~回想~ 隆志の作業所見学
以前20年ほど一般企業に勤めたあと心身の疲労から退職したがやがて福祉就労へと舵を切った。
同じ町にあるNPO法人で相談員を見つけ話をしたら数日経って『A型B型作業所の見学に行きましょう』との誘いを得た。
晴れて気持ちの良い午前9時、隆志は相談員とともに『きのこクラブ』というB型作業所を目指した。
きのこ工場へは相談員の崎津さんの車に揺られて行ったが少し湖へと近づいたところに駐車場があった。
B型作業所にしては破格の時給を払ってくれるので今ではなく、老齢年金をもらう年に行かせてもらおうと事前の説明時から思っていた。
お目当てのA型作業所の見学と合わせて相談員のお仕事としてもう一事業所行かなければならないという大人の事情から見学の運びとなった。
ヘッドセットをかぶった若い作業員が二人きのこの切断作業をしていた。後から聞いた話だが私のような見学者が来ることで少し緊張していたようである。
飲み物を飲み休憩して立て続けにA型作業所へ行ったのは車で20分程度とB型作業所から近かったことと、見学時刻が10時半ということであまり時間に余裕がないというよりは、時間の流れとしてもスムーズで良かった。
『繁作業所』という相談員のあいだでも『まともな』作業所へと到着した。
隆志は繁というA型作業所にしばらく勤めることになるが自身の人生の幅を広げるのに有用であったと後になって感じることとなる。