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第十章 混乱 場面六 初陣(七)

 全員の準備が整うと、ドゥルーススは馬に跨った。ドゥルーススの愛馬は、財務官の就任祝いにとグナエウス・ピソから贈られた、艶々とした明るい栗毛をもつ駿馬だ。馬好きの父の友人が自ら選んでくれたこの見事な馬は、今年八歳になる。先頭に立つのはドゥルーススとセイヤヌス、親衛隊兵一小隊、その後ろに助言者たち―――ドゥルーススの「幕僚」が続き、残りの親衛隊兵、ゲルマン人護衛隊となる。

 馬上から、一度だけ父を見た。父はいつものように厳格な表情を崩さず、じっとドゥルーススに眼差しを注いでいる。ドゥルーススは深く息を吸い込み、視線を前方へと投げた。

「出発!」

 セイヤヌスの号令と共に、進軍のラッパが鳴らされる。隊は整然とマルスの野を発った。アウグストゥスの日時計、平和の祭壇、そして彼が眠る霊廟を左手に見ながらフラミニア街道を北上する。フラミニア門を出てからは速度を速めた。ここから街道を北上してアドリア海に至り、海沿いの古都ファヌム・フォルトゥナエ(ファーナ)からポピッリア街道に入る。そしてアルプス山脈を越え、パンノニアへ。

 一万八千人の軍団兵たちの許へ。


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