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第十四章 対立 場面一 シュリアへの旅(四)

嵐を何とか切り抜け、ロードス島に上陸したピソの一行は、予め用意させていた邸に入った。嵐は幾分収まっていたが、それでも強い風と雨が庭園の木々や草花に叩きつけている。ピソはゲルマニクスに使者を送り、救援船を送ってくれたことに対する感謝を伝えた。

翌朝、空は昨夜の悪天候が嘘のように晴れ渡っていた。ピソは船長と共に港へ出かけ、船の状態を確認した。

「いつ出発できる」

 ピソは壮年の船長に尋ねた。

「それほど傷んではいません。明日には大丈夫です」

「では、明日出発する」

 ピソは言った。船長は「判りました」と短く答える。そして言葉通り、翌日にはロードス島を発った。ゲルマニクスの方はこのまま小アシアに再上陸し、内地へと進む予定になっているはずだ。一足先に発つことは、出発を決めた時点で連絡済だ。

「父上」

 甲板にいたピソに、長男のマルクスが声を掛ける。波は穏やかで、船は真っ青な海の上を順調に進んだ。

「何だ」

 ピソは息子を振り返る。次男のグナエウスはローマに残し、長男だけをこの旅に伴っていた。この息子も三十七歳になっている。淡い金髪と薄紫色の優しい眸は、妻プランキナのそれを受け継いだものだ。長男らしく落ち着いた、面倒見のよい青年だった。

 マルクスは少しためらいがちに、「一応、お耳に入れておこうかと」と言った。

「港で耳にしたんですが、あちらの一行が、色々言っているようなんです」

 ピソは息子を見た。

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