹。非常勤の美容師。

 山城順・・・伝子の中学の書道部後輩。愛宕と同窓生。今は、海自の非常勤職員をしている。

 服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。シンガーソングライターだが、今は音楽塾を開いている。

 服部[麻宮]コウ・・・服部と結婚して、音楽塾を手伝っている。夫と共に作った曲でCDも出している。


 大上・・・元ダークレインボウの『枝』。恩赦の為、刑を短縮され出所。今は廃寺の管理をしている。

 久保田嘉三・・・警視庁管理官。テロ対策室室長。



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