レイの恋
カズイシ村での日々はあっという間に過ぎていき、アユムは14歳になっていた。
体つきも徐々に大人に近づいていく。レイやテッドたちも何だか顔つきが変わってきたようだ。
だが最も大きく変化したのはサリナだった。
青い髪はつややかで、輝きを増した。
体つきはふっくらと丸みが出てきたが、顔は片手で収まるんじゃないかというほどほっそりと頼りない。
サリナの家で会う時、アユムはサリナが喜ぶ顔を見ることができれば、それだけでほっこりと心ほぐれるのを感じるのだった。
サリナの家からの帰り道。自分でもよくわからない妙な満足感を土産に、レイと2人いつも言葉少なに帰っていたのだが、その日は違った。
「アユム、ちょっといいか」
そう言うとレイはアユムを人目のつきにくい暗がりへと招いた。
ところがレイは何度も何かを言いかけるのだが、その度に言い淀み、何も言おうとしない。
(一体なんなんだ)
アユムはさっきまでのいい気分が台無しにされたようが気がして顔をしかめた。
「つまり、あれだ」
そんなアユムの様子を見てついに覚悟を決めたのか、レイは言った。
「なぁ、お前はどうなんだ? だからお前はその、サリナのこと、どう思ってんだよ?」
レイはそう言うと顔をぷいと背ける。その顔は耳まで真っ赤だ。
「どうって…友だちでしょ?」
アユムの言葉を聞き、怒ったようにこちらを向き直すレイ。
しかしきょとんとしたアユムの顔を見ると、呆気にとられたような顔をしてから息を吹き出し乾いた笑いをした。
「そっか、アユムにはまだわかんないよな。そっか、そうだよな」
「え、レイ。もしかしてサリナのこと好きなの?」
レイは打って変わってにこにこと笑いながら答えた。
「俺はサリナとは小さい頃から一緒だろ。だから一緒にいるのが当たり前で、それは変わらないものだと思っていた。
でも最近のあいつを見てるとどんどん綺麗になって……そうなんだ、俺、好きなんだあいつのことが」
「だから応援してくれよな」そう言ってまっすぐにアユムを見つめるレイの顔を見て、「もちろん」と言いつつ、胸がざわついているのを感じていた。




