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第七話  ヤツの名は

「これを見て」


先輩がポケットから取り出したのは、今朝先輩がナオキに渡したネックレスだった。そのネックレスは、首輪の部分が切れていた。


「これはーー!」


ローナが目を見開く。俺はちぎれた首輪を指さした。


「これ、お守りなんすよね。切れたってことは、このお守りがナオキを守ったってことすか?」

「違うわ。見てほしいのは、ここよ」


先輩はネックレスの石の部分を指さした。


「石? この石がなにか……あれ? 確かこの石、色が透明だったような」


彩先輩が頷く。


「これは、魔法石なんです」


そう言ったローナの表情は固かった。


「魔法石は、身につけた者の魔法に反応するんです」

「身につけた者……って、まさか魔法を使ったのはーー!」

「ええ。笹倉くんよ」


信じられない。まさかナオキが、魔導書を持っていたとは……。


「これを見て」


彩先輩が白色のボタンを見せた。


「きのう中庭で悪魔が魔力を使っている映像を見たと言ったでしょう? 実はその時、地面に落ちていたコレを拾ったの。コレを透視してみたら、悪魔と契約する映像が見えたわ。そして、子供の時の駿之介と一緒に遊ぶ映像もね」

「子供の時の俺?」

「ええ、だからこのボタンの持ち主であり、悪魔と契約している者は、あなたと関わりがあった人物となる」

「そうか……だから彩先輩はきのうの夜、俺に「友達はいるの?」か聞いたのか」

「案の定、あなたは友達がいない」

「うっ……」


ドストレートな彩先輩の言葉が、胸に突き刺さる。


「そこであなたが小さい頃に遊んでいた人物、笹倉くんが魔導書を持っているんじゃないかと思って魔法石を持たせたの」

「マズイですね」


ローナが険しい顔をしている。


「あぁ。まさかナオキが魔導書を持ってたとはな」

「そのことではありません」


ローナは深刻な表情になった。


「なにかマズイのか?」

「本来、魔法石の水晶は透明ですが、装着者が魔法を使用した場合、普通は青く光ります。しかし、悪魔に侵されていくと赤や紫色に変色していきます。悪魔に侵されているというのは、召喚者は自分で気づかないんです。だから、魔法石を身につけ悪魔に侵されていないかどうかを判断する。魔法石とは、自分が悪魔に乗っ取られてしまわないかを知ることができる、そういった意味でのお守りなんです」


彩先輩が付け加えた。


「魔法石が黒色になった時、悪魔に体を乗っ取られてしまうわ」


俺はナオキが身につけていた魔法石を見た。魔法石は、黒色に近い、グレーの色をしている。


「早急に手を打たないといけないわね」

 







俺とローナは、学校の体育館裏に居た。昨夜、俺がナオキと連絡を取り、ここで合う約束を取りつけたのだ。俺とローナが待っていると、しばらくしてナオキがやってきた。


「あれ? ローナ?」


俺ではなく、ローナがいることにナオキは驚いているようだ。


「待っていました、ナオキくん」

「どういうことかな? 俺は駿之介と待ち合わせをしたんだけど」

「俺はここだ」


ローナの肩に乗った俺が喋ると、ナオキは俺を見て目を見開いた。


「カエルが、喋った……? なんだ、俺は夢でも見てんのか?」

「俺もそう思いたいさ」


つい本心が口からこぼれた。


「悪魔の呪いで、カエルにさせられちまったんだよ」


ナオキは俺の言葉を聞いて、ニヤッと笑った。


「ははーん。なんかの新しいおもちゃで、近くから駿之介が喋って俺をからかおうって魂胆だろ?」

「おもちゃじゃねぇ! 本当にこれが俺なんだって!」

「信じられないね。それじゃあ、お前が駿之介だという証拠を見せろよ。そしたら信じてやる」

「証拠だと? 一体どうしたら信じるんだよ」

「俺の質問に答えられたら信じてやろう。第一に」


ナオキは指を立てた。


「駿之介の初恋の相手は?」

「……保育園の時の担任の、加奈子先生」

「なっ⁉ 当たってるだと……」

「だから、本当に俺なんだって」

「いいや、まだだ! 第ニに、駿之介はいつまでおねしょをしていた?」

「…………小学、四年」

「⁉ 信じられん。当たってる……」

「いい加減、信じろよ。ってか、変な問題出してんじゃねぇよ!」


俺の恥ずかしい黒歴史を暴露するはめになっちまったじゃねぇか。ローナが俺を優しい眼差しで見ている。やめろ、その顔。


「とにかく、この呪いを解くにはナオキの持ってる魔導書が必要なんだ! お前の持ってる魔導書を渡してくれ」

「魔導書? なんのことかな」

「とぼけても無駄です。コレを見て下さい」


ローナは彩先輩のペンダントを取り出した。


「それは、生徒会長のペンダント……」

「このペンダントは魔法石で出来ていて、装着者の魔力に反応します。ナオキくんがペンダントを着けて、魔法石の色が変わったことが魔導書を持っているという証拠です」


ナオキは押し黙った。


「ナオキくん、聞いて下さい! あなたは今、相当悪魔に侵されています。このまま力を使い続けると、悪魔に体を乗っ取られます! ですから、魔導書をこちらに渡して下さい」


ナオキはニヤリと笑った。


「確かに、魔導書は俺が持ってるよ。理由もわかった。だが、断る」


予想外の言葉が返ってきた。


「なんでだよ! 悪魔に乗っ取られるぞ!」

「なぜかって? この悪魔の能力があれば、どんな相手だろうが俺の命じた通りに仲違いできたり仲裁したりできる。この力があれば、周囲に認められることなんて簡単さ。全てが俺の思うがまま! 最高の気分だ。こんな素晴らしい力、そうやすやすと手放してたまるか!」

「お前ーー!」

「そうですか」


ローナは特別驚いた様子もなく、手を前にかざした。


「そっちが渡さないと言うのであれば、こちらも手荒くなりますよ」


ローナは手を前にかざし、呪文を唱えた。足元に出現した魔法陣から、一体の悪魔が姿を現す。頭からローブを羽織った悪魔。フードからチラリと覗いた骸骨が、不気味に笑う。骸骨の手には、人間の大きさ程の巨大な鎌を持っている。


「アンドラス! この者が動いたら切り裂きなさい」

「かしこまりました。ヒヒヒヒ」


アンドラスと呼ばれた骸骨の悪魔は、手に持った鎌を構えた。


「痛い思いをしたくなければ、本を渡して下さい」

「…………くくくく、あははははははは!」

「なにが可笑しい?」

「確かに、痛い思いをするのは怖いな。だが、俺はまだそこのカエルが本当に駿之介だと信じられない。まだ俺の質問に答えて貰おう、第三にーー」

「おい、もうその質問はいいって」

「きのうの夜、食べたたこ焼きは美味かったか?」

「……たこ焼き?」


ローナはハッとした。


「どうして、私たちがきのうの夜、たこ焼きを食べたことを……」


そうだ、ナオキは知るはずがない。あの場に居なかったのだから。


「まさかーー」


ローナの言葉に、ナオキはニヤリと笑った。


「悪魔っていうのは便利だよな〜。透明人間にだってなれるんだから。俺をおびき出そうとしていたことも、簡単に知ることが出来たしな」

「っ! ……いつから、気づいてたんですか?」

「昨日の暴動の時さ。ローナが襲われそうになった際、駿之介の声がした。駿之介は俺の家に泊まっているという事にしてくれと連絡があって学校には来ないし、姿も見えない。駿之介とローナがなにか関わっていると思えば辻褄が合った。ローナの家までつけて行ったら案の定だったよ」


ナオキは肩をすくめた。


「最後の質問だが、なにか罠を仕掛けてると知っていて、俺がノコノコとここに来たとでも思った?」

「まさかーー!」


ローナが叫んだ瞬間、ナオキの体が薄くなる


「駿之介。幼なじみとして最後に、お前と面と向かって話しをしておきたかったんだ。この悪魔の力を俺は手放すことは出来ない。お前の母さんにも悪いが、お前はずっとカエルのまま生きてくれ」


ナオキの体がグニャリと歪んで煙のように消えた。

ローナが携帯を取り出す。


「先輩!すいません、逃げられました!」

『ええ、見てたわ。マズイことになったわね……』

「確か、悪魔の幻影魔法には利用可能距離が存在します。距離はおよそ五十メートル。おそらく、まだ学園内にはいると思います!」

『わかったわ。ヤツの位置を探る。少し待ってて』


彩先輩は俺たちから離れた人気のない場所に待機していた。昨夜、聞いた話しによると、彩先輩の念じた場所を見る千里眼のような魔術は集中力が必要らしく、今日のような人の多い場所では不向きのというのだ。多くの人が集う学園祭が、裏目に出てしまった。

数秒して、彩先輩が言った。


『見つけた! ヤツは学校の門に向かって歩いている。このまま逃げるつもりよ。作戦をBに変更』

「はい、了解です!」


ローナがそう言い、呪文を唱えた。ローナの髪がフワリと舞い、目の前に魔法陣が現れ、その魔法陣から一体の悪魔が姿を見せる。恐竜のような顔に目が四。体は甲羅で覆われており、ザリガニのような手が六つ生えた悪魔。


「ダンタリオン! 半径百メートルを結界で覆って!」

「はいな!」


ダンタリオンは、クルリと宙で一回転すると、体を丸めた。ブルブルと体を震わせたかと思うと、思いきり開き、目を光らせた。


「ありがとう、ダンタリオン! 行きましょう、駿之介くん!」

「ああ!」


ダンタリオンが消えると、ローナと俺は校門に向かった。しばらく走っていくと、校門に向かって悠々と歩くナオキの姿があった。


ナオキは校門を出ようとしたが、驚いたように立ち止まり、手を前にかざすと、電気でも走ったように手を押さえた。


「良かった! 間に合いました。もうすでに、学園全体を結界で覆ってます。出られませんよ」


ナオキは踵を返し、俺たちに気づいた。急いで俺たちとは逆の方向に向かって走っていく。


「逃がしません!」


俺たちはナオキの後を追いかける。

ナオキが向かった先は、売店ロード。最終日ということもあり、大勢の人混みで混雑している。ナオキはその人混みにまぎれ手行った。


「くそっ! 人が多いな!」

「すいません、道を開けて下さい! 通ります!」


ローナが人を掻き分けて進もうとするが、


「痛ぇな! 押すなよ」

「そっちが押したんだろ⁉」

「なんだと!」


目の前で言い争いが起きたり、


「ちょっと、このお肉少し焦げてるじゃない!」

「今、忙しいんだ、後にしてくれ」

「ふざけないで!」


売店で店員とお客が口論になっていったり、急に楽しい雰囲気が一転し騒ぎがおきだした。


「ナオキくんの仕業ですね」

「あのやろー! でも、どうすんだコレ。全部を抑え込もうなんてムリだぜ、この人数は」


騒ぎ出す人の数は優に百を超えている。



ローナと俺は建物の影に行き、ローナが手をかざし呪文を唱えた。すると、魔法陣から一人の男性が姿を現した。手には笛を持っている。


「アムドゥスキアス、ここにいる者たちの暴動を収めて!」

「仰せのままに」


アムドゥスキアスは、手を腰とお腹に当て、綺麗なお辞儀をすると、笛を吹いた。


「我に使えし十二の悪魔達よ、我の元へ収集せよ」


すると、アムドゥスキアスの頭上から、十人程の人間の子供がピエロのような格好で現れ、その後にロバ、イヌ、ネコ、ニワトリ

が現れた。


子供が首からかけた太鼓やラッパを吹きながら騒ぎのある方へ行くと、周囲の人たちはそれに気づくと皆、目をぱちくりさせた。


「……なに、この子たち」

「カワイイー!」

「誰かが用意したの?」


子供たちの後ろに続く、ロバ、イヌ、ネコ、ニワトリもちゃんと一列に並んで後ろについていっているので、注目を集めている。


子供たちがロバ、イヌ、ネコ、ニワトリを前に並ばせ、横一列に並ぶと、一人の少年が言った。


「これから、ライブを始めます! みなさん、是非みてください!」


そう言ってギターやドラム、マイクを使ってプチライブが始まった。ロバの上にイヌが乗り、その上にネコが乗り、さらにその上にニワトリが乗ると、サーカスのような芸に拍手が沸き起こった。


争いを起こしていた人たちがその様子に気づくと、「なんだ、なんだ?」と手を止め、ライブに人が集まっていく。


気づくと、狼狽えた様子のナオキが一人、中庭の中心にポツンと立っていた。


「居ました!」

「ちっ!」


ナオキは俺たちから逃げ、学校内に入って行った。それを追いかけて行く。ナオキはもう目の前だ。


「観念しろ、ナオキ」

「くそっ!」


逃げ場を無くしたナオキ。ここまでだ。と、その時、教室からコハルが現れた。


「あれ?ローナとナオキ。なにしてんの?」

「こっちに来い!」

「え、キャッ!」


ナオキがコハルを後ろから羽交い締めにし、片手を顔に向けた。

その手は、長い爪のようになっていて鋭く尖っている。


「動くな! コイツがどうなっても知らねぇぞ!」


ナオキの目は血走り、顔も半分、豹のような顔になっている。その異様な姿と突然の出来事に、ハルコは気を失ってしまった。


「ローナ! 駿之介!」


俺たちの後ろから、彩先輩が走って来た。


「ちっ……!」


ナオキは舌打ちをした。今にもハルコの喉元を突き刺してしまいそうだ。


「おい、お前正気かよ⁉」

「うるさい! 動くなと言っているだろう!」


もはや性格もナオキではなくなってきているように感じる。


「私たちは動きませんが、あなたは動かないと死にますよ?」


ローナがそう言うと、ナオキの背後から鎌を持ったドクロが姿を見せ、ナオキに鎌を振り下ろした。


「うわっ!」


ナオキはなんとかその鎌を鋭い爪で防いだが、ドクロはすぐに気を失ったコハルを抱きかかえ、俺たちの元に飛んで来た。


「アンドラス、ありがとう。先生、コハルを頼みます」

「ええ、任せて」


彩先輩はコハルを抱きかかえると、その場から離れた。

ナオキは苦々しげに肩で息をしている。まるで百メートルを全力疾走でもしたんじゃないかというほどの姿だ。


「能力を使いすぎです。このままでは本当に危険ですよ」

「うるさい!渡すもんか、絶対にこの力は渡さない!この本は、俺のものだぁぁあああ!」


そう叫んだナオキの体に異変が起きた。


「な、なんだ!?」

「だから言ったじゃないですか。悪魔に喰われると。能力の使いすぎです」

「まさか……僕がーーそんなーーぎゃぁぁああ!」


ナオキの頭がボコボコと膨らみ、姿を変える。体は人間だが、手と足の指が長く尖り、頭は豹の姿をしている。


「素晴らしい。何百年ぶりの自由だろうか」


ナオキを乗っ取った悪魔は、手を握ったり開いたりしてそれを眺めると満足そうに言った。


「悪魔オリアスよ。体を乗っ取って早々で悪いけれど、あなたにはその人の体から出ていって貰うわ」


オリアスはローナを見てほくそ笑んだ。


「我を三十四番目の悪魔と知っての発言か。口を慎め、人間よ」

「ええ。はっきり言って、私と契約を結んだ悪魔の方が戦闘力は上だわ。人間同士の不和や仲介の能力を得意としたあなたでは、私に勝てないですよ」

「何を言っている」


オリアスはローナを嘲笑った。ローナが手を前にかざし悪魔を呼び出す。頭はフクロウで、体は人間の姿をし、手には剣を持っている。


「グシオン、この人間に憑依した悪魔を体から引き離して」

「承知した」


その悪魔に、ナオキを乗っ取った悪魔があざ笑う。


「グシオンよ、人間ごときに従うなどお前きは悪魔の誇りはないのか」

「分かっていないのは貴様だ。もうすでにほとんどの悪魔が我の契約者と契約を結んでいる」

「なに? 一人の人間が複数の悪魔と契約だと?そんな戯言、誰が信じるのだ」

「別に信じなくて構わないが、我の契約者はあの二十四番目の悪魔ですら契約を結んでいる」

「!?」


悪魔の顔から先ほどまでの余裕が消えた。


「貴様との会話は終わりだ。つかの間の自由は楽しんだか?」

「ほざけ!」


オリアスが凄いスピードでローナに鋭い爪で斬りかかるが、


「キキキキ!」

「十六番目のーーお前もか!」


それをシトリーが防いだ。シトリーはオリアス爪から体にまとわりつくようにして背後に周り込むと、そのままシトリーを拘束した。

複数の悪魔を同時に召喚している事実に、オリアスは驚愕してローナを見た。


「化け物め!」

「我の能力を忘れたか」


グシオンがオリアスの体に剣を突き刺す。


「グォォオオオオオアアアア!」


グシオンがそのまま剣を上に振り上げると、ナオキの体が地面に倒れ、剣に刺さったままのオリアスは罵声を吐き捨てながら苦しむ。

ローナがシトリーに命じる。


「シトリー、グシオンを拘束しなさい」

「うん!」


シトリーがナオキから離れ、剣に刺さったオリアスを拘束した。シトリーが拘束すると、グシオンは剣を引き抜いた。


「なぜだ、どうしてこんなに能力を消費しても悪魔に喰われぬ」

「それはね、この方が特別だからだよ」


子供のような声でシトリーが囁く。


「グシオン、ありがとう。もういいわ」

「承知した」


グシオンは消え、


「さあ、このまま私と契約して貰うわ。その前に、あなたの持つ聖水を渡して」

「グヌヌ……」


オリアスが小さな瓶をローナに渡した。


「駿之介くん、やりました。これで呪いは解けますよ!」


ローナが瓶を俺に渡す。


「これで、元の姿に……」

「はい!」


俺とローナは見つめ合った。その時、


ーーーーコノママデ、オワッテタマルカ。


オリアスの爪が、俺に向かって飛んで来た。


「駿之介くん!」


ローナが叫んで、俺に手を伸ばす。まるでスローモーションのように、ローナが動いている。あぁ、ダメだ。避けきれない。

俺は目を瞑った。


「っ!」


痛みは襲って来なかった。ゆっくりと目を開けると、ローナが腕を押さえて座り込んでいた。


「ローナ……」

「駿之介くん……大丈夫、ですか?」


ローナは苦しそうに笑う。その腕には、オリアスの爪が刺さっていた。


「大丈夫か!」


俺が近づくと、爪が刺さったローナの腕が灰色になっている。しかもそれは物凄いスピードで広がっていた。


「油断しました……石化、ですね」

「ギャハハハハ!そうだ。お前はそのカエルを見殺しにすれば助かったものを。残念だったな」


 オリアスは心底嬉しそうに笑うと続けてこう言った。


「おいカエル。俺が渡した聖水は、呪いを解く効果があるが、石化を治すことも出来る万能なアイテムなんだ。しかしこれを作るのには時間がかかるからなぁ……後百年は出来ないだろう」

「百年……」

「まあ、どちらに使うかはお前次第だ。ハハハハ!」



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