表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
327/356

第二十一章 タルタロス ―――地獄 場面三 マクロ(一)

 アントニアは執事のアスプレナスを呼んで書簡を見せ、同じものが既にティベリウスの元へも送られている事を告げた。それからリウィッラには今後一切水も食物も与えないように、それから、書簡にある「共犯者」たちを、全て地下に幽閉するように指示した。

 アスプレナスはしばらくの間、驚きのあまり口が聞けない状態だった。長い沈黙の後、ようやく口を開く。

「リウィッラ様以外の方々はどうなさいますか」

「ティベリウスの指示を待つわ」

 アスプレナスはアントニアを見つめた。言わんとする事を察して、アントニアは言った。

「リウィッラは罪を自白したの。あの子だけはわたしの手で罰を与えるわ」

「奥様、それはしかし―――旦那様のご指示がなければ」

「わたしにその権限がないことは判っているの。でも、どうか言うとおりにしてちょうだい、アスプレナス。責任は全てわたしが取るわ。ティベリウスを、わたしの娘のことで煩わせたくはないの。娘の罪は、どうかわたしの手で片をつけさせて。お願いよ」

 アスプレナスは黙って頷き、一礼して部屋を出て行った。アントニアは娘の部屋で、しばらくぼんやりしていた。不意に使用人が入ってきて、親衛隊長官のマクロが、至急謁見を願っていると告げた。正直気は進まなかったが、アントニアは会見を承諾し、奥の部屋に客人を通した。



          ※



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ