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40億歳の魂

「私の力をあなたに渡せば、直ぐにやる事が分かるわ。きっと素敵な星を創って頂戴ね。」


そう言って神様は私の手を握った。彼女の威圧感の様な物が私に流れて来たのを感じる。


…苦しい。大事な物が壊れてしまいそうだった。それは魂だと分かった。風船が空気の入れすぎで割れる様に、そのオーラに耐えきれずに魂が破裂してしまいそうだった。次第にその感覚は消えていく。神様の力が私の魂を包み、染み込んで、強化しているのを感じた。


「凄い!凄いわ!普通なら魂の強化の前に、莫大な力に耐えきれずに自壊するのに!貴方はきっと素晴らしい神様になるわ!」


神様が何かを言っていたが私にそれを聞く余裕は無かった。


ーーーー



気づいたら私は白い空間に一人だった。


神様は、神様だった人はもう、そこにはいなかった。

だけど、私は理解した。彼女は輪廻の輪に入った。地球の、私が辿る予定だった輪廻の道に彼女は割り込んだのだ。


そして、やるべき事も分かっていた。まずはこの広い宇宙から場所を決めなければいけない。


私の星を作る場所を。


他の神様が支配する星が近くに有ると、私の星もその法則に引っ張られてしまう。地球に重力があるように、科学とは、物理とは、神が作った物なのだ。


宇宙は広い。今も広がり続けている。神になった今、私はその広さを感じる事が出来ていた。


銀河系は美しいものが好きな地球の神様が、夜を飾る為に作った物らしい。

自分の星からあそこまで広大な宇宙を支配出来る神様は、地球の神様以外にいない様だ。


今、宇宙には14の神様が支配している、生命体がいる星が存在した。私は15番目の星を創る。必要な知識は、リリアルが知っていた事なら、力と一緒に受け継いだ。


とりあえず、リリアルの星があった所に行ってみることにする。神に距離の概念は意味を持たない。行きたい場所が何万光年離れていようと、一瞬で辿り着く。特別な能力という訳でも無く、神にとってはそれが当たり前だった。


「平べったい星…。何も無い。誰もいない。」


リリアルの星は丸く無かった。紙に書かれた地図をそのまま横にした様な平らな四角で、地球の10分の1程の大きさしか無い、小さな星だった。更に、水に浮かんでいる大陸は星の真ん中に、一つしか無かった。星の10分の3ほどの歪な形の大陸には、植物が生えていない剥き出しの山と、魚が泳がない川があるだけだった。


もし人間が船を作り、この星の端に辿り着いたとしても、逆側の端にワープしてしまう。この星にはそういう法則があった。

まぁ、最後まで、大陸を出た人間はいなかったようだけど。


リリアルはあまり力を持たない神だった。力とは魂の年齢である程度決まってしまう。誕生してから3000年しか経過していない魂を持つリリアルには、星を自由に創る力が無かったらしい。


神として、3000歳は若い。


リリアルは15の神様の中で最年少だった。


私はまず、この星に植物を埋めた。木、花、草、地球の植物を参考に、バランスを整える。

そして、それを管理する魂を生み出した。


自分の力を分け与えるように、肉体を形成する。

必要な物は無い。

神はゼロからイチを生み出す者。


目の前に、私の自然へのイメージが反映された、穏やかそうな緑の髪の青年が現れる。神話に出てくるような古代ギリシャの格好をした彼は片膝をついて顔を伏せた。


「やるべき事は、分かるわね?」


「…はい、主よ。僕は貴方の期待に応えてみせましょう。」


「貴方の名前は、レイチュア。私が一番最初に産んだ魂。」


私は、地球に微生物が誕生した頃から存在した魂らしい。地球の神は最初、いきなり大きな魂を生み出す力を、持っていなかった。だから海に小さな命を撒いた後、長い事、地球を放置した。


それが今から40億年前の話。


覚えてはいないが、私の魂は40億年の間、輪廻転生を繰り返したらしい。


そりゃ疲れもする。


だから私には力があった。人間だった頃には意味を持たない力だったが、今、私には、全ての願いを叶える事が出来る力がある。


「よろしくね。」


ーー私はこの星の中では全知全能だったーー


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