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第十章 混乱 場面六 軍団の暴動(八)

 ドゥルーススは何度か話そうとしてはやめ、ようやく緊張した声で言った。

「本気で、そうお考えですか」

 ティベリウスは目だけで頷いた。短い沈黙がある。ドゥルーススが深く息を吸い込んだのが判った。それから、忠実な息子は短く答えた。

「判りました。すぐにそのように手配します」

「ドゥルースス!」

 ピソは愕然としたらしい。ドゥルーススは姿勢を正し、ティベリウスとピソに向かって一礼した。

「失礼します」

 ドゥルーススがブラエススとホルタルスとを伴って部屋を出て行くと、ピソはティベリウスの肩を掴んで睨みつけた。

「この酔っ払いめ! 一体何を考えている」

 ティベリウスは苦笑する。

「酔ってはいない」

「酔っ払いは皆そう言う。酔ってないなら気でも狂ったとしか思えん。君は、アウグストゥスの失敗を繰り返す気か? 第一人者の孫だ、子供だといったって、誰もがその権威に大人しくなるわけではない。 この時期に君に首都を離れてパンノニアに行けとはさすがに言わないが、せめてイリュリクムの反乱の際に功績のあった将なり、彼らが大人しく従うだけの実績のある人間を派遣するべきだ」

 ティベリウスは椅子から立ち上がる。

「それでは、下手をすれば火に油を注ぐ。反乱軍を粉砕しにいくわけではない。忠実な軍団兵たちを説得しにゆくのだ」


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