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偽聖女と呼ばれ追放された私は隣国の王子様に救世主扱いされる

「偽聖女アガサよ! 貴様との婚約を破棄し、公爵令嬢マリアと婚約する!」


「偽物!? 私が偽物ですか!? ナサニエル王子!?」


「ああ、そうだ! この国の歴史では聖女はとてもとても貴重な存在! 聖女が出てきたのなら魔王も復活するはず。しかしそんな報告は聞いていないし、魔界から敵が攻めてきたと言った報告もない。貴様が聖女と偽って俺に近づいてきたのがすぐに分かる!」


「そんなことありません、ナサニエル王子! 私は本物の聖女です!」


「ふん、貴様が聖女な訳がなかろう! この国から追い出してくれるわ! さっさと出ていけ!」


「ナサニエル王子、そんなこと言っていると後で後悔することになりますよ! 私を追放したら国が破滅します!」


「そんな訳なかろう! 貴様等、失っても後悔する訳がない!」


「そうですか。それでは私を追放してとことん後悔して下さい。王子様、私を侮辱した上に婚約破棄までしたあなたが悪いのですから。それでは私は出ていきます。さようなら」


 王子様は魔王が復活していたことを知らないなんて呆れます。魔界から敵が攻めてきたという報告がないのは私の最強の四天王が敵を滅ぼしているからです。


 そして私は四天王に「あの方」と呼ばれております。私の最強の四天王とは…選ばれし勇者達のことです。


 何故、私が「あの方」と呼ばれているか。私は治癒魔法で庶民の病気を癒してあげたり、勇者の怪我を癒したり、結界を張って敵が入れないようにする等、貢献が大きいのもあります。しかしどちらかと言えば神に選ばれし人間でありこの世界では勇者より聖女の方が貴重だからなのです。


 私は国に出ていくと言ったもののやっぱり離れるとしたら寂しい気持ちはあります。私が街中を哀れみの目で見ていると、素早い行動で四天王が姿を見せました。彼らは私に跪いております。


「どうしました?」


「いえ、あなた様が追放されたと知り、すぐに駆けつけました」


「そうですか。そんなに心配しないで下さい。すぐに忘れます。あの王子様のことは。それより、他国を攻めてきている魔物はどうなっておりますか?」


「ご心配なさらずに…魔界の敵は全て殺しております」


「そうですか。ご苦労様」


「ありがとうございます」


「それと…」


「何でしょうか?」


「この国に魔界の敵が侵入してきても助けなくていいです。あの王子に思い知らせてやりましょう。私を追放した罰を受けてもらいます。しかしそのためにこの国の庶民が犠牲になるのは非常に辛い気持ちになりますが…」


「うむ、それは考え物ですが聖女であるあなた様が言うのなら仕方がありません。それよりアガサ様! 隣国の王子様があなたを必要として下さっております。一緒に行きませんか?」


「こんな私をですか?」


「はい、あなたの治癒魔法、魔物から結界を張って下さるとの評判で是非ともあなた様が欲しいと」


「そうですか。ならば行きましょう。案内して下さい」


 私は四天王達に隣国まで案内して貰いました。三日間程かかったでしょうか? でも隣国に到着したのはあっという間のように感じました。


 すると道端に子供が横たわっているのが確認出来ました。そして看病していると思われるのが、背が高く顔もイケメンの人。白馬がいるので王子様でしょうか? もしかしてこの王子様が私を必要としてくれている方?


「どうされましたか?」


 私の呼び掛けにその方が振り向きます。


「もしかして…あなたは…聖女、アガサ様?」


「はい」


「そうか、それなら話は早い。この子が病気をしている。僕の力では救えない。お願いします」


 土下座までして私にお願いするなんて…。びっくりしている私ですが、それどころではありません。早く子供を助けてあげないと。私は治癒魔法で彼の病気を癒します。子供の体が光輝いたかと思いきや、すぐに消えます。そして子供の顔色が良くなりすぐに意識も回復しました。


「な、治ったのか?」


「大丈夫だと思います」


 子供が起き上がります。


「な、何ともないかい?」


 子供がコクリと頷きました。すると王子様が突然私の手を握り

「凄いよ! 君はこの国の救世主だ!」


「わ、私がですか?」


「もちろんだよ!」


 前の国では全然そんなこと言われなかった、特にナサニエル王子は…庶民の病気なんぞ治して当たり前だと言う風な感じで見下していたのにどうして。それに私はただ子供の病気を完治させただけ。それなのにこの王子様は私のことそんな凄い勢いで持ち上げてくれるなんて…


「僕の名はアラン。よろしく」


「こちらこそ」


 私達は握手を交わします。


「どうしよう…他にも病気で苦しんでいる庶民がたくさんいるんだけど。そんなに大勢の人々を救うのはいくら聖女であるアガサ様でも無理だよね?」


「アラン王子、大丈夫ですよ。是非とも連れてきてあげて下さい」


「ほ、本当に良いのかい?」


 私は首を縦に頷きました。


「よし、分かった。早速連れてくるよ。でもアガサ様、無理だけはしないように」


「はい、私は大丈夫です」


 そう言って彼は白馬に乗って行きました。数時間後、たくさんの庶民が私達のもとにきました。私は庶民を癒しの治癒魔法で完治させました。何時間も何時間もかけながら全てのこの国の人達の病気をひたすら完治させました。そして庶民の人達まで私のことをこの国の救世主だと崇めたのです。


「アガサ様、本当に素晴らしい。ありがとう。この国に来てくれて感謝するよ」


 私はアラン王子に抱き締められました。私は前の国でこんなに大事にされた記憶がなくナサニエル王子に不遇な扱いばかり受けておりました。


 しかしこの国は違いました。この件以来私をかなり優遇してくれるようになりました。私はこの国を大事に思い魔界の敵が侵入して被害がないように結界を張ることにしました。


 アラン王子はそんな私を貴重な存在として…大事に大事に見てくれるようになったのと、私は彼と婚約することになりました。


 それからのことです…ナサニエル王子から手紙が来ました。封にはアガサへと書かれていました。せめて様くらいつけて欲しかったです。何処まで傲慢なのでしょうか? ナサニエル王子は? ナサニエル王子の手紙にはこんなことが書かれていました。


 今すぐに戻って俺の婚約者になってくれ。マリアは妻として全く役に立たないことが分かりすぐ別れた。お前が本当の聖女だと言うのが庶民に聞いて分かった。お前こそ俺の本当の婚約者であり妻である。庶民の移った病気が俺達の王宮に蔓延し、大変な状況になっている! だから今すぐにでもラニア王国に戻ってきてくれ! 頼む!


 そんなこと言われても私にはもう知りませんから。だから手紙に書いて送ってやりました。


 私が書いた手紙の内容

 だから言いましたよね。私を追放したら国が破滅すると。私を偽物呼ばわりしただけでなく婚約破棄や追放までしておいて良くあんな偉そうな手紙かけますよね! ナサニエル王子、そろそろ封じていた結界もきれる頃ですので魔界の敵に襲われてせいぜい苦しんで下さい。それではさようなら。


 その後、ナサニエル王子のいる国は本当に滅んでしまいました。結界までなくなったので魔界の敵がうじゃうじゃいるのだとか。私を偽物呼ばわりし、追放しただけでなく庶民の事を考えないバカ王子はたくさん苦しめば良いです。


あの王子の苦しむ姿を最後は見届けてやりたかったですが、あまり興味もありません。私は私なりに(この)国で庶民の皆に感謝されながら新しい王子様と結婚して幸せになるのですから。

          END


魔王のことですが…ラニア王国崩壊後、魔王の拠点が判明し四天王の手で倒されたみたいです。

どうでしたか? 正直滅茶苦茶なお話でしたが、楽しめましたか? もっと読者の皆様が楽しめるようにこれからも頑張って書いていきたいのでよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 王道テンプレートをそのまま書けているところ。 [気になる点] 自虐になりますが、私はこの手の婚約破棄や追放もの、まともに書けなかったんですよ。 普通に王道テンプレート通りに書こうとして、セ…
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