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第十六章 ピソ裁判 場面六 法の民(一)

「我が共和国の慣例に則り、執政官マルクス・アウレリウス・コッタ・マクシムス・メッサリヌスより、本件の判決を申し渡すものである」

 執政官コッタは、議場の中央に立ち、ゆっくりとした口調で判決を朗読した。

「グナエウス・カルプルニウス・ピソの名は、歴代執政官登録簿より抹消する。被告の遺産の半分は、国家により没収される。残りの半分は、被告の次男、グナエウス・カルプルニウス・ピソに相続を認める。ただし、この者は父と同じ個人名「グナエウス」を、別の名に改めることを命ずる」

 ドゥルーススはこの日、父からもマルクスたちからも離れ、別の親しい議員たちと共に二列目に腰を下ろしていた。

「父に同行していた長男マルクス・カルプルニウス・ピソは、元老院議員の身分を剥奪され、十年間、ローマより追放される。その際、国家の慈悲により、父の遺産から五百万セステルティウスを与えられるものとする。プランキナは、アウグスタからの懇請により、罪は不問とする」

 ドゥルーススは父を、そしてマルクスとグナエウスを見た。確かにピソ兄弟の生命は保証されたが、その内容は厳しい。グナエウスは兄の手を握り、追放を宣告された兄は、真っ直ぐに顔を上げ、判決を朗読する執政官を見つめていた。

 朗読が終わると、執政官は自席に戻った。議事堂内を、緊張した雰囲気の静寂が支配する。議員たちの視線は、ピソ兄弟と、そしてティベリウスに集中していた。ティベリウスは視線を浴びながらゆっくりと立ち上がり、静かな口調で発言の許可を求めた。それから、議場の中央へ進み出ると、議員たちを見回した。

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