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プロローグ

ある時、ある星で人類は滅んだ


人類が生まれ、三千年の時が過ぎ、人口が緩やかに減り、静かに衰退し、やがて動物も木も花も虫も繁殖しなくなった。


そして、その星は滅んだ。


星が滅びれば神は新たな星を産み、育てなければならない。その役割に穴を開けることは神には許されていなかった。


しかし神は疲れていた。


永遠に生き続けたくなかった。


人間が羨ましかった。自分も輪廻の輪に入りたかった。


神を辞めるにはその役割の引き継ぎを行うしか無い。しかし自分の産む魂はその莫大な力に耐えられる程強く無い。


ーーだから神様はーー




私は温かい家庭に生まれた幸せな女の子だった。


優しくて仲の良い両親に、初孫を可愛がってくれる祖父母。お盆休みや正月には親戚が集まり、美味しいご馳走を食べた。


私は優しい訳でも明るい訳でも無く、どちらかといえば社交的な子供では無かったが、お母さんは私が歩けもしない幼児の頃から公園デビューを果たしており、おかげで最初から近所の子供の輪に入る事が出来ていた。


保育園に通う頃には近所の子供は幼馴染になり、そのまま縁は続き、小学校、中学校、高校と、私の周りには常に人がいた。


私は人よりも、努力が必要無かった。


勉強をしなくてもテストは満点だった。


運動をしなくても、駆けっこは一位だった。


手入れをしなくても、肌は荒れなかったし、髪は乱れなかった。食べるのが好きだったが、太ることはなかった。


何不自由なく悩みも無く日々を過ごしていた私だったけど、何故か何時も疲れていた。


身体も精神も疲労してはいなかったけど、ふとした瞬間に思うのだ。…あぁ、疲れた…と。


自分自身でも釈然としない思いを抱えていた。


「君はまるで外側から世界を見ているようだね。」


幼馴染は少し寂しそうに言った。


「だから僕は君が……」


思えばこの時の彼の言葉は案外的外れな訳では無かったのかもしれない。


「時々神様に見えるんだ。」


私は冗談だと笑い飛ばしたかったけど、夕暮れの教室で、幼馴染は眉間に皺を寄せて、泣きそうな顔をしていた。


そんな事をふと、思い出した。


今、私の目の前には神様がいる。


「やっと見つけたぁ!危なかったわ。あと少しで時間切れだったのよ!でも良いの。私は見つけた!見つけたのだから!」


夢だと思った。夢な訳が無いと思った。彼女の存在感に、押し潰されてしまいそうだった。別に彼女は神様を自称した訳ではない。でもこんなに美しい人間が存在しているなんて、あり得ない。神様なんていないと思ってた。神様はいた。今、目の前にいる。



彼女は神様だった


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