酔った幼馴染をいじめてみた
エセ関西かもしれません。
おかしい点がありましたら、代替え案と共にご指摘いただけると幸いです。
「んぅ~」
「あ、起きた?」
朝、目が覚めると、見覚えのある部屋にいた
通常それは当たり前のことだろう。だけど私にとっては少し違う。
私には、目覚めるにあたって見覚えのある部屋は一つしか無いはずだ。そう、自分の部屋。それ以上でもそれ以下でも無い。
目覚めることを抜きとして見覚えのある部屋は二つ。自分の部屋、それから幼馴染の部屋だろう。
この部屋は幼馴染の部屋だった。
──なぜ?どうして?うぅ、頭いたいぃぃ
「昨日はえらい酔っとったなぁ」
慣れ親しんだはずの幼馴染の関西弁は何故だか甘く聞こえる。
ふとそこで、肌寒さを感じた。
ふかふかとした布はベッドの上の掛け布団であるはずだ。では何故肌寒い?
疑問を抱いて、ふと自分の身体を見た途端に血の気が引いた。
──服着てないっ
急いで掛け布団をかき寄せて胸を隠す。
「ありゃ、サービスはこれで終わりなん?残念やわぁ」
昨日の私は、そう平然と言ってのける幼馴染と、何をしたのだろうか?
「ゆー、くん?あの、きのー、何が...?」
「んー?聞いちゃう?」
にやにやと笑う幼馴染を、どう処理すれば良い?
生き埋め?沈める?山に捨ててくる?いや餓死...
「あは、なんか物騒なこと考えとんな?何もしとらんと、安心せぇよ?服はヒマが勝手に脱いだだけやし」
──な、なんだ。良かったぁ....
?良くないのでは?私裸見られてるよね、良くないよね?顔に熱が集まって、あつくなる。
「...ヒマ、服着や。理性試しとんのか?」
「ゆーくんそんな事しないでしょ」
「お前さっきまでクソほど疑っといて何や、手のひらくるっくるかいな」
もう良いか、ゆーくんだし。紳士だし。
──大丈夫でしょ!
吹っ切れて薄い掛け布団で身を包んで立ち上がると、呑気にふんふん鼻唄すら歌い始める。
──服あとでいーや
「おーい、ヒマさーん?服着や?」
「あとで着るー、お風呂借りるねんっ!」
順応早すぎるやろ...
という嘆きが聞こえた気がするが、空耳ってことで、ノーカンとする!
──おっ風呂、おっ風呂!
─────
どーもぉ、関西弁の幼馴染ですぅ。
突然やけど、ヒマの寝起きの頭の悪さは一周回って頭良いまで行くんよね。
すーぐ人の言うこと信じてまうからいつか騙されて壺とか買ってきそうでほんま毎日心配で心配で...。
まあ騙しとんのは主に俺なんやけども。
今回のことは俺のいたずら半分、あいつの馬鹿半分やな。
飲み会かなんか知らんけど、呑んだくれて行き着く先が自分の家やのぉて俺の家なんは気分ええけど、ちっと俺を信頼しすぎてるんとちゃうか?嬉しいんけど。
夜中に突然ピンポン、音鳴ったとおもたら
『ゆーくん、いえ、いれてぇ』
なんて言われてもぅたら、入れるしかないやん?可愛すぎるやろ。
招き入れた手前、襲うわけにもいかれへんし、ほんまに俺の忍耐力試すん好きよな?
水やったり、寝かしたりして、ようやっと落ち着いたと思えば、寝ぼけ眼で服脱ぎ出すんからひっくり返るかおもたわ。
止めようにも、嫌だ嫌だと抵抗してすっぽんぽんになっとるし、こっちが嫌やわ、襲われたいんか?
そのうちすぴすぴ呑気に寝出すんもんやから、逆に冷静にはなったんやけど...
...いや、あいつ危機感が足りひんな。俺やなかった時襲われるやろ、あんなん。可愛過ぎなんよ。
──よし、少しいじめるか。
─────
「んー...」
「おはよ♡ヒマ」
「おは、よ...え?」
俺の声で覚醒したらしいヒマは、目を開けてすぐに俺の顔が近くにあることに驚いとった。あ、かわいい。
そして目をぱちくりとさせて、もう一度。
「え?」
どうやら状況が理解できとらんらしいな。
「ゆーくん?えっと、私また酔っ払って?」
「そうやねん、ヒマが夜中泣きながら来るもんやからえらい驚いたわ」
「そ、そうなんだ...なんか、ゴメン」
話しているうちに意識が他のことへも向き始める。
「あの、さ。ゆーくん、昨日、何かした?」
「?ああ、そやね、ちょっと、な?」
にこりと笑いかけることも忘れちゃいかんで?
「あ、の」
「そうやわ!腰痛いんとちゃう?待っとってな、今薬を....」
「っ!!まさか」
そうやね、そうやね。焦るわな。
「ゆーくんと、した?」
「...ふふ」
──ああ、計画通りや。
───
焦ってもうて呂律がいっさい回っちょらん幼馴染の可愛さは国宝級やね。録画してええやろか?
「ゆ、くん、え?ちょっちょ待って、え?」
「ゆっくり話しぃや?ほれ水」
「ありがとう...じゃなくてっ!」
ほんまおもろい。そない忙しなく表情変えんとも、ヒマのことはよぉくわかっとんで?
「昨日は盛り上がったなぁ?俺も心なしが筋肉痛やわ。ほれ、ヒマも湿布いるやろ?あんなに激しかってん、さぞ腰が痛いんとちゃう?」
「!、!!っ、ゆーくんなんて、ゆーくんなんて、大っ嫌い!」
俺の一言一言に顔を青くして、しまいには大嫌いなんて言葉と、強烈なビンタを喰らわして去ってしもうた。
「いてて...やり過ぎてもうたか」
──やけど、これでお前はもうせぇへんやろ?
痛い目みんと学ばん、あまちゃんめ。
───
最低最低最低!!
長年一緒にいてあんな奴だとは思わなかった!
幼馴染に同意なく手を出すような奴だなんて!
もーー!!!
....妊娠とか、してないよね?
見た感じゴミ箱にそれっぽいもの捨ててなかったし、え?もしかして無しで?
最低すぎるぅぅぅぅ!!!
───
「てことがあってね?!!」
お友達のリコちゃんとコウキ君を家に招きました。
流石にカフェの中で話せるような内容では無かったから、家に招いて話を聞いてもらうことにした。ちなみにリコちゃんとコウキ君はカッポーである。
「あはは...それは、また..ややこしいことを」
「酷くないっ?!」
苦笑いのコウキ君を他所に、リコちゃんに向けて話しかける。
「酷いわね」
「そうだねぇ~」
「!だよね、いくらゆーくんといえど...」
調子に乗って話し出そうとしたところをリコちゃんに叱られた。
「酷いのはあなたのことよ!ヒナタ」
「私?」
「全く、良い大人が酔っ払って幼馴染の家に押し掛けるなんて...相手は男よ?危機管理もできない甘ちゃんが襲われたぁなんて泣いても誰も助けてくれないわよ。アイツはそれを教えたかったのよ!」
驚いた。そんなこと思いつきもしなかった。
「でもでも、襲われたのは事実...」
「んー、ユウダイはそんな事しないと思うよぉ」
「どう言う事?」
「いやだって、ユウダイはヒナタちゃんのことす..もがもがもが」
「余計なことは言わないの!全くすぐ口を出そうとするんだから」
「ごめんってリコちゃん。許して?」
「...っし、仕方ないわねっ!」
え?結局どう言うこと?
急にイチャイチャし出した2 人に完全に置いて行かれている。
「ごほんっ、と、とにかく!もう一度ユウダイと話してきなさい!私たちは帰るわ!」
「ばいばーい」
あ、嵐のような2 人だった。呼んだの私だけど。
──ゆーくんに連絡...。
ううぅうー、普段はこんなに緊張しないのにっ!
ええい!勢いだ!漢を見せろヒナタ!!!
ピポパポ、プルルル、プルルルル
〈....ヒナ?〉
「もしもし、その、話したいことがあって」
〈なんや?えらい緊張した声して、言ってみぃや〉
逆に聞きたいわ!こっちはこんなに緊張してんのに、なんであんたはそんなヘラヘラしてんのよ!!
「き、昨日って!」
〈ああ~!!筋肉痛大丈夫そうか?あんまし酷いようなら湿布買い行ぃや?〉
「そうそれよ!昨日何したの?!」
〈何って....筋トレやけど〉
「え?」
幼馴染曰く、
昨日の夜酔っ払った私は、筋トレ器具を持って100 回やるまで寝ない!などふざけたことを抜かしてゆーくんを付き合わせていたらしい。
「え?襲われたんじゃ...」
〈ブハッ、朝のビンタそう言うことなん?そない酷いことしとらんて!〉
「うぅ、ゴメン...早とちりだった」
〈ええよええよ、これに懲りたら酒癖の悪さは直しぃや?〉
「はいぃぃ」
やっば。最低なの私じゃん。
〈...襲うんなら意識がある時がええしな〉
「?なんか言った?」
〈いいやあ?なんも言っとらんで?ほなまたな〉
「あ、ばいばい!またね」
プツン、ツー、ツー
酒癖は本当に治そう!てか禁酒だ!もう呑まない呑まない!
酒は飲んでも呑まれるな。本当にその通り過ぎる...。こんどリコちゃんたちにもお詫びの品持ってこ...。
とほほ。
───
プルルル、プルルルル
「はぁい、もしもーし」
〈あんたまた馬鹿なことしたでしょう?〉
「開口一番なんやねん。今日は偉いご機嫌斜めやね、リコさん。何もしとらんよ?」
〈嘘おっしゃい。ワザと誤解させるような物言いをして...好きな子に意地悪をするのは小学生で辞めなさいよ〉
「ふふ、なぁに?心配してくれたん?大丈夫よ、ヘマするわけあらへんやろ?せやかて、はよぉ彼氏んとこ戻りぃや。あんたらの上下関係、あいつのが上なんはよぅわかっとんで?」
〈!な、何を...あ!ちょっと──!!〜、〜〜!!〉
〈もしもぉし?これだれ?──あ、ユウダイね、ありがと~、リコちゃんは向こう行っててねぇ〉
「ぶはっ、ほんまに甘々やなぁお前」
〈そんなことないよぉ~...で?〉
「あの子危機感あらへんやろ?どこに捨てて来てもったんやろね。皆無やん。やから、少ぅしだけいたずらしてやろうとおもたんよ。うまく行ったわ」
〈めんどい奴だな〉
「お前にだけは言われたかないわ」
〈はいはい、それで?いつ付き合うんだよ、君たちは〉
「...付き合いはせんよ。こない汚れとる俺にヒマは勿体無いが過ぎるて。俺は付き合う無しにいっちゃんそばに居れればいいねん」
〈重〉
「やから、お前にだけは言われたかない!お前かてちぃさい頃からあいつのそばに引っ付いとって独占欲全開やったやん。執着心が鬼怖いわ」
〈好きな奴に告白できないひよっこに言われたくない〉
「ひよっこで悪かったなぁ?俺かて付き合いたいねん。やけど、あいつには綺麗なまんまで、真水のまんまでいてほしいねん。俺みたいな不純物はあん中に必要あらへん」
〈あっそ、ねぇそろそろ切っていい?〉
「お前なんやねん!まじで!早よ切りぃや!」
〈うん。あ〉
「何やねん」
〈多分そのうち君たち付き合うと思うから、今のうちに本性隠す練習しときなよ、先輩からのアドレス。じゃあね〉
「おい待て!どう言うことや?!──チッ、切られた」
何やねん予言みたいなこと言ってきおって。
───
予言が当たったのかなんなのか。
その数日後に幼馴染から告白されたユウダイくんは何だか吹っ切れて愛ダダ漏れで接するようになって、ラブラブカップルになるけど、それはまた別の話。
お読みいただきありがとうございました。
関西弁男子と天然女子が書きたくなりました。唐突に。
衝動書き&投稿なので、雑ですがご愛嬌ということで。
それではまたどこかで。
なろにろに